EPISODE 6 ―雲の海―




無事に私達一行はターラの村に到着した。
「今から少しの間自由行動してもいいよ」
ランドさんが言った。ある者は補給へ、またある者は自分の世界に戻った。中でも一番喜んでいたのがこの依頼を頼んだ本人銀装備の若きパラディンだった。彼はランドさんを引き連れて村のあちこちの店や倉庫、村の人々を物珍しそうに見て回っていた。そして、茶位さんから皆に
「俺、今日はこれでねるぉ」
やはり・・・茶位さんは【眠れるパラディン】だったのだ。茶位さんが眠る事は私達ギルメンにとっては日常茶飯事の事なので抵抗無く
「お疲れ様」
と口々に言う。それに釣られて皆、挨拶を交わした。今回の依頼はここまでだったので茶位さんは任務が完了した時点で本来の(?)茶位さんに戻った。
村の外れで世間話をしていた私達にランドさんが《追加任務》を提案した
「どうだろう?この村の南の雲の海でも見にいかないかい?」
若いパラディンは即答で了承した。+Lloyd+も行きたいと言う。茶位さんが抜けたのは痛いが、何とか行ける場所だったのでお師匠様も私も快諾した。
集合時間を決め、各々がまた村の中に散らばる。
私は、特に何をするわけでも無く集合場所で皆と談笑していた。
「さて、そろそろ出発しようか?用意はいい?」
集合時間前には皆集合場所に集まっていた。準備は皆大丈夫そうだ。
「それじゃあ、このまま南に下るよ」
何だか遠足にたいな気分だった。ターラに初めて連れてきて貰った者は大概は雲の海を見に行く。私達もその慣習に乗っ取り南の雲の海を目指した。
途中、隊列を崩し若い冒険者達はターラの村に光の帯となって帰って行った。いつもよりは少し時間が掛かったが無事に到着した。
ターラ南の雲の海は見る者の心を洗い流してくれる。ここでまた少し談笑していた。私は冗談半分で雲海に2度程飛び込んだ。結局、光の帯となってターラに戻ったのだが、2度目はターラから真っ直ぐに走ってそのまま雲海に飛び込んでみた。
「こんな事はしない様に」
皆の反応が薄い、私なりに精一杯の悪ふざけをしたのだが、皆には白い目で見られた。だから、私はギルド内でも玩具(おもちゃ)にされるのであろう・・・



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