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2022年07月07日
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カテゴリ: 横川典視
木曜担当のよこてんです。

 岩手競馬で働くウズベキスタンの厩務員さんたち。​ 概要などをお伝えした前回 ​に引き続いて今回は後編として、実際に彼らを雇っている調教師さんにお話を伺ってみました。

 お相手は盛岡の飯田弘道調教師と水沢の伊藤和忍調教師。飯田調教師はイスロイル厩務員・アミル厩務員を、伊藤和忍調教師はキリチ厩務員・グロム厩務員を初期から継続して雇っております。


★グロム厩務員。前編のは顔が小さかったからはっきり分かるものを


 まず全体的な評価として。お二人とも 「ウズベキスタンの厩務員は真面目」 と口を揃えます。
「ある程度馬を扱えたし、厩舎作業を教えれば覚えて出来るようになっていってくれた。指示したことは真面目にやってくれるから働いてもらう方としてはやりやすいですね(飯田調教師)」

 前編でも触れたようにウズベキスタンから来た厩務員さんには現地で馬を扱っていたあるいは自身が馬に乗っていたという方が少なくなく、それは日本の競馬とは違うにせよ基本的な“馬の触り方”を知っていたのは小さくないアドバンテージだったようです。



 ところで厩舎でウズベキスタン人厩務員を雇うにあたって厩舎側・調教師側ではどんな準備や対応をしているのでしょうか?

「こちら側では住居の提供ですね。家電付きの宿舎を用意します。それからこちらに来る際の渡航費。あとはもちろんお給料。賞金手当等も支払われるのは日本人の厩務員と同じです(伊藤和忍調教師)」

 少し手間がかかるのが在留資格の更新手続き。外国人労働者として1年毎に在留資格を更新しなければなりません(この辺詳しく聞かなかったのですが、恐らく特定技能1号の扱いだからと思われます)。岩手県での手続きは盛岡市内にある入管出張所で行う必要があるため 「盛岡の調教師だと近いからいいけど、水沢の調教師さんたちは盛岡まで出てくる時間と手間がかかるよね」
 そのため厩舎(調教師)との雇用契約も単年契約の1年毎に更新の形になっているとのこと。

 この話が出たら触れておく必要があるのがエージェントの存在。岩手で働くウズベキスタン人厩務員さんたちは個別に現れたのではなくてエージェント、人材仲介業者を介して募集され手続きを経て日本にやってきています。それはウズベキスタンに限らずインド人厩務員等でも同様ですし、岩手に限らず他の競馬場や牧場でも同じ。規模の大小はあるにせよエージェントが関わっています。
 岩手でのエージェント関係については後日記事を書けると思うので詳細はその時に触れることにして、今回は「間にエージェントが入ることでこの形が成り立っている」というのがお話の前提になっている・・・という所までにとどめておきます。

 収入に関してもエージェントが仲立ちしたうえで条件を提示して、双方合意の上で契約という形になります。競馬の場合は賞金とか手当とか変動する部分も出てきますが、収入面でトラブルになることはないのでしょうか?

「“都会の方ではもっと高い基本給をもらっているそうだ”という情報に浮き足立つ人も中にはいますが、都会との生活費や物価の差だったり、競馬での賞金・手当でプラスアルファになる分を考えればこちらが不利ということは無い。手元に残る分でならむしろ有利とも言える。その辺は皆理解しているようです(伊藤和忍調教師)」

 雇う側からの問題とか課題とかは?と訊ねたところ、まず挙がったのはやはり言葉の問題。「日本語で会話が出来るくらいとは言わないが、日本の数字はしっかり覚えてきてくれれば助かる」とはお二人とも口を揃える所。「○番の馬房の馬を出してきて、○番の馬房を掃除しておいて・・・と仕事を割り振るのに、その数字を教える所からではね」。

 もうひとつは最近岩手競馬にも増えてきたインド人厩務員の存在。今現在6人のインド人厩務員が水沢・盛岡の両競馬場で働いていますが、彼らはドバイやサウジアラビアの競馬場だったり牧場でトラックライダーとして働いていた経験を持ち、つまり「競馬場の中でのスキル」は高いものを持っている・・・と周りからは見られています。
 自分なんかが見ていても、ちょっとした動きにしても「競馬場に慣れているな」と感じますものね。調教も最初からそつなくこなすインド人厩務員はいわゆる“即戦力”としての注目度が高いようです。

「ウズベキスタンの厩務員達の真面目さや熱心さはもちろん高く評価しています。どっちが優れているという事ではなくて、お互いの仕事上で良い刺激になってくれればいいですね(伊藤和忍調教師)」

「自分はウズベキスタン厩務員は全然ウェルカム。最初に受け入れたから余計にそう思うのだろうけど、やっぱり真面目に働いてくれますから(飯田調教師)」


★鈴木祐騎手と立ち話のガイライト厩務員。冗談を言い合えるくらいにガイライト厩務員の日本語は上手

 当初は人手不足を補ってくれれば、とにかく人手が欲しいからという形で見られていたウズベキスタンの厩務員さん達でしたが、3年近く経って“戦力”として計算される存在にもなってきました。

 ウズベキスタンから一番最初に来たグループ、キリチ厩務員やガイライト厩務員たちのグループは来た当初は日本語が全く出来なかった。それが今や日本人厩務員を相手に冗談を言えるくらいに日本語が出来るようになった。そんな先に来た面々が後から来た人たちに仕事や日本語を教えたりするようにもなっている。そういう努力は周りも認めたうえで、全体のレベルがもっと上がってくれればもっと働きやすくなるよね・・・というのが調教師さんの最近の想いだそうです。


★相手が大ベテラン(牧野さん!)でも物怖じしないのがキリチ厩務員のらしいところ

 余談になりますが、インド人を主に外国人厩務員を早くから受け入れていたホッカイドウ競馬では、新しく来た人たち向けの日本語の勉強会や競馬の仕組みの講座だったり、厩務員同士の交流会を開いていたそうです(齊藤正弘調教師談。なお近年はコロナ禍の影響で大人数で集まる催しは行えていないとのこと)。そういう部分はエージェント側の役目という見方もあるでしょうが、やってきた外国人厩務員を育てる・支える施策、あるいは初期のメンバーが得たノウハウを後進に伝えていくような施策は、受け入れる側でも行う意味があるのではないかと思います。





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最終更新日  2022年07月09日 10時24分45秒


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