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『子ども達に贈る12章』第6章―「寿命」とは何か真弓定夫先生の著書『子ども達に贈る12章』、今回は第6章をご紹介します。平均寿命が延びた本当の理由終戦後60年あまりで、日本人の平均寿命は大幅に延びました。2008年時点で女性86歳(世界1位)、男性79歳(世界3位)。では、なぜここまで延びたのでしょうか。一般には「栄養状態の改善や医学の進歩のおかげ」と説明されることが多いですが、真弓先生はその見方を真っ向から否定します。平均寿命が延びたのは、若くして死ぬ人が激減したからにすぎない、と。数字が示す現実昭和30年、新生児死亡率(千人あたりの死亡数)は22.3でした。それが10年ごとに11.7、6.8、3.4、2.6、2.4と激減し、現在は1.4。60年間で約16分の1にまで減っています。また、かつては赤痢や下痢腸炎、肺炎で多くの子どもが命を落としていましたが、抗生物質の登場がこれを大きく変えました。昭和30年代には結核で若くして亡くなる人も少なくありませんでした。つまり、平均寿命80歳とは「ひとりひとりが長生きになった」ということではなく、「ゼロ歳や若い年齢で死ぬ人が減ったことで、統計上の数値が押し上げられた」ということなのです。そして今、20歳代の死因の第1位は自殺です。かつては感染症や結核だったものが、いまや心の病が若者の命を奪っています。これは見過ごせない現実です。「長寿村」と「短命村」の条件では、本当に長生きするために何が必要なのでしょうか。食生態学者の西丸震哉さんは世界各地の長寿村を調査し、共通する7つの条件を挙げています。 1 水・空気の質がよい 2 気候がやや厳しい 3 労働がややきつい 4 ストレスが少ない 5 大食をしない(摂取カロリーが少ない) 6 美食をしない(摂取タンパク質が少ない) 7 野菜の摂取量が多い(いも類・海藻類を含む)一方、短命村の条件はこの正反対です。 1 水・空気が汚染されている 2 冷暖房が完備して快適 3 文明の利器に囲まれて身体を動かさなくてよい 4 さまざまなストレスにさらされている 5 飽食におぼれている 6 タンパク質を思い切り食べられる 7 野菜をほとんど食べないこれを読んで、どう感じますか。短命村の条件は、現代の日本の日常生活そのものではないでしょうか。「41歳寿命説」が示す警告西丸さんはかつてベストセラーになった「41歳寿命説」の中で、終戦後に生まれた人々が長寿村の条件とは正反対の環境で20歳を迎えた場合、長寿は望めないと指摘しています。真弓先生もこの見解に同意し、こう述べています。「ここ50〜60年の間に、動物性食品を中心にたらふく食べて育ってきた人に80歳の寿命は望めない」遺伝より環境が寿命を決める寿命を規定する要因は、遺伝が25%、環境が75%とされています。つまり、長生きできるかどうかは、親からもらった体質よりも、生まれてからどんな環境で育ってきたかの方がはるかに大きいのです。体質や免疫力の土台は、成人するまでの生活環境によってほぼ決まります。現在80歳のお年寄りが長生きできているのは、成長期に長寿村の条件を満たした環境で育ったからだ、と真弓先生は説明します。だからこそ、子どもの頃の生活環境が重要なのです。「逆さ仏」から子どもを守る西丸さんは昭和34年を「経済発展元年」であると同時に「短命化元年」と位置づけています。そして現在、68歳以上の親が67歳以下の子どもの葬式を出す「逆さ仏」の時代が現実になりつつあります。真弓先生の章の結びは、静かながら切実な訴えです。「長寿村・短命村の条件をしっかりと認識して、日本の伝統文化に則った生活環境に整えることによって、人生最大の不幸である逆さ仏から子どもたちを守っていただきたい」脱薬薬剤師より「平均寿命が延びた=みんなが長生きになった」と思っていた私にとって、この章は目から鱗でした。統計の裏側にある現実を正しく理解すること。そして、子どもの頃の生活環境が一生の健康を左右するという事実。薬剤師として日々感じている「治療より予防」という信念が、数字の面からも裏付けられた気がします。短命村の条件が現代の「当たり前」になっている今だからこそ、意識的に長寿村の条件へと暮らしを整えていくことが大切ではないでしょうか。次回は第7章をご紹介します。治療より予防。薬に頼る前に、まず健康的な生活習慣を。子どもたちの未来のために、今できることから始めませんか。
2026.03.16
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『子ども達に贈る12章』第5章―「人間」とは何か真弓定夫先生の著書『子ども達に贈る12章』、今回は第5章をご紹介します。まず「ヒト」であることへの謙虚さを真弓先生はこう説きます。「人は『人間』である前に『ヒト』という4000種類を超える哺乳動物の一員であるという謙虚さを持ち、他の哺乳動物が生活全般にわたってどのような育児をしているかを学ぶ姿勢を取り戻さなければなりません」そして、しっかりとした「ひとづくり」ができてから、初めて体育・徳育・知育という「人間づくり」へ進むのが好ましいと述べられています。しかし現代では、この順序が逆になってしまいました。知育偏重に走ったことが、人間らしさを失わせる結果を招いたと先生は指摘します。聖路加国際病院名誉院長の日野原重明さんの言葉が、ここでも引用されています。「知識は健康にしない」育児の原点は「同種の乳」にある哺乳動物の定義は「温血・胎生・雌は乳を分泌して仔を哺育する」というものです。つまり、同種の乳で育てることが育児の原点です。イヌがネコの乳で育ったり、ウマがウシの乳で育つことはありえません。文明人を除く哺乳動物は、すべてこの原点を踏み外していないのです。かつての日本人も、ほとんどが母乳(人乳)で育てられていました。しかしわずか60年あまりで、母乳栄養児よりも人工・混合栄養児のほうが多いという、自然の摂理に反する事態を招いてしまいました。真弓先生は確信を持ってこう述べています。「ひとづくりの原点を取り戻す必須の条件は、母乳哺育の復権にある」食の三原則―身土不二・旬・生きもの離乳が完了してからの食について、真弓先生は3つの重要な原則を示しています。① 身土不二(地産地消) 「三里(四里)四方のものを食すれば病せず」という言葉のとおり、自分の住む土地の食べ物をいただくことが基本です。② 旬を食べる 日本には四季があります。食養家・石塚左玄の言葉がここで紹介されています。 「春苦味、夏は酢のもの、秋辛味、冬は油(脂)と心して食え」③ 生きものを食べる ヒト以外の哺乳動物は、草食・肉食を問わず、生きもの以外は一切口にしません。しかし現在の日本では、食べ物のうち生鮮食品はわずか8%。外食が30%、加工食品が62%を占め、加工食品を通じてひとり当たり年間1500種類ものクスリを口にしているのが実態です。消費者保護の活動家ケヴィン・トルドーのこんな言葉も紹介されています。「株式を上場している会社で製造・販売している食品は食べてはいけない」衣と住―通気性と「頭寒足熱」衣について ヒトはサルの仲間であり、日本の気候(北海道を除く)では通気性を保つことが基本です。できるだけうす着の習慣をつけ、木綿・麻・絹などの天然素材を選び、石油化学繊維はなるべく避けることが勧められています。「暖衣飽食病のもと」―この古くからの言い伝えを大切にすべきだと先生は述べます。住について 気温と室温の差はできるだけ小さく保つことが大切で、大人で摂氏10度、子どもで摂氏5度以内が望ましいとされています。かつての日本では、湯たんぽ・こたつ・火鉢・囲炉裏で下半身を温め、うちわや扇子で上半身に涼をとることで「頭寒足熱」が自然に保たれていました。過度な空調(冷暖房)が子どもたちの心身の健康を損ねている現状を、建築家の宮本喰悟さんはこう言い表しています。「いまの子どもたちは保育器の中で育てられている」「人間らしさ」を取り戻すために真弓先生はこの章をこう締めくくっています。私どもは地球上の神羅万象によって生かされている。すべての動物・植物、水・空気・土とともに存在しているという謙虚さを根底に置くことが大切だと。終戦前の日本人が持っていた「覚他の精神」―他者を配慮する優しさ―が、戦後の自己中心主義の広まりによって薄れてしまいました。それが環境破壊や地球温暖化にまでつながっているのではないか、と先生は問いかけます。かつて花鳥風月を愛し、自然との共存を大切にしてきた日本人。その寛容さを、次の世代にどう受け継いでいくか。深く考えさせられる章です。脱薬薬剤師より第4章を読んで、あらためて「育てる」ということの意味を考えさせられました。母乳・食・衣・住―どれも特別なことではありません。かつての日本人が当たり前に実践していたことです。それを少しずつ取り戻していくことが、お子様の健康の土台になるのではないでしょうか。次回は第6章をご紹介します。 治療より予防。薬に頼る前に、まず健康的な生活習慣を。 子どもたちの未来のために、今できることから始めませんか。
2026.03.14
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『子ども達に贈る12章』第4章―「自然」とは何か真弓定夫先生の著書『子ども達に贈る12章』、今回は第4章をご紹介します。「無為自然」―あるがままの姿を大切にこの章は、老子の言葉から始まります。老子は自然を「自ら然り」と読み、万物があるままの姿で存在することが最も大切だと説きます。そして「無為自然」――自然に人が手を加えないことが望ましい、とも言っています。真弓先生はこう記しています。「終戦後わずか60年余りで、物質文明の普及による一見豊かな生活と引きかえに、より大切な日本の自然環境が汚染・破壊の一途を辿っているのが悲しい現状です」と。この章では、自然環境を「水・土・空気」の3つの視点から見つめ直しています。■ 水のこと―合成洗剤が川を汚している1931年、東京・日本橋に生まれた真弓先生は、幼い頃の隅田川を「清く澄み、白魚など小魚が群れていた」と振り返ります。ところが1950年代に入ると、工場排水に加え、家庭からの合成洗剤を含む雑排水が川に流れ込むようになり、魚の死骸や奇形魚が見られるようになったといいます。いま、水を汚している主な原因は、家庭で当たり前のように使われている合成洗剤です。石鹸との違いは明らかです。動植物の油脂と土から作られた石鹸は、使用後24時間で炭酸ガスと水に分解され自然に還ります。一方、合成洗剤が自然に戻るまでには、河川で10日、海水で15日もかかります。合成洗剤追放に生涯を捧げた東京医科歯科大学の柳沢文正さんは、「終戦後の公害の中で合成洗剤が関与していないものはひとつもない」とまで言い切っています。私たちが心がけるべきことは、生活から排出される廃物を「いかに早く自然に還元できるか」――その一点に尽きるのかもしれません。■ 土のこと―「土は生きている」「土から生まれ土の産むものを食って生き、そして死んで土になる。われらは畢竟土の化け物である」これは文豪・徳富蘆花の言葉です。しかし現代はどうでしょうか。産院で生まれ、鉄筋住宅で育ち、コンクリートの校庭で遊び、工場生産の加工食品を食べる。真弓先生は「土の化身どころか、コンクリートの化け物に成り下がってしまっているのではないか」と問いかけます。土とコンクリートの最大の違いは、「土は生きている」という点です。土の中では、植物・動物・微生物が絶え間なく循環し、命を育んでいます。この自然の輪廻こそが、健全な農産物を生み出し、私たちの心身を育てる源なのです。また、真弓先生は水田の大切さについても触れています。水田は洪水を防ぎ、土壌を守り、温度を調整するなど、日本の国土を守る多くの役割を果たしています。「水田軽視は農業を滅ぼし国を亡ぼす」という言葉が、重く胸に響きます。■ 空気のこと―冷暖房が「冷え」を生んでいる「自然に最も反することは、物を過度に加工すること」と真弓先生は言います。水や食べ物については意識が向いてきましたが、空気の加工――すなわち冷暖房については、まだほとんど目が向けられていません。「冷えは万病の元」という言葉があります。ここで言う「冷え」とは、体が冷たくなることとは異なります。「頭寒足熱」に反して、上半身より下半身が冷えてしまう状態のことです。実は冷暖房の構造がこの「冷え」を招いています。暖房では、温められた空気が部屋の上部に溜まり、足元が冷えます。冷房では逆に、冷えた空気が床付近に溜まり、やはり下半身が冷えます。どちらも「頭寒足熱」に反する状態なのです。かつての日本人は、こたつ・火鉢・湯たんぽで下半身を温め、うちわ・扇子で上半身に涼を送っていました。まさに頭寒足熱の知恵が生活に根付いていたのです。建築家の宮本喰悟さんは、著書の中でこう言い切っています。「いまの子どもたちは保育器の中で育てられている」と。脱クスリ薬剤師より水・土・空気。当たり前すぎて、普段はほとんど意識しないものです。でも、私たちの健康はそのすべてと深くつながっています。合成洗剤を石鹸に変える。土に触れる機会を増やす。冷暖房に頼りすぎない。どれも、今日からできる小さな一歩です。お子様の健やかな成長のために、まず生活環境を見直すことから始めてみませんか。次回は第5章をご紹介します。治療より予防。薬に頼る前に、まず健康的な生活習慣を。子どもたちの未来のために、今できることから始めませんか。
2026.03.12
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