2020年には貧富の差が一層拡大してしまう。イチゴが一粒150ドルもし、一般大衆は、強大な食品加工企業ソイレントの濃縮栄養ウエハースくらいしか食べられない。このウエハースは「最良の海底生物からつくられている」とPRされているが、それは嘘八百で実は人間の肉が使われていた! 以上は、1973年のSF映画「ソイレント・グリーン」から。企業が独占状態になると、私たちは選択権を失ってしまう。先日、「巨大企業は民主主義を滅ぼす」(ノリーナ・ハーツ著)を読んだ。かつて叫ばれた「金融ビッグバーン」なんて当たり前。いまやグローバル企業が着々と市場を占有している。同書によれば、現在、世界の上位100社で世界の資産の20%を支配し、国家と企業の経済規模を上位から並べると、100番目までに企業が51社も含まれている。そして、こうした企業は政治への発言権を拡大している。2000年の米大統領選では、候補者は計10億ドルも選挙資金として使った。これらの大金は企業による政治献金でまかなわれる。こうして、政治は大企業の言いなりになり、92年にはビールへの課税が見送られ、97年にはタバコ税が軽減された。逆に、マイクロソフトが独占状態を問題視されたのは、ビルゲイツの献金が少なかったからだといわれる。と、いうところまでは、政治とカネの問題で、とくに新しいことではない。問題は本のタイトルの「民主主義を滅ぼす」というところ。このタイトル通りだと、企業が有権者をなんらかの形で買収していないとダメなのだが、そのことには最後まで触れずじまい。まったく竜頭蛇尾じゃないか。政治家を有権者が選挙で選べる限り、企業が大きくなったって、政治はその企業の影響を受けるだろうが、民主主義は滅びない。これ自明。ちなみに原題は「The Silent Takeover(Global Capitalism and Death of Democracy」)。