西新オレンジ通り日記

西新オレンジ通り日記

おばあちゃんのへそくり


「ばあさんが亡くなって、布団の下の畳をめくったら
一万円札が敷き詰めてあったとよ~。」と友人が笑っていたので
私も別の友人から聞いた、とっておきのへそくり話を披露させてもらった。

その人のおばあちゃんは、市内の古い平屋で1人住まいをしていたが
病気で入院することになっってしまった。
病気ひとつしたことのない元気な人だったが、高齢でもあり
子供や孫が、あちこちから駆けつけた。

すると、おばあちゃん長男を枕もとに呼び寄せ
自宅にお金が隠してあるから、探してもって来てくれと言い出した。
指を一本立てるので
「ばあちゃん、10万ね?」と聞くと
「うんにゃ!」と首を振る。
「お!100万ね?」と聞くと、
「うんにゃ!」とまたまた首を振る。
「ええっ!1千万ね?」と驚いて聞きなおすと
「うん!」とうなづいたので、大騒動になった!

早速、ばあちゃんの棲みかに皆で出かけ
仏壇の中から、押入れの中、タンスの中など
ひっくり返して調べ始めた。
この際だからと、女性軍は掃除をしながらあちこち調べるが
なかなか、お金は出てこない。

「タンスの裏は?」と
タンスを移動して、埃だらけのタンスの裏側を探ってみるがない。
「畳の下なんじゃないの?」と誰かが言い出し
畳をすべて庭に干しながら調べるが、畳の下にもない。

「もしかしたら、天井裏?」
「年寄りがそこまでするか?」と言いながらも
「いや、ばあちゃんならわからんぜ!」と
くもの巣だらけの天井裏を、掃除しながら隈なく探すが
やっぱり、出て来ない。

と、ここまで来てやっと
「ん?もしかしたらババアにしてやられたかな?」と気付き
病院に戻って
「ばあちゃん、どこにもなかったバイ!」というと
「おや、そうだったかな?」とばあちゃんトボケた!

「うわ~!結局、みんなに掃除ばさせたとー?」と友人。
「そう!大掃除バさせたとさ~!」
「畳も上げてー?」
「天井裏までー!」
「もしかして、ばあさんその後元気になったとか?」
「うん!ピンピンして退院しんしゃったげなよ~!」
「そりゃ、よかねー!!」

ほんとーにすごい!おばあちゃん!
逢ったこともないけれど、一度、お目にかかりたかったわん♪

人を動かす術を知っている。
いっぱい食わせても、笑って済ませる徳をもつ。
私も、こんな<したたかなばあさん>になりたいものだ!と
以来ず~っと思っている。

ん~、でもまず、
「もしかしたら一千万ぐらいへそくり持っとるかも?」
と思われるような、
<しっかり者のばあさん>になる方が先だわね~?




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