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十二月になると、新橋の街は一年のうちでもっとも人間臭い熱気に包まれる。
烏森口を出れば、すぐさま居酒屋の呼び込みの声が降ってくる。赤提灯が連なる路地からは、焼き鳥の煙と笑い声が立ち昇り、冷たい夜気に溶けていく。サラリーマンたちは、ネクタイを緩めて、一年の疲れを吐き出すように盃を重ねる。
「今年も終わりだな」
誰かがそう呟けば、隣の男が「まだひと月ある」と返す。そんな他愛もない会話が、この街の年末を作っていく。
ガード下の店では、若手社員が上司に説教されながらも、どこか嬉しそうに頷いている。忘年会のシーズンだ。普段は厳しい上司も、この時期ばかりは酒の力を借りて本音を漏らす。説教も、愚痴も、すべては来年への期待に変わる魔法のような時間。
駅前のロータリーには、タクシーを待つ人の列ができる。手には紙袋。取引先への歳暮か、家族への贈り物か。冬のボーナスで買ったのか。
新橋は、東京の中心でありながら、昭和の面影を残している。高層ビルの谷間に、小さな飲み屋が軒を連ね、サラリーマンたちの聖地として息づいている。
年末の新橋は、終わりと始まりが交差する場所だ。
一年の疲れを洗い流し、新しい年への活力を蓄える。そんな儀式のような時間が、今夜も烏森神社の灯りの下で繰り返されている。

年末に向けて、新橋(新橋1+Artguru)
年末に向けて、新橋(新橋1)
年末に向けて、新橋(新橋2+Artguru)
年末に向けて、新橋(新橋2)
年末に向けて、新橋(新橋3+Artguru)
年末に向けて、新橋(新橋3)