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花見川サイクリングロードを、海へ向かって歩く。アスファルトに残った昼間の熱気が、夜の湿気と混じり合い、肌に薄い膜のようにまとわりつく。道の傍らでは、盛りを過ぎた紫陽花が、街灯の乏しい闇の中で鈍い青白い光を放っていた。それはまるで、地面にこぼれ落ちた星屑が、泥にまみれてなお自浄しようともがいているようにも見えた。
空を見上げれば、六月三十日の満月が、薄い雲の衣を透かして君臨している。月光は慈悲深く、かつてこの地を覆っていたはずの雑多な色彩を剥ぎ取り、すべてを銀と黒の二階調へと塗り替えていた。
弁天橋のあたりまで来ると、川のせせらぎに混じって、茂みの奥から微かな光が明滅した。蛍だろうか。
ふと足を止め、欄干に手をかける。水面には、揺らぐ月と、遠くの街灯が細長い金色の糸となって溶け合っていた。二年前、あるいは五年前の自分なら、この景色をどう見ただろうか。世界は少しずつ形を変え、私たちの呼吸もまた、目に見えないほど微細な変化を強いられている。それでも、この川を流れる水の重みと、六月の湿った夜気だけは、変わらぬ手触りで私を現実へと繋ぎ止めていた。
(文:Manusによる)
花見川の夜景、2026年6月末(写真1+Google)
花見川の夜景、2026年6月末(写真2+Google)


花見川の夜景、2026年6月末(写真1〜4) コラージュ
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