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私は幕張の公園大通りを歩いていた。
この道には、歩く人間を急がせない幅がある。両側に並ぶ木々は、街路樹というより、都市のなかに残された長い記憶のようだった。風が吹くと、葉の裏側が一斉に白く返り、そこだけ海が近くなる。
かつて私は、未来というものを、もっと明るくて滑らかなものだと思っていた。空を走る車や、眠らずに働く機械や、どこへでも瞬時に行ける扉のようなものを想像していた。けれど実際の未来は、ほとんど同じ姿をしていた。
便利になったものは多い。遠い人の声は、指一本で呼び寄せられる。けれど、答えが早くなったぶんだけ、人間のほうは、問いを抱えている時間を失った気がする。 私はポケットのなかの端末に触れた。画面には、午前中に届いた一通のメッセージが残っている。
――元気です。そちらはどうですか。
短い文章だった。送った相手は、もうこの街にはいない。海を越えた場所で、別の言葉を使い、別の朝を迎えている。返事を打とうとして、私は何度も画面を閉じた。「元気です」と書くのは簡単だった。だが、それだけでは嘘になる。元気ではないわけではない。ただ、元気という言葉の輪郭から、少しずつ外へはみ出している。
海からの風は、少し冷たかった。
幕張という街は、海を見せないまま、海の気配だけをあちこちに残している。ビルの隙間を抜ける湿った風、舗道に薄く残る潮の匂い、遠くから聞こえてくる船の低い音。見えないものは、見えるものより長くそこにいることがある。
日が傾き、ビルの影が通りを横切った。影のなかに入ると、世界は一度、音を小さくした。歩く人の靴音、信号の電子音、葉の擦れる音。そのどれもが、さっきまでより近くに聞こえた。
私は端末を取り出し、返事を書いた。
――こちらは夕方です。公園大通りを歩いています。今日は風がきれいです。
(文:Manusによる)
幕張の公園大通りを歩く(写真1+Google)
幕張の公園大通りを歩く(写真2+Google)
幕張の公園大通りを歩く(写真3+Google)
幕張の公園大通りを歩く(写真4+Google)
幕張の公園大通りを歩く(写真5+Google)
幕張の公園大通りを歩く(地図)
幕張の公園大通りを歩く(写真1〜5) コラージュ
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