さわらびの「今日の人生勉強」

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母親が娘をつくる


今日は「あいさつ」についての心温まる話をご紹介したします。

◆『母親から学んだ、心やさしいあいさつ』◆

「早春賦」を口ずさみたくなるような一日。
団地内の道に、そっと開き始めた梅の花を、
小学三、四年生くらいの女の子が見上げています。

私も思わず引き寄せられ、女の子に

「こんにちは。梅の花のどんなところが好きですか」

と語りかけました。すると、女の子は、

「木ぜんたいがやさしくて美しいのもいいけど、
 どの小さな花も、みんな、しっかり咲こうとしてるのがいいです」

と答えました。
女の子は、梅の美しさよりも、生まれたばかりの一つ一つの花が、
文字どおり、りんとして生きようとしていることに、心を動かされていたのでしょう。
さて、こうして、私と女の子は、道で会っては、

「おはようございます」
「こんにちは」

と、あいさつを交わすようになりました。

それも、女の子のあいさつが、どんな時も、素晴らしいのです。
歩いているときは、必ず立ち止まり、両手を少し前に合わせるようにして、
心そのものが表れた笑顔で、あいさつの言葉をはっきり言います。
頭だけを下げるのではありません。腰も浅く折ります。

それに、
「今日は、あったかいですね」
「道の向こうで工事をしています。気をつけてください」

などの言葉までそえてくれるのです。

友だちと一緒の時も、仲間との話を中断して頭を下げます。
そして、やがては、その仲間たちまでも声をそろえて、
あいさつをしてくれるようになりました。

ある日のことです。バス停で、その女の子に頭を下げられました。
すると、女の子の後ろにいた三十代半ばの婦人からも、ゆっくり腰を折られました。
手の合わせ方も、笑顔も、女の子とそっくり。女の子の母親だったのです。

やがてバスが来て、並んでいた人たちが乗り始めました。

すると、女の子の番が来たとき、母親は、女の子の肩をたたいて足を止めさせ、
自分の体も横に引き、すぐ後ろに並んでいた七十歳過ぎのお年寄りへ声をかけました。

「どうぞ、お先にお来りください。
 けい子(その女の子の名)、お席まで荷物を持ってさしあげたら?」 

女の子は、すべて、母親から厳しくしつけられているのではなく、
きっと、自然に、母親から学んでいるだけのことです。

また、母親は、あたりまえのこととして、心のままに、やさしく、
人への思いやりの心をもって、毎日を過ごされているだけのことでしょう。

小さな少女の道端での私へのあいさつ。
それは、母親の姿から、自然に、身についたものであったのです。



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆(今日の贈り物)◆◆◆◆◆

良いことも悪いことも、子供は親を真似て育つものなのですね。
ある人から言われました。「子供は親の言うことを聞かないが、
親のした通りの真似をして育つ」と。口で言うばかりでなく、
心と姿で我が子へ、そして人へ伝えることが大切なのだと反省反省です。
この少女とそして母親のすばらしさに、私も学ばねばと思わされました。


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