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昨夜、無事に出産しました。
母子ともに健康です。
わ、私ではなく・・・・
うちのペット、カマキリの「キリちゃん」です。
屋外で放し飼いですが(つまり、ただの野生ですが)
うちの家の壁に住み着いていて、昨夜、卵を産みました。

・・・・先日、家の壁にカマキリを発見!
カブトムシの幼虫やザリガニを飼っているため空いている虫かごが無く、
空き瓶で飼われることになったキリちゃん。
ふと、オナカを見るとすごーく膨らんでいる!
もしや!おなかに赤ちゃんが!
「これ、おなかに赤ちゃんがいるのかも! お外に返してあげよう!逃がしてあげよう!」とお兄ちゃんに何度も言ったのだが、
「嫌だ。せっかく捕まえたのに。飼う。逃がさへんもん」と聞いてくれない。
図鑑やネットなどで調べたわけではないけれど、同じ母としての直感で、
妊娠しているのは間違いないと思った。
このまま、瓶の中では絶対に死ぬに決まっている。
身ごもったまま命尽きるなんて、どうしても我慢できない。
再度お兄ちゃんに、逃がしてあげようと説得する。
嫌だの一点張り。
その繰り返しで早2日経過。
もう衰弱しきっている。
赤ちゃんは無事なのかしら?
この時期にお母さんは栄養(エサ)を取らなくて体力は大丈夫なのかしら?
産気づいたら知らせてよ、必ずお兄ちゃんの返事なんて待たずに逃がしてあげるからね。
もう感情移入しまくりで、心配で心配で・・・。
しつこいくらいに、お兄ちゃんに「逃がしてあげて」と言う私。
だんだんキレてきて
「キリちゃんとおなかの赤ちゃんが死んだら、あんたのせいやで!
お母さん、お願いやしお外に逃がしてあげてほしいねん」
と半泣きで訴える私。もう意地になって100回以上は言うてたかもしれん。
すると、息子が反撃に出た!
「カブトムシの幼虫だってな、ザリガニだってな、同じ命やんか、
なんでそれは逃がさなくてもよくて、
なんでカマキリだけ逃がさなあかんの。
この前、ちょうちょ捕まえても、トンボ捕まえても、虫かごに入れても、そのときは逃がしなさいってお母さんは言わへんかったやろ?
金魚もお外に逃がしなさいて言わへんかったやろ?
死んだときも何も言わんと埋めてたやろ?
なんでカマキリだけアカンアカンって言うの?
全部、同じ命やんか。
ぼくはカマキリが好きやねん。飼いたいねん。
お母さん、逃がせ逃がせてうるさいねん。
死んだら僕の責任でもでもかまへん。
ちゃんと土に埋めたるもん。
お母さん、僕は絶対に逃がしてやらへんからな! 」
・・・・・・・。
「お、お母さんはな・・・・ただな・・・
赤ちゃんがおなかに要るのに、この瓶のなかで死ぬ姿を見たくなかっただけなんや・・・
・・・・・どの命も大切やで。あんたの言うこともわかるで・・・」
なんかしらんけど泣いてる私がいた。
翌日、「カマキリ、逃がしてもいいで」とお兄ちゃんが言った。
すごく衰弱しているカマキリ。
でも瓶から出すとヨロヨロと歩きだした。
いつもの挑発的なカマキリの姿はなく、
そこには陣痛に耐えているようなキリっとした母の強ささえを感じた。
その夜、外から帰ってきた主人が「カマキリ、家の壁に赤ちゃんを産んでる最中やで」と言った。
私は走って外に出た!

がんばれ!
お兄ちゃんを叱っていたあのとき、もしかしてただのオナカが大きい種類のカマキリなのかも? と頭をよぎったこともあった。
でも間違いないやっぱり貴女は妊娠していたのね。
そして無事に出産。
実は昨年もその場所と20センチも離れない場所にカマキリの卵があった。
ある日、卵から無数のチビっこいカマキリが出てきて感動したことがあった。
そのときの子どもが大きくなって、またこの場所を選んでくれたのかもしれない。
家の前は普通のアスファルト。
自然豊かな場所ではないこの土地を選んで、新しい命を生み出したこと、
たとえ虫であれ、とても晴れやかな気持ちになった。
・・・・・・・・・・・とまあ、ずいぶん熱く語ってしまいしたね。
虫の産卵の話でよくここまでお付き合いくださりありがとうございます。
これがゴキなら絶対に許されない話だけどね、あはは。
ともかくお兄ちゃんも「逃がしてよかったね。また赤ちゃん産まれたら捕まえるしな」と微笑んでいました。
屋外で放し飼いのキリちゃんは、産後しばらくその場所にジッとしていました。
「もしや? 産んだあとそのまま死んでしまったの?」と心配しましたが、
次に見たときにはゆっくり移動しはじめていました。
「よかった。生きているね」とお兄ちゃんと声を出して喜びあいました。
そして静かに居なくなっていました。