つまずく石も縁の端くれ

つまずく石も縁の端くれ

2024年04月18日
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カテゴリ: アート


この美術館は、世界中の美しいデザインの椅子が多数
コレクションされていて、さらに実際に座れることがで
きる素敵なところです。そんな椅子にこだわりを持つ美
術館が、デザインの視点からではなく、現代アートの視
点からの様々な切り口で、椅子をモチーフとして表現し
た作品の展覧会でした。

マルセル・デュシャンのレディメイドの作品として有名
子をめぐる様々なドラマを見るような非常に興味深かい
展覧会でした。

椅子って何のためにあるのか?と問われれば、ふつうは
仕事をしたり、食事をしたりする際に使い、また楽をし
たり、身体を休めるためにあると考えるのでしょう。と
ころが、実際にはそうでない場合が多々あります。権力
の象徴としての王座、バリケード封鎖に利用される椅子、
そして拷問に使う椅子や究極は死刑執行のための電気椅
子もあります。アンディ・ウォーホルのカラフルな椅子
のシルクスクリーンの裏には、実は死のにおいが漂って
いるのです。そんなことに気が付くとても恐ろしくなり
ます。

日本の現代作家では名和晃平のピクセルシリーズがあり
ました。今回はお得意の動物のはく製を利用したもので
はなく、椅子やテーブルの周りを球体で覆っています。
そして、その間から覗くのはタロットカードです。はく
製の作品を見た際に感じる生と死の有り様ではなく、占
いという観念のようなものを封じ込めたなぁと感じまし
た。宮永愛子のナフタリンで作った椅子もありました。
形あるものはいつかはなくなるが、痕跡だけは永遠に残
る・・・

このようにどの作品も椅子という家具を通して、作家の
持つ問題意識を表現して、いろいろな課題を私たちに投
げかけてきます。そんなことをつらつら考えながら、現
代アートを楽しめる展覧会でした。

常設展でも多くの椅子の展示があり、倉俣史郎のバラを
こちらは世界で一番美しい椅子だと思います。どんな座
り心地なんでしょう。(4/6)





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最終更新日  2024年04月18日 04時05分09秒
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