深い深い床(1994)

深い深い床(1994)

丸い蛍光燈を見つめている。
ただぼうっと見つめている。
やがて蛍光燈は、分身するかのようにふわりふわりと落ちてくる。
ソファーに横たわった俺の横を通りすぎ、フローリングの床に沈んでいく。
蛍光燈は間隔をおいてどんどん降ってくる。
すべては暗い床に消え、床が底知れぬ沼だと俺に伝えているかのようだ。
いま、ずるりと身をずらし、そっと床に落ちたらどうなるだろう。
俺も沈むのだろうか。
そしてどうなるのだろうか。
蛍光燈は俺を誘うかのように次から次へと沈んでいく。
床の下には何があるのだろう。
帰ってこられるのだろうか。
いや、帰る必要は無いかも知れない。
この部屋は暗すぎる。
ファンの音も聞き飽きた。
沈んでみよう、何も考えずに。
そして、願わくばそこが安らぎのある世界であることを願おう。



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