私的伝説



小学校時代からの友人と、今年の3月(2月だっけ?)に飲んだ。

彼女とは古い付き合いであったが、大学時代は少し疎遠になって一緒に酒を飲んだことも数えるほどしかなかった。

その日は、たしかホントに久しぶりに会って地元の居酒屋『きちんと』で飲んだのだった。

彼女は結構、飲める。そいでもって私も結構飲める。
飲める者同士が向き合った上に、久しぶりということもあって私達の勢いはとどまるところを知らなかった。

彼女のつきあっている彼の話や、その頃の私の近況。お勧め日本酒を片っ端から注文して流し込んでいた。

ふと外を見ると雪が降っている。しかもちょっとやそっとじゃない。

「ねーねーなんか外はエライことになってるよ~」

私も最終バスが出てしまいそうだし、おひらきにすることにした。
彼女は自転車だというから大変だ。

店の前で、彼女と晴れやかに別れて私はバスに乗った。チェーンをつけてゆっくりと進む。珍しい大雪だ。
でも最後まで乗っていられなかった。途中で気持ち悪くなってしまったのです。
雪がシンシンと降っていて、車も人もいない。最終バスも行ってしまった。
私は心のどこかで、「やばいなぁ~、これってシャレにならないなぁ」と思いつつ、ようやくたどり着いたコンビニの明かりの下に座りこんでいた。

ふと思いついて自宅に携帯で電話した。
そしたら、うちの親父さんが雪の中、ゆっくりゆっくりと迎えに来てくれたのでした。いつもはおっかない親父だが、その時は何も言わなかった。ありがたかったなあ。

翌日、私は友人に電話して昨夜のヤバイ経験について話した。
でも、彼女の方がやばかった。

彼女は自転車を押して帰っていったのだが、ふと気づくと雪の中で寝ていたらしい。
そして、カバンがない。そしてそして、なぜか財布と携帯だけは握り締めていたのだという。

シャレにならん。生きててよかった。

交番にいくとちゃんとカバンも届けられていたそうで、一件落着。
今では、私達の伝説となり時々思い出しては、ニンマリしてしまう。
危うく凍死だけど、そうなるまで飲んでしまったあの夜のマジックは幸せだったな。

雪を見ると思い出すんですよね。必ず。
そして、この言葉も思い出す。

“酒は呑んでも 呑まれるな”


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