MUSIC LAND -私の庭の花たち-

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歌「海の匂い」




をクリックすると、「海の匂い」の歌が聴けます。


「海の匂い」作詞 回覧板さん

松林の小道をすり抜けて
車を砂浜に横付けにすると

潮騒の呼ぶ声が聞こえてくる。

助手席で
君が抱いていた子犬が立ち上がる

ドァーを開けて
子犬をゆっくりと砂浜に落としたら
一緒に駆けていくんだ。

真珠のイヤリングを揺らしながら
上半身だけ、ふっと廻って
ヴィ=サインを投げかける

そのいたずらっぽい笑顔が好きさ

喜びに満ちた
雨上がりの夏の朝の浜辺

波は高く
笑い声をかき消されながらも
海のにおいのなかに
溶けていく

朝焼けの空には、もう鴎が
おでましさ

波打ち際まで走ったら
まっすぐなミニの脚を
見せておくれよ

きよらかな瞳と笑顔をもってして
この朝靄の浜辺で王女となって
君臨するんだ。

王女はさざなみに足を吸い寄せられると
軽い悲鳴をあげるのさ


幸せとは、浜辺の足跡のようなものだね
振り返れば、いつしか波に消されている


海辺の小石を拾いながら
時々、僕の所に戻ってきて
「めずらしいでしょ」って
耳元でささやくんだ。

唇に人差し指を立てては
「幸せな時は、口に出してはだめよ」と
まるで子どもに言い聞かせるようだね

子犬は、君にまとわりつきながら
ストライプシャツの腕に噛み付いて
離そうとしない。
「やめなさいったら」と言う声が甘く
僕の胸をくすぐるよ

こんな幸せがいつまでも
続いたらと
君を追いかけながら、ふと思う

浜辺には
たったふたつの足跡に、
てんてんとまとわりついて
子犬の足跡

太陽が眩しく世界を包み込む頃には
車に戻って、汗を拭きながら
また微笑を交わす。

転げまわってついた子犬の砂を払いながら
帰路に着くんだ。

君が指で砂辺に書いた
「詩人と王女Mここに走る、そして犬も」
の文字は、今頃
波に洗い流されていることだろう。

こんなお決まりの日課が
僕たちが拾ってきた子犬によって
突然に授けられた。

草叢のなかで、はいつくばって
今にも死にそうだった子犬のいのちが
僕たちに幸せをもたらしたのだ。

やがて
どこまでも、まっすぐな
海岸線を走り続けると
助手席で
君も子犬も
すっかり眠りについている

すこやかな
海の匂いのなかで
真珠のイヤリングだけが
小さくささやかに
揺れている







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