ふつうの生活 ふつうのパラダイス

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2007年01月07日
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カテゴリ: 読書ノート
『ダーク・ウォーター』 を見たので、原作も読みました。でもこれは短編集になっていた。その一話目のお話が映画になっていたようです。
でもって原作では、主人公は死なないし、テーマもちょっと違う。幽霊もちょっとしかでてこなかった。




原作で描かれているのは、 都市の持つ恐怖 なんだと思う。

幽霊に取り殺されるホラーではなく、都会の持つ得体の知れないものというか、都市ゆえにそれも日本の都市のもつ独特の恐怖なのかな。

映画『ダークウォーター』では母と娘の愛がメインになっていました。でも、原作では違う。

主人公は非常に感覚というか、触覚というか、感性というか、それがものすごく敏感なんですね。
夫婦の性生活にすら嫌悪感しかわかないような、現代社会には意外に多い潔癖症の度合いのやたら高いタイプ。だから、夫の無神経にもがまんがならなかった。

そして、この感度の高さゆえに、マンションの屋上にある貯水槽のなかに死体があることにきづくわけです。都市に住むほかの人たちが二年たっても気づかなかった謎にきづくわけです。

そして、死体にきづいた途端、今まで自分が飲んでいた水、風呂に使っていた水、食器を洗ったりしていた水が、 死体づけの水 だったことにきづいた時、主人公は激しい嘔吐に襲われ、そしても動けなくなってしまう。

物語の中に出てくる幽霊の美津子は、それを主人公に気づかせるための道具立てに過ぎない。
だから、これは幽霊話の怖さではない。

ま、敏感な主人公でなくても、わかったら、そりゃー気持ち悪いですよ。十分。

昔、マンションの屋上の貯水タンクを調べたら、ねずみの死骸やいろいろなごみ、苔、の生えた非常に汚い水であることがわかったという驚愕のニュースを聞いたことがあります。それからは、法的に定期的にチェックするようになったのじゃないかと思うんですけど、やっぱりこの話のように管理のずさんなマンションはいまでもいっぱいあるでしょうねえ。そして、そのことにきづかないまま、無頓着に使っている人たちは多いはず。

そして、貯水タンクの水にかぎらず、今の都会、だけでなく、現代社会で生活しているということは、今自分たちが口にしているものが実のところなんなのかわからないという恐怖をこそ、この物語は書いてあるわけですよね。ちょっと前の某大手牛乳メーカーのタンクも細菌だらけだったことが発覚して、世間的に大ニュースになりましたよね。

普段の食品だって、いろんな添加物がはいってるわけでして、でも、自分でつくっているのでないかぎり、買ってきたものを食べて生活している限り、本当のわからないまま食べているわけですね。

ある程度はてづくりできるにしても、限度がありますから、もう無神経に無視するしかないかもしれないけどね。

でもこのヒロインがそこまで気づいてしまったら、もう、現代社会では生きていけないかもしれません。

この物語にかかれているのは、そういう恐怖です。

こないだだって餃子に残飯のようなものが入っていたことがわかって、その会社の社長は自殺しちゃったなんてニュースもあったし。今日本にでまわってる安い中国野菜だって、中国の汚染された景色や土壌の写真なんかみちゃったら、怖くて買えないんですけど。

で、こういうことをすごく気持ち悪い質感を感じさせる描写ですごく怖く描写してあるわけですよ。鈴木光司の小説は。

でも、『リング』も、『らせん』も読んだことないし、この本もまだ、一話目しか読んでないけどさ。

そして、それとともに、自分の不愉快、不快にはすごく敏感なのに、他人の不快、不愉快には意外と無頓着な現代の都会の人間たちの無神経振りをも、見事に描写し、指摘してある作品でもあるわけですね。

主人公は自分の不快感にしか意識がいってないし、主人公の夫もとっても無神経。

そういう現代社会の問題点と怖さが描かれているんですね。で、なぜか、これが映画になると、死体入りの水の気持ち悪さなんかはどっかいっちゃって、母と娘の愛の話とかになっちゃう。

原作のテーマを平気で無視している映画製作者側の無神経ぶりもなかなかすてきじゃあないか。はっはっは。











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最終更新日  2007年01月07日 09時09分50秒
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こ、こわ・・・  
ままちり  さん
死体の入った水ですか。
どう考えても気持ち悪いです。怖いです。
水死体って普通の3倍くらいにぱんぱんに膨れ上がっているんですよね~真っ黒で。
内臓とかふにふにしてこなかったのかしら。
金魚だって死んだものの周囲の水は濁るのに。
そんなものを口にしていたなら怖すぎます。
せいぜいトイレの水とか植木の水ですね。
鈴木光司の小説で怖さって感じたことないけど、これはここで読んだだけで怖かったです。
映画だって親子の愛なんかにしないで徹底的に生理的に怖いそっちにするべきですわ!! (2007年01月07日 12時45分11秒)

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Re:こ、こわ・・・(01/07)  
civaka  さん
ままちりさん
ねーっ。やっぱり気持ち悪いですよね。
うう、ままちりさんの描写もなかなか真に迫ってて迫力あるよォ。
鈴木光司は、怖さっていうより、気持ち悪さが売りなんですかね。
これを映画でやると相当気持ち悪いでしょうね。
うへえー。 (2007年01月07日 20時45分21秒)

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