HANNAのファンタジー気分

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ファンタジーと児童書大好きな
HANNA のプチ書評日記。

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天までひびけ! ぼくの太鼓


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海鳴りの石 』全4巻もよろしく!
海鳴りの石1
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海鳴りの石3上
海鳴りの石3下
  僕の親父はファンタジー作家。新作に取りかかったが、しょっぱなから
行きづまって、ぷいと旅に出かけてしまった。主人公も登場させないうちに
スランプとは……だが、寝ていた僕の頭の中に、その主人公が突然、現れ
た。「君、力を貸してくれ」。かくて僕は親父の物語の世界に入りこみ……
  心おどるファンタジーの世界をあなたに!
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更新! 11月の詩「11月の朝」 収録「スカートゼミ」 hilban2

 
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 J.R.R.トールキン
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J.R.R.トールキン
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October 15, 2025
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時の支配者(The Timemasters) 」です。ただし当時観たのは英語版の日本語字幕でした。
 先日、その作品を某配信サービスで見つけ、懐かしさのあまり一気見してしまいました。ルネ・ラルー監督 Les Maîtres du temps (1982年)。リマスター版が最近できて日本でも上映されていたそう(ただし映像が所々乱れたり、音声がズレたりしています)。

 深い独特の色合いでシンプル・シュールに描かれた異星の風景、流れるテクノポップ。それらは、奇妙な夢を見ているような浮遊感を生みます。キャラクターは、欧米のコミックス(フランスだから バンド・デシネ ですね)風。どこか懐かしいような、斬新なような、幻惑的な雰囲気。
 今観ると、SFがまだサブカルであった頃のあの斬新さは、レトロに感じられます。

 ストーリーもシンプル (以下ネタバレ) 。輸送業者ジャファーの宇宙船に、ペルディド星の友人から救難信号が入る。友人夫妻は死に、1人取り残された幼い息子ピエールが通信機「マイク」を持っている。亡命する王子・王女とお宝を乗せているジャファーは行く先を変更し、救出に向かう。途中でペルディドに詳しい老人シルバードと小妖精2人が加わる。


 この歌がなぜか私の耳にずっと残っていて、SFらしからぬバンジョーのフォークソングなんですが、昔観た英語版では、サビで「♪Another Robinhood~」などと歌っていたのが、もとのフランス語では大酒飲みの放浪者の歌詞になっていました。お国柄で歌詞も変わるのですねえ。

 邪心を起こした王子が出奔し、彼と彼を追うジャファーはガンマ星に不時着。のっぺらぼうの白い天使の姿をした集団につかまります。彼らは炎のような思想体に操られて個性を失っています。この天使のビジュアルも強烈で、あとから読んだ ミヒャエル・エンデ『鏡の中の鏡』 に、彼の父の描いた絵とともに「天使」が出てきた時、私はこの映画の天使が頭から離れませんでした。
 天使たちが(英語版では)「ユーニティ(統一)! ユーーニティ!」という叫びの中でジャファーたちを炎に投げ込もうとする儀式の場面には、うすら寒い恐怖を覚えました。が、ここで王子は改心して自ら炎に飛びこみ、統一を拒み憎むという強固な意志によって炎の思想体を打ち破り、自らも果てていきます。
 おお、こんなところに「マビノギオン」のエヴニシエン伝説が出てきました! 人間を不死の奴隷に変える大釜に自ら飛びこみ、釜を破壊して果てるクセ強のウェールズ王子のエピソード(以前 「オレンジ党」シリーズ で出てきました)。

 さて、ようやくペルディド星に近づくジャファーたちの宇宙船。ところが突然、時空の歪みに突入して全員失神してしまいます(これも既視感、 「クラッシャー・ジョウ」 映画版( 安彦良和 、1983年)で、宇宙船が突入したワープ空間が不意に歪められる場面。この時代の流行だったのかも。そういえばジャファーはクラッシャー的だし、ほかにもスペースオペラの要素がいっぱいです)。そして、時の支配者なるエイリアンに、ペルディド星を植民化するにあたり60年過去に戻したと教えられます。

 Wikipediaなどによると、ストーリーのこの部分は原作(なんと1958年の小説)を改変していて、原作では光速によるウラシマ効果によってペルディド星と宇宙船乗組員とに時間のズレが生じるのに対し、映画では時間を操るエイリアンを登場させています。


 昔の私はこの最後のタイムリープに煙に巻かれた気分になり、説明不足だと感じました。今思えばエイリアンは、過去の自分自身と出会ってしまうというタブーを避け、しかもピエールを救うために、過去へ連れ去り、ちょうど間に合う60年前の別の宇宙船に救助させた、のかもしれません。

 こうして映画はエイリアンと時間の不思議、宇宙の神秘みたいな感じのシュールな演出で謎めいたまま終わっていきます。ジャファーと王女は結ばれるようだけど。
 さまざまな典型的要素を詰めこんだストーリーを前衛的な映像と音楽で表現した、当時のトガった作品に、今となってはノスタルジーを感じるのが、新しい快感です。





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Last updated  October 15, 2025 06:27:51 PM
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