ふつうの生活 ふつうのパラダイス

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2009年10月02日
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カテゴリ: 外国映画 か行

こんなにまずいスパゲティをたべたのは、はじめてかもしれない。味だけが料理のすべてじゃない。
ウェイターの人もウェイトレスの人も謝ってくれたけれど、それで私の不愉快が消えるわけでもない。とても情けなくて、いやーな気分で、悲しくて、一日ずっと憂鬱な気分だった。水はでないし、オーダーはまちがわれるし、しかも、他の人たちより後回しにされていたし。
どう考えても、ただのミスというより、作為的ですらあったようなきがする。私の行動のなにかが、店側にこんな行動をとらせたのだろうか?
だとしたら、それはなに?禁煙席を指定したから?安っぽいティーシャツ姿だったから?

そのほかにも、デザートのコーヒーゼリーは、ものすごくまずかったし、もうひとつのミックスフルーツはあきらかに、缶詰だし。コーヒーメーカーのコーヒーは、ぜんぜんでてこないし、サラダのさらにサラダはぜんぜんなかったし。これのどこがビュッフェなのですか。

ものすごくひどいお店だった。安いから混んでいたのかもしれないけれど、もう二度と行きたくない。しかも、しっかり代金は、とられたし。

それにしても、最近は外食するとどこのレストランもひどくて、すごくなさけない気分になることが増えた。ロイヤルホストは、油ギトギトの、メタボリックなメニューばかりだし。メニューをはしからはしまで何度見ても、たべたいものがなくて、30分もえんえんと悩んで困ったこともあるし。以前は、おいしいおみせだったのに。

世の中の不景気をひしひしと感じてしまいます。 



ところで、このお店であじわった不愉快な気分は、 ココ・シャネル が味わった感覚はまさにこんなだったのだろうと、私に感じさせた。映画の中で、使用人たちが働く台所で食事をとるココ。しみのついたよごれたナプキンに文句をいうと、使用人から「あなたはこれで十分です」といわれるシーンがある。

ココのいるすぐ後ろで「ご主人様の愛人はブサイクだ」と、聞こえよがしにいう使用人たち。

そして、ココを愛人として屋敷にすまわせるバルザンにも、男に奉仕するためだけの存在としてさげすまれるような扱われ方をされる。

使用人にも愛人にも、馬鹿にされ、軽く扱われたココの味わっていた感情はたぶんちょうど、私がレストランで映画を見たその同じ日にあじわったのと同じ感じだ。彼女はずっとこの不愉快をその人生の中で味わい続けたのだろうか。

そして、この時代。彼女だけでなく、女性たちもまた、男にとっての飾り物でしかない。男に寄生していくことでしか生きていくことができなかったのだろうか。
女たちが、レースやリボンやフリルのタップリついたドレスで着飾っているのを見た時、ココは言う。

「デコレーションケーキみたい。」

それは、女たちが男のための飾り物の存在として扱われていることをあらわしている。
そして、ココのような身分の低い女性だけでなく、貴族の妻たちでさえ。

ウェストを締め付ける苦しいコルセットや、頭をふるたびに落ちそうになるような飾りだらけのチンプな帽子。デコレーションケーキのようなドレス。男のために不便を我慢して着飾る女たちを見た時、シャネルは何を考えたのだろう。

男のためでなく、ドレスを着る女性自身のきごこちのよさのためにあるドレス。男にたよらず、自分自身の力で生きていくためのドレスをココは作り始める。愛人のバルザンやボーイ・カベルの男物の服をリメイクして着始めるココ。今でこそ、ズボンもボーイッシュな服もシンプルな服もしごく当たり前なものだけれど、この時代にズボンをはき、男物の服をきるココは、どれほど奇異にみえたことだろう。

フリルもレースも、リボンもないシンプルな黒いドレスを作り出したココの感性は、この時代に、いきなり、100年の時間を飛び越えるほどの革命でもあったろう。

ココシャネルの服は、ただデザイナーがきれいなかわいいファッションとして作る服なのではなく、女性が自立して生きていく、男のために着飾ったり、我慢したり、苦しい思いをしたりしない服なのだ。だから、その基本のスタイルは、100年たっても、200年たっても変わらない。

シャネルというブランドは、自分の心のままに生きていくというココの思想そのものが、服になったものなのだと、この映画をみてはじめてしりました。

けれどシンプルで自由を意味した、有名なシャネルスーツは、今では、お金持ちのステイタスであり、豪奢なものというイメージをもち、彼女が本来語ろうとしたものとは、別のものになってしまっているようでもあります。

シャネルというブランドもまた、お金持ちでないと買いずらいような高価なものとなってしまっています。
あるいは、男性の接待をしてお金をかせぐ水商売の世界の人たちに愛用されてしまっているという、なんとも皮肉な今の日本のシャネルという存在。

なんとも、皮肉です。



けれど、ラストにヒロインココがきているシャネルスーツは、とてもきれいでした。

それにしも、オドレイ・トトゥさん。アメリだけのはまり役でなく、どんな役でもこなしちゃうんですね。映画の中でだんだんきれいになっていくところが見所です。

『ココ・アヴァン・シャネル』公式サイト ココ・アヴァン・シャネル@映画生活

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最終更新日  2009年10月03日 07時55分02秒
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オドリー・トトゥ  
kayo さん
美しい女性ですよね。
アメリの可愛らしさは格別。
ダヴィンチコードは、今イチはまってなかった気がしますが、それでもキレイでしたね。
この映画も見てみたいです。 (2009年10月02日 23時22分54秒)

Re:『ココ・アヴァン・シャネル』(10/02)  
Love(’-’*)  さん
ご覧になられたんですね~^^*
わたしもこの映画みたいです!
シャネルなんか買えないけれど^^;
でもシャネルの生き方には憧れちゃいます! (2009年10月03日 06時26分28秒)

Re:オドリー・トトゥ(10/02)  
civaka  さん
kayoさん
すごく個性的ですよね。
映画をみていても、美人なのかそうじゃないのかよくわかりませんでした。
でも、目を引くところがあるのは、不思議です。
シャネルってこんな風にしてできたんだって言うのがわかって面白かったです。
ほかにも、エルメスやグッチの成り立ちもえいがになるといいのに。
ブランドとして世界から評価されているものの、基本になにがあるのか、そういうものがみられる映画もおもしろそうです。 (2009年10月03日 22時50分58秒)

Re[1]:『ココ・アヴァン・シャネル』(10/02)  
civaka  さん
Love(’-’*)さん
シャネル高いですよね。
でも、ステキですよね。
近くの映画館は、やってないので、はるばる銀座までいきました。懐かしかったりする。
ステキな部分だけみるといいけど、よくみていると、かなりきつい人生ですよ。
人にばかにされたり、軽く扱われないために、自分で稼げる人間になりたいと、思うまでの過程がトーッテモハードです。
あのしんどさの中から、落ちないで、上っていった彼女はすごいと思います。強い人だなあと思います。
自分もがんばらないとね。 (2009年10月03日 22時54分42秒)

Re:『ココ・アヴァン・シャネル』(10/02)  
aki さん
こんにちは
 見通しも立たない日本の経済。
どんな状況でも・・・いいトコロを見つけ、なんとか生きていかなくては!と思うものの~かなり厳しい状況にため息の毎日です。
 樋口一葉も「お金では幸せにならない」という風なお話を書いたのに・・・まさかお札に印刷されるとは? ちょっとココとはちがうけど・・・後々皮肉なことってありますよね。 (2009年10月05日 11時01分13秒)

Re[1]:『ココ・アヴァン・シャネル』(10/02)  
civaka  さん
akiさん
こんにちは♪

いやはやホントにきびしいですね。
樋口一葉はそんなこといってたんですね。ほんとに皮肉な話ですね。笑
一葉さんだけでなく、一般にもよくいわれてますよね。でも、人間ご飯食べないとならないし、家も服も必要。そういう基本的なものすら、変えなくなりそうだからこそ、問題なんですけどね。
(2009年10月06日 10時05分52秒)

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