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透明人間の会話 駅長室
A これまで、駅長室といえば、駅のメイン通路や駅前ロータリーに面した場所など、
駅構内の”一等地”に配置されてきた。ところがこの数年、JRの駅では、
駅長室
が一等地から立ち退かされつつあるのだ
例えば、JR日暮里駅。開業以来、駅長室は改札口をのぞむ通路の角地を占めて
いた。しかも、神棚まで飾られた三〇畳もある広々とした部屋だった。それが、
98年12月、突然駅員室の裏側に移されたのである。
新しい駅長室は、それまで職員の風呂場として使っていた窓一つない狭苦しい部
屋となった。一方、元駅長室だった場所には、 コンビニエンスストア
がオープンし
たのである。
B また、JR常磐線亀有駅。こちらは駅前ロータリーに面した場所から、先頃、ト
イレと自動販売機にはさまれた元職員の更衣室を改装した部屋に移された。そして、
かつての駅長室は ベーカリー
へと模様替えされたのである。
こうした現象は、JRグループの経営事情の苦しさを表している。巨額の負債を
抱えるJRだが、他の交通機関の発達で旅客収入伸び悩んでいる。そこでJRは、
経営策を抜本的に見直し、 駅ビジネスに力を入れる
方針を固め
た。
しかし、駅ビルを改装して、大々的にビジネスを展開する 資金的余裕はない
。構
内の各施設の配置を見直して、商業スペースをひねりだすことになった。
その結果、構内の一等地に広々とした空間を占領している駅長室が、真っ先に
リストラ対象にされたというわけだ。
しかし、場所を移動させられても、駅長室があるならまだいい。九州のJR博多
駅と小倉駅では、98年3月から 駅長室そのものが廃止
された。
駅長はいま、他の駅員と同じ部屋で執務をとり行っている。
「1億人の大疑問」より