おかみの日記
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女にとってこの世で何が一番楽しいかと言えば、きれいな服を着てイケメンに囲まれてちやほやしてもらうことだと思う。もう1年近く前だが、そんな体験を、はからずもしてしまった。またしたいなー、と遠い目をして願う今日この頃・・・・・。といってもホストクラブに行った訳ではない。お金を払った訳でもない。ホストクラブでもなく、その上お金も払わず、そんな体験ができる所なんてあるのか?あるのである。それは・・・・呉服屋さん!!その頃実家に帰省していた私は、とある用事で外出していた。しかし用事が思いのほか早く済んでしまったので、(ちょっと時間潰しに)と思ってフラフラとショッピング街を歩いていたのだった。すると着物を着た背の高いイケメンがアンケート用紙を配っていた。もともと着物は嫌いじゃないので(というよりかなり好き)言われるがままに記入して、気がつくと店内に入りあれやこれやと反物を見せられていた。世間ではすでに若くない範疇の私だが、ここ呉服屋さんにおいては「若いお客」の範疇に入る。たちまち3人の男性店員に取り囲まれモテモテ(営業だけど)。しかも3人ともかなりレベルが高い。きっと女性客確保のため、見た目重視で採用したのだろう。知らない方もいると思うので説明するが、今の呉服屋さんというのはすごい。反物をうまーく体に巻きつけて、正面からみると、まるで仕立てた着物を着ているように見せることができるのだ。いくつかある反物から私が選んだのは、黒地にベージュの細い縦じまの入ったもの。作家物(有名作家が作ったもの)とのことだが、誰でも出来そうな感じ。着物というより、高級なイタリア製の洋服地という感じが気に入って選んだ。それに店の人が、同じく黒い帯を持ってきた。全体にえらい地味である。向こうで、付け下げかなんかを試着していたおばさんに「あらあら、今はあんな地味なのが流行りなの?」と言われたほどだ。しかし、そこに持ってきた帯揚げと帯締めが目にも鮮やかなブルー。宝石のように輝いているブルー。それを締めた途端、思わず「クッワッコイイー!!(着物が)」と叫んでしまった。着物というよりドレスといった感じ。これでピストルを持ったら、明智小五郎に対する「黒蜥蜴」という風情である。鏡を見てウットリと自己満足に浸る。たのしーい。フト店員さんの帯を見ると、ちょっと変わっているのでそのことを言うと「アッ、解りますかー。これ2枚の帯を自分ではぎ合わせて作ったんですよ。」と話もはずむ。さすがに呉服屋の店員さんだけあって、着こなしがおしゃれ。くだけた感じで「アチキと遊ばなーい。」というセリフが似合いそう。こんな格好のまま、一緒にお酒を飲みにいったらさぞかし楽しかろう。その後、参考までにと言われて、着付けてもらった着物から帯からすべての値段をポンポンと電卓を叩いて見せられたが、それは軽自動車がゆうに買える値段であった。フー、着物ってやっぱ高いわ。でもホント楽しかったなー。
2007.05.25
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