つきのわ王国(四畳半分)

つきのわ王国(四畳半分)

そらと地球



「飛ぶ」

空しか見てなかった 空しか思ってなかった
痛いとか だれがとか 自分がとか なんでとか
何も考えてなかった 
空しか映らなかった 
空だけが 聞かないでいてくれたからだ 

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「太陽」

みんなが 影から 出てくるように
ぼくに 手をふってくれるように
いっしょうけんめい 照らした
そうしたら みんなは余計に 物陰に
ぼくは 太陽
ぼくは みんなが大好き

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「闇」

先の見えないものは怖いけど
先が見えない空は こんなにも魅力
魅力は 恐怖さえも いだいているから
だからこの先 歩いても へいきでしょう?
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「キミが降る」

空気の世界で 姿の無いアメは 
 取り込まれたり ただ漂ったりしていた

あたたかくなって または あつくなると
かみさまが 呼ぶので 雲の上 てんごくへ昇った
そうして 時を待ってアメは 浄化され地上へ落ちてきた

地上の世界で 形を成したアメは
 ぶつかって消えたり 合流したり やっぱり取り込まれたりした

人が死んで また生きるようだと 思った
そう思うことで 自分も自然の一部だとかんじた
わたしもいつか 空へのぼって
キミもいつか 落ちてくる

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「緑」

みどりは 咲かない

花は 時期をみて 華々しく咲く 字面の通り
だけど その花を支えている 茎や葉やなんかは
花の何十倍も生き 励み 努めてきたのに

花が咲くまでは注目されることもなく
花が咲いても注目されることはなく

花を手折るものは 咎められるけれども 
みどりを冒すものは 知らないふりをしていたりする

みどりは「咲か」ない 生きるだけ

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「光らない星」

星とか空とかみているの、ちいさいときから好きだった。
ずっと見ていても飽きない。
望遠鏡も買ってもらったけど(月面とか見ると面白かったけど)
空から切り取った星ではなんだかつまらないの。
漆黒の空が広がっていて、
ちいさな点のような光が漆黒の奥の奥のほうから指している。
隣の光が眩しくて翳んでいるものもある。
枝豆の実と実の間の鞘のくびれのように光の太さが違くて、
強く光ったり弱く瞬いたりするものもある。
そんなのを見ながら、
月並みに「にんげんの縮図」のようだと思ったり。
いや、「にんげんの拡大図」というほうがいいのかな…。
にんげんなんかよりずっと長生き。
長生きというか…「生きる」ということはなんだろう?
星は星で、ただ光っているだけで。
光っているというのももしかして違うのかも。
ほんとは星は光ってなくて、
漆黒が暗がっているだけなのかもしれない。
翳っている中の、翳らない一点。
そういうことだから、明暗はうらおもてなのだよね。
やっぱりものごとは「ふたつ」が基本です。

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「永遠」

この広い大地のうえは、
いろいろな色の空が永遠にある。
この広い空のしたは、
かわらぬ大地が伸べている。

ひとりにはとても広すぎる大地
その大地すら永遠に蔽っている空うちゅう
ただ ひとりの中にある空は、
それよりもそれよりもずっと永遠かもしれない

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