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September 13, 2017
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テーマ: TVドラマ(110)
カテゴリ: ドラマ




アグネス惨殺を目の当たりにしたドミニクとシェルビーは、ロアノークハウスからの脱出を試みる。しかし地下通路ではチェン家の霊に阻まれ、屋内では殺人看護師、ピギーマン、チェン家の長女が二人を襲う。屋敷の前にはトマシーンの一団が待ち構えており、退路を断たれたドミニクとシェルビーは二階のバスルームに閉じこもる。愛する夫マットを殺してしまった罪の意識に苛まれたシェルビーは頸動脈を切り裂き自ら命を絶った。






ポーク家が人肉食を始めたのは大恐慌時代、飢えた人々に家畜の豚を盗まれたのがきっかけだった。その後彼らは代々人間の肉を食べ、警察に賄賂を渡して事件が明るみに出るのを防いで来た。1800年代、ポーク家の先祖キンケイド・ポークは解体した豚の頭の皮を被り殺人を犯しピギーマンとなる。トマシーンの儀式を真似た彼は伝説となった。

左脚の肉と右耳を削がれ死を覚悟したリーは、ジェサー・ポーク(フィン・ウィトロック)の持つカメラの前で夫殺しを告白し、ジェサーを誘惑して殺害した。ポーク一家の奇妙な儀式のために歯を抜かれたオードリーを救ったのはリーだった。オードリーはママ・ポークを殺し、リーとともにロアノークハウスへ戻る。

マットとシェルビーの遺体を発見したリーとオードリーはドミニクを非難し、彼を部屋から締め出す。ドミニクは屋敷内を跳梁していたピギーマンによって殺害された。

殺人を告白したテープを取り戻したいリーはオードリーを説得し翌朝再びポーク家の牙城を目指す。ロアノークハウスの玄関ドアの先にいたのは、トマシーンの息子アンブローズを演じた俳優ディラン(ウェス・ベントリー)だった。






感想

「ポーク家は他と違って特別なんだ」と虚ろな目で語るジェサー・ポーク。両親双方の残忍性と無関心のせいで彼は指導も受けず、愛情も注がれず、道徳的価値についての確固たる感覚を身に付けることもなく成長したようです。人肉を食べ親子間で性交することに疑問を抱いていない。演じていたフィン・ウィトロック、最初誰だかわからず、スタッフロールで「?」ってなってもう一度見直しました。別人すぎ。これまでのアメホラでの彼の役柄は、シーズン4:富豪の美青年殺人鬼、シーズン5:アルゼンチンタンゴの名手で世界中の女性を虜にした美男子、スキャンダルに塗れたファッションモデル。今回変態一家の三男。てことは7話にも出てたのか。全然気づかなかった。デニス・オヘアの変わりようもすごいけど、フィン・ウィトロックもすごいねえ。


■豚の話

アメホラに必ず出てくるものの一つ、浴槽。現代のアメリカ人が使っているホーロー引きのバスタブは、元々豚の解体・皮剥ぎの際そこに熱湯を満たして使われていたもので、それがのちに人間の入浴用として使用されるようになったと聞いたことがあります。これまでのアメホラではバプテスマを思わせる表現の中で逆に死を迎える(殺される)シーンが多かったのですが、今回は豚が主役。

豚と演劇との関係は古く、シェイクスピアの時代まで遡ります。『ジュリアス・シーザー』が上演されるときは必ず舞台裏で豚が一頭屠られ、膀胱が取り出されていました。取り出された膀胱はジュリアス・シーザーを演じる役者のガウンの裏に結び付けられ、ブルータス役は小道具の短剣でこの豚の膀胱を突き刺すのです。舞台には豚の鮮血が衣装を伝って溢れ出てくる仕組み。当時の役者の日記には、立ち見客が豚の血だまりに右手の指を浸し、その手を役者に向かって振った、とあります。この出し物が気に入ったというメッセージでした。
(『世界でいちばん面白い英米文学講義』
著者:エリオット・エンゲル 訳:藤岡啓介
「ウィリアム・シェイクスピア 血まみれ、涎まみれの一大エンターテイメント」)



■歯のネックレス

ポーク一家が犠牲者たちの歯を使って作るネックレス(彼らはこれが魔除けになると信じている)、何かで見たことあるなあ、と感じていたのですが、映画『イージー・ライダー』で主人公たちが南部の町を通りかかったとき地元の住民に、つけてたアクセサリーを「歯のネックレス」呼ばわりされていたんでした。そこで差別的な言葉を浴びせられた彼らは住宅地を離れて野宿するのですが、そこでの会話が素晴らしかったのでここで引用してみます。

「昔はこの辺も良いところだったんだけど、どこでどうまずくなっちゃったもんかね」
「みんな臆病者になったのがいけねえんだ。現に俺たちは二流のホテルにだって断られたじゃないか。俺たちに喉でも切り裂かれるんじゃないかって怖がってやがるんだ」
「君らを怖がってるんじゃないよ。君らが象徴してるものを怖がってるんだよ」
「そうかな、奴らは俺らを散髪の必要な人間としてしか見てねえさ」
「君たちが象徴しているものは自由だよ。自由にも二通りある。君の言う自由と、奴らの言う自由とは、似て非なるものなんだな。彼らは自由ってもんをマーケットでものを買うように買うわけにはいかないってことを知ってるんだよ。でも冗談にも奴らが自由じゃないなんて言っちゃいけないよ。そんなこと言ったら奴ら自分が人殺しをしてでも自分が自由だってことを証明しようとするからさ。なるほどみんな個人の自由とかについてはよく喋るよ。喋るのはそりゃ楽だからね。だけど口先だけだよ。違う自由がそこに現れると怖くて仕様がないんだ」
「怖がってるって顔じゃない」
「そう。かえって凶暴になるんだ」



ポーク一家も過去の亡霊たちも、侵入者が怖いのではなく、侵入者たちの象徴するものが怖いんだと思う。自分たちの常識・価値観を揺るがされるのが。







来週はエミー賞授賞式放送のため、ドラマは一週お休み。





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Last updated  September 13, 2017 04:28:45 PM
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