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★ロスト・イン・トランスレーション



ただ、何が不満かというと、結局、見終わった後、自分の中に何も残らなかったこと。いきなりベッドに横たわるスカーレットのパンツのアップで始まり、ビルが登場して、二人が意気投合して、夜の東京へ繰り出して、そして別れる・・・と、本当に淡々と話が進んでいく展開。大きな山場もなく、見ていても感情を揺さぶられるような場面はなかった。普段から大作ばかり見ているからよけいにそう感じたのかもしれないけど・・・。

と言いつつも、テーマはよーく伝わってきた。いわゆる「中年の危機」(ビル)と「結婚の理想と現実」(スカーレット)というお互いに、ありきたりだけど、でも非常に重い問題を抱えた2人・・・。それだけで淋しい雰囲気なのに、言葉も通じない全く違う文化の異国の地で、その淋しさはますます加速する・・・。これは監督のソフィア・コッポラが日本へ来た時の体験も参考にしたそうだが。自分も東京は数回しか行ったことないけど、昼間は本当に人が多くて、にぎやかだけど、その分、夜はなぜかすごく淋しかったのを覚えている。だからこれは舞台が東京だからこそ成り立つ話だと思う。例えば、パリの夜景だったら・・・淋しさが伝わってこない。むしろ楽しいかんじになってしまう気がするし・・・。

この映画のパンフには『ソフィアから東京へのラブレター』という文がありましたが、果たしてこれはラブレターと言えるのだろうか? ひがみも入っているかもしれないが、日本の文化をバカにされているようにも感じた。私たち日本人が、普段何気なくしていることや、見ている景色などが、外国人にはあんな風に映ってしまうのか・・・。と、いい勉強にはなったが。やはりこれは外国人にしかわからないものだあると思う。

しかし、さすがミニシアター系・・・というかその響きに洗脳されていただけなのかもしれないが、やはり映像と音楽は素晴らしい!外国人から見た「トーキョー」の街、特に夜景は素晴らしいし、主人公たちが宿泊しているホテルの雰囲気も最高。さらに使われている音楽のセンスも抜群。ホテルのバーで女性歌手が歌っている曲が日によって変わっていき、これが登場人物の心情を表していたり(←深読みしすぎ?)、ビルとスカーレットが日本人と一緒にカラオケへ行って、歌った曲、さらにその美しい映像と共に流れる音楽の数々・・・。決して派手で印象的な曲ではないけど、そのバランスがまた絶妙で、あくまでも内容や映像を食ってしまわない程度に、非常に効果的に使われていた。

最後に、この映画には様々な日本人がゲスト出演している。自分がわかったのはMTVジャパンのVJと、藤井隆だけだったが。でもその藤井隆のシーン・・・。あの人は本当はすごくいい人らしいが、あの番組のあのキャラは・・・普段から苦手・・・というか生理的に受け付けない。だからあのシーンは見ていて本当に痛々しかったな・・・。

【この作品の自己満足度】★★★★★★☆☆☆☆+/6.5点
◆+ポイント→映像と音楽のセンスに加点◆


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