約束さ永遠のミステリ~ 妄想と考察と日常の闇鍋

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2025年11月21日
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テーマ: 読書感想文(739)
カテゴリ: 読書感想
今回読んだ本は門前典之『友が消えた夏 ― 終わらない探偵物語』。タイトルだけだと青春ドラマのようだが、爽やかなのは序盤だけ。途中からは不穏な描写が容赦なく続く。
探偵の元に持ち込まれた事件記録。それは鶴扇閣という古い洋館で起きた連続殺人事件の記録だった。そしてその合間には、女性がタクシーに拉致される事件が挟まれるように描写される。一見すると全く別の二つの事件が、やがて一つに収束していく。その中で、犯人の失われた記憶も徐々に蘇ってくる。だが記憶を取り戻した犯人は後悔よりも先に、また新たな「リセット」を図るのだ。
ラストまで気の抜けない展開で、続きが気になる終わり方である。
門前典之氏は「死体の扱い方が斬新」な作家らしい。『友が消えた夏』でも、首を切ったりガソリンで焼いたりと、最低でも9人は死んでいる。文庫サイズで9人はかなり多い方ではないだろうか。もっとも、他の作品に比べればまだマシらしい。氏の作品は「バカミス」としても名前が挙がっていたので、いずれ全部読んでやろうと思っているが……不安と期待が半々である。
探偵役の蜘蛛手と、ワトソン役の宮村もいいキャラクターだ。小言を言い合いながらも、最後に奔走する蜘蛛手の姿からは、本当は宮村を大事にしているのが伝わってくる。エンディングでは宮村がどうなったのか分からず不安になるが、最新刊『ネズミとキリンの金字塔』にも登場しているらしい。もっと二人の掛け合いを見たいと思っていたので、無事なようで一安心だ。
ずっしりと重たい事件のミルフィーユが気になった方は、ぜひ読んでみてほしい。オクトパスマンの正体や、最後まで回収されない伏線らしきものも含めて、非常に続編が気になるところである。
オクトパスマンの正体について(絶対外れてるだろう考察)
本編では名前さえ分からない謎の犯罪者「オクトパスマン」。
長身で手足が長く、額に梵字のタトゥーを彫っている。なぜか犯人である友子に異常な執着を見せる。敵対者かと思いきや、孝裕を助ける場面もある。
私は、このオクトパスマンと犯人は姉・弟ではないかと思うのだ。
エンディング1で、男は「額に怪我をした」と言っている。そしてオクトパスマンも額に入れ墨がある。最初は父親かとも思ったが、オクトパスマンは鶴扇閣事件の時点で18歳。そもそも父親を殺して逃亡しているのに、車の事故で両親を失うのはおかしい……と一度は思った。
だが、よく考えれば事件の時系列は明かされていない。
もし母親が再婚していたりすれば、「母のために父親を殺す」と「事故で両親をなくす」は両立し得る。
事故のときの「母さんまで殺す気か」というセリフにも、どこか違和感があった。
(自分だけじゃなく)母さんまで殺すのか?
と聞いているのか、あるいは
(父は既に死んでいるのに)母さんまで殺すのか?
という言い方にも取れる、どちらとも取れる言い方。
この「視点が定まらない言い方」に妙な引っかかりを覚えたのだ。
オクトパスマンが犯人を親の敵だと思っているのだとしたら、孝裕を同じ復讐者として助ける理由にもなる。「今度こそ犯人を追い詰める根拠となる」という言い方も、一度追い詰め損ねた経験があるかのようだ。犯人は死者として姿を消したのだから、鶴扇閣事件で追い詰められたわけではない。タクシー拉致事件だと考えることもできるが、両親の事故や別の事件で逃げ延びた可能性もある。
犯人だけが叔父に引き取られた事情も、どうとでも考えられるだろう。犯人は中学生以前の記憶がないので、オクトパスマンを覚えていなくても不自然ではない。





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最終更新日  2025年11月21日 11時00分00秒
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