6章


このゲームを始めたときに多くのプレイヤーはその職業固有の武器-----
たとえば戦士だったら剣だったり斧だったり・・・
しかし俺は-----卵だった
まったく使い物にならない。そう思った。
ゲームを始めて三日はたったころだろうか。俺に転機がやってきたのだ。
そう、卵が孵化した。中からは水色・・・そんな単純な色では表せないような青。空よりも深く海よりも浅い独特な色をした生物---いや、竜というのだろうか?その竜はまだ幼かったがたまに襲い掛かってくる液体とも固体とも付かない生物をいとも簡単に倒すのであった。
これで騎獣の意味はわかった。しかしこれでは魔術師の部分が欠けている。
何か特別な力が・・・ゲームが進むにつれて手に入るのだろうと自分に言い聞かせた。
それからは敵から逃げる日々は終わった。
もっぱらこの区域にはあの奇怪な生物が主なようで、てこずることはなかった。
それから三日後ぐらいのことだ。
俺の竜、名前は勝手に「零(ゼロ)」とつけたのだが、そのゼロが大きく変化を遂げた。ふた周りほど大きくなってやっと乗れるほどの大きさになった。
これでやっと様になった。俺の言う事も少しづつ理解するようになってきたようだ。凍てつく様な息吹きも吐き出すようになった。
そこで俺はあることを思いついた。


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