☆★☆荒くれ魂☆★☆

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まとまったお金の唄


5月7日本多劇場・A列

---キャスト---
ヒトエ(母):良々
ヒカル(長女):阿部
スミレ(次女):市川実和子
馬場(ウンコ哲学者):クドーさん
蝶子(自称革命家):伊勢さん
新宿さん(東京の人):菅原永二
神木くん(神木龍之介):内田滋
カクマル(借金取りの息子):公園くん
カクマルの父・クヒオ(カクマルの隠し子【外人】:村杉
博子(スミレの子):紙ちゃん
ダイナマン(カクマル父にお金を借りている):松尾さん

それぞれの肩書き書き始めたら少しおかしくなりました。
戯曲本片手に流れに沿ったような形で書き起こしてみます。




☆暗闇の中、鏡台を向き背を向けるヒカル(阿部)とスミレ(市川)
ヒトエ(良々)『うち・・・がむしゃらやったぁ』
【がむしゃら】という横断幕を掲げるヒカル(不自然な笑顔)

----太陽の塔から落下していく父に力強く旗を振る、ヒカルとスミレ。

☆父の葬式の日。
サンタの衣装を偶然見つけてしまうヒカル。
ヒカル『ガッガッ・・・・ガフッ!ガ・・・ガフッ・・・!』(と私は記憶して真似してます)
足元ふらつきながらサンタの衣装を掲げてすごく驚いた様子のヒカル。(喪服)

☆サンタの衣装を見つけて動揺してしまい、蝶子(伊勢)の質問に答えられないヒカル。
ヒカル『むへらま!が、がっつんだ!』
蝶子『がっつんだ?うん。がっつんだ。許容範囲だ。』

☆スミレ(市川実和子)に向かって
ヒカル『深海魚みたいな顔して』
しばらく蝶子や馬場とのやり取りがあったあとに
スミレ『深海魚ちゃうわ!』
背後からヒカルにクロスチョップするスミレ
ヒカル『そんなタイムラグおいて切れられても・・・びっくりした』

☆葬儀のときに見つけたサンタの衣装をスミレに見せるヒカル
ヒカル『これはな、サンタはんの抜け殻や!』
ヒカル『サンタ、こわ!意外と、こわ!なにになろうとしてはるねん!?サンタはんゆう人は!』

☆17歳にしてメンスがまだのヒカル。
自分だけメンスがきたと言えないでいる次女のスミレ。

学校でメンスの話になったときに無理矢理話を合わせるのが大変だと言うヒカル。
「ヒカル、今日ケチャってる?」って友達から聞かれたときに・・・
ヒカル『(大声で目を見開いて)ケチャってケチャってたまらんわあ!月経月経たまらんわあ!ゆうたら・・・さーって潮が引くようにひかれてな。大声でゆうことちゃうわ!て、みんなにグウで殴られて。むしろ顔がケチャってしもたがなー。わあわあゆうてますー』

般若のような恐ろしい形相で、ものすごいテンションでもってセリフを捲くし立てるヒカル。
うまいよなぁ。改めて面白い人だよなぁ。と

☆クリスマスの夜。ベットで眠ってるヒカル。
おっさん『(ヒカルの声で)なん、なんだ、これは。芸術だ、爆発だ!』
この声で目が覚めるヒカル。

ここからおっさん(声は阿部)のシルエットとヒカルのやりとりが始まる。
おっさん『あのね、こう、ガガガっていうエネルギーが、あの、だから、グラスの底に顔があってもいいじゃないか!なんだそれは!』
ヒカル『知らないで言ってるんですか?』
おっさん『知らないことはね素晴らしいことなんだよ。知ってるということは知識というシステムの中に閉じ込められるということでね・・・・知ってるってことは限界、限界、限界だ!爆発だ!・・・・グラスの底にね、おっさんの顔があったっていいじゃないか!おっさんだ!これは!』

という感じで岡本太郎と志村けんが入り混ざったような妙なテンションのおっさん。
おっさん『太陽の塔ってのがね・・・グッとそそりたつ予定なんだね。それができたら怖いね。怖いですね。そこの下のところでまたお会いしましょうね。さよなら。さよなら。さよなら。』
と最後は淀川さんになって消えるおっさん。

ごめんなさい。この部分ほんとは全部書いてみたかった。
だからけっこう書いちゃった。
文章にすると新たな面白さ再現されるのね。このおっさんのシーン。

結局夢で。
ヒカル『ちぇ~』
ちぇ~がかわいかったあ。

☆全身血まみれの男が家に入ってくる。
赤い服着てはるからサンタさんや!と見間違うヒカル。
ヒカルにとってサンタさんに見えるその男に大きな靴下を差し出すヒカル。

その靴下に血を吐く血まみれの男。

ヒカル『わあ・・・血を吐きましたよ。このサンタさん。いやがらせ?暮れの元気な嫌がらせ?』

☆突然窓の方から現れる蝶子。
頭頂部に高く雪が積もっている。
ヒカル『蝶子さん!頭が!シャープな様子に!』

蝶子『この人はサンタじゃないの!東京の人よ!』
と言う間抜けな様子の蝶子さんはおかしいですよね。
その東京の人の名前は新宿さん(菅原永二)

☆新宿さんに東京弁を教わるスミレ。
それを立ち聞きしていたヒカル。
ヒカルとスミレの一連のやりとり(薬師丸ひろ子の物真似等含む)の終わりに
新宿『さて僕はお昼を過ぎると体が臭くなるんで、馬場さんのとこに帰ろうかな』
というセリフっておかしい。

東京弁を教わるスミレに『大阪嫌いか?』と投げかけるヒカル。
ヒカル『大阪の人ってなになにで『おまんがな』てゆうやんか。単品で聞くと日本語とは思えへんわ。オマンガナ諸島とかな、赤道のあたりにあるで。きっと』
スミレ『おまっかいな、とかな』
ヒカル『(間髪入れずに)おまっかいな はええがな!”色っぽいな”みたいでええがな!!』(すごい形相で)

このシーンも良かったなぁ。
キレ方、うまいよ。
プロの役者に向かって『あんた、うまいな』と言ってやりたい。


☆万博のチケットを譲って欲しいとスミレに土下座して頼むヒカル
ヒカル『行きたかったんやあ・・・!タイツ半分ずり下げてもええか?動きにくさに免じてええよね?』
とずりさげながら頼み込むヒカル。しかしもっと動きにくそうにし
ヒカル『あの、タイツ元に戻してもええか?』
ヒカル『もう(大阪万博は)ないねんで!こんなの一生ないねんで!パービリオーン!(と叫ぶ) なんでか分からん、太陽の塔のおっさんがめっさ見たいねん!』

☆おっさんを探すため、『おっさん!おっさーん!』と舞台上を何周も叫びながら走り回るヒカル。
ヒカルを追いかける博子。
ヒカル『おっさーんって・・・探せるかいな!そんなアバウトすぎる情報で!なんでどんなおっさんか聞けへんやったんや・・・』

☆おっさんになれば何もかも楽になるのに・・・と思い、おっさんのブルースを歌うヒカル。
歌い終わったところで
『どけ、ガキ!』とヒカルの方へ走ってくる強姦魔。
ヒカル『ガキとはなにごとぞ!』と勢いついたように締め上げるヒカルが面白かった。

☆スミレの妊娠をヒカルに告げるシーン
おっさん『なんだそれは!』
といきなりシルエットのおっさんが現れる。
ヒカル『おっさんもカンカンや!』

☆ヒカルはチン切り魔の被害者だったということがヒカルに告げられるシーン
おっさん『なんだ、おれは!』
おっさん『チンチン切られちゃったんだ、おれは!』

そのおっさんのシルエットが太陽の塔に変わる。

おっさんの正体はヒカルだったと。
ちょいちょいしょぼいシルエットで出てくるおっさん。
笑えるんだけど笑えないというかそう考えると切ないよね。
あのヒトエの告白シーンってヒカルの事見てられなかったもの。可哀想すぎて。

☆最後のシーン。
震災後の大阪。
路上ライブをやっているヒカル・馬場・新宿・蝶子。
蝶子は植物人間になっている。
ヒカルはおじさんともおばさんともとれるような容姿になっている。

バンド名は”ジェンダー蒼木とザ・レイプス”


----------終演-----------


幼い頃ちんちん切り魔に襲われたヒカルを女として育ててしまったヒトエ。
ヒカルの事を不憫に思った両親は、本人たちにも分かるほどの贔屓をして育てた。
ヒカルのためにまとまったお金を借りて、ヒカルの将来の為に離れを建てたヒトエ。
借金まみれになろうともその離れの家だけはなんとか手放さないようにしてきた。
それがヒカルを助けてあげられなかった母親としてのせめてもの償いと。
しかしその罪滅ぼしとして守ってる離れは”我が意地”なんだと言うヒトエ。

こんなに悲しい背景なのにとにかくあったかい家庭の印象を受けました。
冒頭で『うち、がむしゃらやったー』というヒトエのセリフがありました。
とにかくがむしゃらになって頑張ったけど、無理なものはもう無理だったのかな。取り返しはつかなかったのかな。
ヒトエさんって途中で痴呆になっちゃうんですよね。もう切ない。


ヒカルのセリフでスミレに
『うち圧倒的に贔屓されて育ってん。天真爛漫や。天真爛漫の責任とって(お母ちゃんの面倒は私がみるから)』
みたいなセリフがありました。
でもこの姉妹の関係って見ててすごくあったかいですよね。
まーすごくありがちではあるんですけど。
例えば、サンタさんを信じる・信じないの一悶着。
夜、パジャマを着てキャッキャと生理談義に花咲かすところ、等・・・


ヒカルのセリフで一番好きなセリフがありました。

いろんなおっさんとセッションして生まれ変わったヒカル
『うちが変わってんやさかい、世界の方にも変わってもらう。イーブンや。だってこの宇宙には私と世界しかいいひんね。二つ、のみや。この関係を大切にせな、もったいない』





終演後のカーテンコールで

阿部さんが落とした小道具を足元に置いてたお客に向かって
阿部『ちょっとそれ返してください。持って帰ろうと思ってたでしょ?』
阿部『これを取って来いて言われただけですから・・・』
と(確か)2度目のカーテンコールのときに言い放ち、そそくさと舞台袖に戻っていった阿部さんでございました。

あ、なんか舞台まで走っていってプレゼント渡してたおばちゃんもいたなぁ。
阿部さんファンのおばちゃんて珍しいよなぁ。
微妙な表情で受け取ってた阿部さんもおかしかったけども。


まとまったお金の唄、今回はわりと分かりやすくてそれほど重たくもなかったです。
やっぱり阿部さんって松尾さんありき、ですよね。
せっかく3日もトキオにいたのだからもう一回ぐらい見ればよかったなーと。
こんな日も ・・・・・ あんな日も あって胸キュン連続の日々でした。トキオってやつは。


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