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ホラー「みにくいアヒルの子」
風光明媚。透き通った水、健康的な芦、安全で平和、満ち足りた食事と睡眠、健全で衛生的、くつろぎ、笑い声、理想的なアヒルの村。美的観念。喜び。ところがアヒルのお母さんが温めていたタマゴから孵ったのは普通とは違ったヒナでした。お母さんアヒルの絶叫が村に響き渡りました。みにくいアヒルの子でした。本当にみにくい子、奇形の子。みにくいアヒルの子。村のアヒル達はその日から悪い夢を見たり溜息が増えたり食欲がなくなったり良い声で鳴けなくなったり上手く飛べなくなったりしました。不快。みにくいアヒルの子。アヒルの家族はいっぺんに不幸になりました。アヒルの村も不幸の底に落ち込んでいきました。みにくいアヒルの子がいるからです。嫌悪と恐怖。みにくいアヒルの子。みにくさに満ちた子。アヒルのお母さんや兄弟達もみにくいアヒルの子を守ったりしません。家族も村もみにくいアヒルの子にどこか遠くへ行ってしまって欲しかったのです。みにくいアヒルの子。兄弟アヒルはみにくいアヒルの子を酷く罵り虐めました。実際お母さんアヒルは年より若く見える上品な美人アヒルでしたし兄弟アヒルたちも見目麗しく所作麗しく皆運動神経にも秀でていました。不細工の産まれる血統ではありません。村のアヒルはみんなみにくいアヒルの子を虐めるか無視しました。心配と不安ばかりになりました。アヒルのお母さんもいつもイライラしてみにくいアヒルの子ばかりでなく兄弟アヒルにもあたりました。前には本当に優しいアヒルのお母さんだったのに。全てが病んでしまったようでした。「なんのことかしら」が「しるかこのくそだわけ」になったのです。傷つけられたものは「傷つけずにはいられないのです。「このくそだわけ」。ついにみにくいアヒルの子はひっそりと村から逃げ出しました。自分のためにみんなのためにそうするしかなかったのです。アヒルのお母さんは知っていましたが気が付かないふりをしました。でも、みにくいアヒルの子はどこへ行っても虐められるのです。だれもみにくいアヒルの子を好きになってくれません。生きていても何もいいことはありません。それどころかどこでも居るだけで周りに迷惑をかけるのです。悲しくていつも瞼が腫れています。みにくいアヒルの子。誰にも見つからないように隠れて一匹だけで生きていきます。そうするしかないのです。皆から見捨てられた日当たりの悪い土壌の悪い水質の悪い病気になりそうな臭い場所でただ生きていました。なるべくじっとして生きているだけ。みにくいアヒルの子。そこにある日、空飛ぶ円盤が着陸し中から宇宙人が何匹もおりてきました。みにくい宇宙人達でした。みにくいアヒルの子はできるならどこか他の星へ連れて行ってもらおうとそれが叶わないならせめて殺してもらおうとみにくい宇宙人に近付きました。みにくいアヒルの子とみにくい宇宙人。みにくいアヒルの子はみにくい宇宙人をはじめて見ましたが何故かとても懐かしい思いがしました。みにくい同士だからでしょうか。みにくい宇宙人はみにくいアヒルの子を円盤に乗せてくれみにくい宇宙人の住むみにくい星へ連れて行ってくれました。みにくい同士だからでしょうか。みにくいアヒルの子はみにくい星でみにくく成長しみにくいものに囲まれみにくく死ぬまでみにくく暮らしました。それでおわり。次は、元に戻った美しいアヒルの村の話をしましょうね。
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