昆虫倶楽部リターンズ 岡山矢掛編

昆虫倶楽部リターンズ 岡山矢掛編

2009/03/29
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カテゴリ: 文楽東京公演
「ひらかな盛衰記」

1739年大阪竹本座初演。
時代物。
文耕堂さんと竹田出雲さんほかの合作で、立作者である文耕堂さんの晩年の作品です。

人形浄瑠璃の最盛期の少し前、菅原伝授より7年早くに上演された作品です。


5月の東京公演、第二部の演目「ひらかな盛衰記」、近年上演されていません。
なんと申しましても、今回の見どころ聴きどころは、

四段目「辻法印の段」です。


「辻法印の段」の上演回数は過去においても多くなく、理由としては、チャリ浄瑠璃の代表曲とされ、語る大夫の力量が相当必要とされるからです。



竹本伊達大夫と野澤喜左衛門があたり、評判を得ています。

さて今回の5月東京公演でこの段を担当しますのは

英大夫と団七さんのコンビです。
当代、時代物をこのおふたりが奏でたらその表現力スケールの大きさに息を呑み固唾を呑むことしばしば。
英、団七で印象的だった時代物の舞台は、昨年の東京公演で連日満員喝采を浴びていた奥州安達原、鑑賞教室の寺子屋もチケットの入手が非常に困難であったために、聴くことの叶わなかったファンが連日当日券を求めてチケット売り場に並んだ、泣いたという伝説の公演です。

写実的に、ねばることなくさらさらと語るのが英大夫の長所です。
長丁場をやたらに力を込めてガチガチと声張り上げられたら、申し訳ないが聴くほうもしんどいものですが、語りがこなれて巧い大夫にはそれがないのです。
若い大夫さんは、勢い力技で語り倒すこともまた若さゆえ許されましょうが、名大夫と呼ばれる人たちの語りはむしろ脱力の美学の上にこそ語り分けの妙が活き語りに深い情感が込められることを知っているのです。
住大夫、嶋大夫、そして英大夫の語りは、一段聴いてももっと聴きたい、いくらでも聴ける、そういう語りが、本物の浄瑠璃語りであると私は思います。

英大夫は年齢を重ねるにつれ、確実に祖父である若大夫を彷彿とさせる華を、風貌はもとより声だけでなく表現できる力を、発揮しはじめています。


次世代の開花結実の瞬間を、見逃してはもったいないことです。



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Last updated  2009/03/30 12:11:00 AM


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