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先日、太郎が学校に着くと、クラスのM君が膝をひどく怪我していたらしい。聞くと、登校途中に自転車で派手に転んだのだそうだ。M君はクラスの子たちに「誰か裁縫道具持ってないかなぁ…。針と糸貸して欲しいんやけど。」と、尋ねていたらしいのだが、太郎はそれを聞いてびっくりして「ええっ?!麻酔も無いのに?それに裁縫道具の針と糸で縫ったら痛いやろ!!」と叫んだ。一瞬、クラスのみんなが「へ?!」という顔になり、そしてM君が申しわけなさそうに、太郎に向かって「あ、いや、あのぉ…ズボンの膝がほら、こんなんなってしまってて…」太郎はきょとんとして、それからやっと自分の勘違いに気がついた。「あー、ズボンか…」当たり前だ。自分の膝の傷を自分で、しかもボタン付けに使うような裁縫道具で縫う高校生はいないだろう。ブラックジャックじゃあるまいし…。
2008年05月16日
中学生になった花子は、当初ものすごく張り切っていた。小学校時代は勉強が飛びぬけて出来たとか、勉強が大好きだったというわけではないのだが、太郎にいろいろなアドバイスを受けて、一年間は塾に行かずに自分でしっかり勉強する計画を立てて、春休みにはぼちぼちと予習を始めていた。だが、実際に入学してみたら、花子のクラスにはいわゆる「調子に乗りやすい男子」が多数いて、また女子も、はっきり言ってしまうと非常に行儀の悪い子たちが集まっていて、授業は4月の初めから、騒がしくてめちゃくちゃなものだった。4月に授業参観でその様子を見たとき、私は本当にびっくりした。先生に向かって、数人の男子が四六時中なにか大声で話しかけている。まるで友達と雑談しているように、だ。もちろん手を挙げて発言するものなどほとんどいない。先生が問題を出そうとすると、その数人の男子が「あーそれの答えは○○!」と大声で言ってしまう。そして挙句の果てには「せんせー、そんなんもう塾でやったわ!!もっと先いこ!なぁ!もっと先!!」なんて叫んでいる。あとで花子に聞いたのだが、この先生は最初の授業の時「授業中は手を挙げての発言でなくても『意欲・感心・態度』のところでポイントをプラスしてあげます。また授業中の発言はどんなものでもポイントを付けてあげますよ」とおっしゃったらしい。だから授業中その男子達は何度も何度も授業に関係ないことを大声で叫び、そのたびに「せんせ!今のんポイントつけてな!絶対つけろよ!!な!!」と確認する。(その後、この先生は「月に一回ぐらいは授業中寝ていてもかまいませんよ」ともおっしゃったそうだ。騒がれるよりは寝られるほうがマシという苦肉の策か?)目を覆いたくなるような、とはこういうことを言うのだろうと思いながら授業を眺めていた私のすぐ横で、その騒いでいる男子の保護者達が満足気に微笑んでいる。その間、他の子供達は面白がってその様子を見ていたり、授業が進まないのを良いことに隣と大きな声でおしゃべりをしている。中にはあきれてしまって黙ってノートをとったり、ぼんやりしているだけの子もいる。こんな参観、見たことがないと思った。花子は目をしょぼしょぼさせながらノートをとっていた。時折、先生が質問する気配に手を挙げてみたりしていたけれど、どれもその男子達の口々に勝手に発言する声に、段々とバカらしくなったようだった。そんな参観から後、私は毎日花子が帰ってくると授業の様子を聞くことにした。その数人の男子達の傍若無人な振る舞いはどんどんエスカレートし、女子の一部がその尻馬に乗り、入学わずか一ヶ月で花子のクラスの授業は完全に壊れていた。かろうじて保健体育と少人数クラスに分かれる数学は、担当の先生が怖いということで男子達もおとなしく、きちんと授業になっているらしかった。だが他の授業はその数人の男子の扇動で明らかに授業つぶしが始まっており、社会にいたっては先生が授業に来るのを忘れてしまうなんてことまで起こり始めた。そして花子の席の前の女の子が、授業中ずっとうしろを向いて花子にしゃべりかけてくるので困っているらしい。その子はクラスの行儀の悪い女子のグループにいる子で、プリントや小テストをやったりレポートを書いていると、堂々とうしろを向いて花子のものをすっかり写すらしく、花子が書いていない部分があると「ちょっと、ここ後の子のを見て書き!」とカンニングを勧めてくる始末。花子は性格がはっきりしているので、そういうことは「イヤ。そんなんせえへん!」と断るらしいのだが、授業中ずっと後を振り向かれることにはかなりのストレスを感じている様子だった。授業が荒れていることは、張り切って中学に入学した花子に大きな失望感を与えた。花子は昨年ずっと太郎の受験のサポートを私と一緒にやってきたので、高校受験の厳しさをよく知っている。そして、自分も中学に入ったら兄ちゃんみたいに頑張るのだと、楽しみにしていたのだ。だから、毎日毎日騒がしくて馬鹿馬鹿しい授業を受けるのが、段々辛くなってきた。連休に入る少し前から、花子は毎日ひどい頭痛を訴えるようになった。学校に行くことはいやではないので、朝からの頭痛はほとんどないのだが、学校から帰ってきて夜寝るまで、ずっと締め付けられるような傷みがあるらしい。私は、この状況にかなり危機感を募らせていたのだが、クラスのほかの子供達がさほど不満な様子がないことや、学年懇談会などではそのような話題がまったく出なかったこともあって、花子がちょっと気にしすぎているのかもしれないという気持ちもどこかにあった。それで「夏休み頃まで様子を見て、それでも状況が良くならなかったら塾に行く?」と花子には話していた。塾に行ったところで学校のクラスの状況はなにも変わらないのだが、せめて花子の学習意欲を満足させて「学校がダメでも私はちゃんと勉強している」という気持ちにさせてやりたいと思ったのだ。とりあえず夏ごろまでによそのお母さんにも様子を聞いてみようと思っていた。しかし、花子の頭痛は日ごとにひどくなり、私はついに花子に内緒で学校に相談の電話をかけてみた。ちょうど担任は授業のため不在で、学年主任の年配の男性教師が電話にでた。それはあの参観の授業をしていた先生だった。私は一瞬躊躇ったが、手短に花子の状況と、クラスのあの状況は今後もあのままで放置されるのかと聞いてみた。すると「お母さんのおっしゃることは良く分かります。実は担任も頭を抱えているのです。彼ら(いつも騒ぐ男子達)は小学校3年生程度のレベルの子供です。言葉遣いも非常に悪いですし、行動も極めて幼稚です。ですが、厳しく叱って萎縮させてもいけませんし…すぐには治るようなものではないので…ですが、学年担任団でもう一度よく相談をして、少しでも良くなるように努めます」とのことだった。頭にきた。一年生の初めからパーマを当て、茶髪にし、校則を破るのが当たり前のようにし、授業中は騒ぎまくって授業を妨害するような、一部のワルガキや行儀の悪いお嬢ちゃんを萎縮させないために、普通の子供達は我慢を強いられているのだ。ここ数年よく聞く「吹きこぼし」って、こういう風に始まるのだとよく分かった。太郎が入学した頃は、ちょっとした事でも学年集会でカミナリを落とされ、校則を守らない子供はいつでもこまめに注意されていた。その甲斐あってか、太郎の学年の子供達はみなそこそこ真面目で、だが個性豊かで面白い子供達に育ち、成績も優秀だった。そんなこともあって、花子の入学時には私は地元の公立中学を信頼しきっていた。学年主任の無責任な言葉を聞いても、まだ完全に中学への信頼を断ち切ることが出来ずにいた。なにより、花子の「塾に頼らずに自分で勉強したい」という気持ちを大事にしてやりたかった。だが、連休が明けても一向に環境を良くしていこうという気配もなく、服装検査は、まるで真面目に校則を守る子供達がバカを見るようなもので、花子の学習意欲はどんどん薄れていくようだった。授業の進んでいる教科は、先生が「どうせみんな塾で習ってるから知ってるでしょ」という態度でどんどん進められる。また一方で、完全に子供達になめられて授業を妨害されている教科は、ほとんど進んでいなかった。英語などは一ヶ月たってもまだアルファベットをだらだらと書いていた。もうこれではだめだ。こんな学校に信頼して子供を預けるなんて、もう私には出来ないと思った。私は思い切って花子に「もう、今すぐにでも塾に入ってみる?」と聞いた。花子はずいぶん難しい顔をして黙って考え込んでいたが「そうしようかな。だってこのままでは学校でなんて勉強にならないもん」と言った。その場ですぐに太郎がお世話になった塾に電話をし、中途半端な時期に入学申し込みをすることになった事情を話した。「それでは少しでも早く授業に参加できるほうが良いですね」と、さっそく次の授業の日に体験させてもらうことになった。初めての塾で、体験とは言え2時間40分はさぞかしきつかっただろうと思ったのだが、帰ってきた花子はキラキラした目で「あっと言う間に終わっちゃった!でもまだ学校で習ってないことばっかりで、頭から煙が出たよ。」と笑った。次の日、すぐに入学手続きをし、花子はクラス分けテストを受けた。問題は小学校の復習とその応用だったらしいのだが、花子はあまりの緊張でさっぱり解けなかったらしい。だが、そこから少しずつ頑張って上がっていくことを励みに、楽しんで勉強に取り組めたらいいなぁと私は思っている。そして今夜から、花子は本格的に塾に通う。遅れている分を取り戻すために、塾のほうもいろいろと気を配ってくださるらしいが、自宅でも出来るだけ穴埋めをしようと、昨夜は花子と二人で学習計画の練り直しをした。新しいスケジュール帳に予定がどんどん書き込まれる。花子はやっとやる気のみなぎった元気な顔に戻った。今月の終わりには、学校の前期第一テストがある。そして来月には塾の模擬テストもあり、そのすぐ後には始めて受ける英検が控えている。しばらくは大変な日々が続くのだろうが、私は再び始まるサポートの日々をちょっと楽しみに受け止めている。頑張れ花子!
2008年05月15日

毎日をバタバタとやり過ごしているうちに、季節がどんどん移り変わってしまい、日記に書きとめておきたかった今年の庭の花々もついつい載せ損ねてしまっている。そこで、今年の春の我が家の庭の様子を、ちょこちょこと撮りためた写真とともに少しずつ記事にしてみようと思う。最近の我が家のアプローチの様子。すでに春という雰囲気ではなく、すっかり草いきれむんむんの初夏の庭になっている。地植えの植物というのは、主が忙しくて一向に世話をする気配を見せないような年でも、春になればちゃーんと新芽を出し、若葉を茂らせてくれるので本当にありがたい。我が家にいらっしゃるお客さんは、このアプローチを通って中の庭にでるとみな口を揃えて必ず「うわぁ、ものすごいですね」とおっしゃる。ものすごい、というのは決して褒めてくださっているのではなく(泣)、庭と言うよりはまるでジャングルのように様々な植物がひしめき合って、そこに普通は野原に生えているような花たちもみな市民権を得て我が物顔でいるために、一瞬「大変なことになってしまっている」という印象を表してくださるのだ。なんのことはない、皆さん内心は「草引きぐらいこまめにやれよ」とおっしゃりたいのだと思う。白いエニシダが咲いている。どうやら四季咲きらしく、花期が長いのだが花つきはあまりよくないようす。うわーーっと咲くのを期待していたのでちょっとガッカリ。白い花といえば、昨年日記に載せて「珍しい」と褒めてもらえたのがこの白いハナズオウ。今はもう花の時期は終わってしまったのだが、せっかくなので載せておこう。この真っ白で柔らかいラインの花は、なんだか清楚な感じがしてとても気に入っている。殿様がもうずいぶん前に小さな苗木を植えたハクウンボクが、今年初めて花を咲かせた。蕾は藤の花の蕾のような形をしていて「どんな花が咲くんかなぁ」とワクワクして待っていたら、こんなにかわいらしい花がたくさん咲いた。お面が作れるくらいの大きな葉っぱからは想像も出来なかった。下向きに咲く花は日本人の心をくすぐるらしいが、この花の形はその最たるものではないかと思う。いい香りのするこの花にはクマバチがたくさん寄ってきて、せっせと蜜を集めている。ハナミズキも、今年はやっと一人前に咲いた。昔からハナミズキが好きで、この家に住み始めた頃はピンクのハナミズキの大きな木を植えていたのだが、台風で揺さぶられて根がひどく傷み、枯らしてしまった苦い経験がある。今度は、ちょっとした茂みが足元を覆っていて、少々の風には負けそうにない。ブルーベリーもまだまだ咲いている。我が家には早生の種類から、比較的遅い時期になるものまでいろいろなブルーベリーがあるので、ずいぶん長い期間次々に咲くのを楽しめるのだ。残念なことに、小粒でとてもおいしい実のなるワイルドブルーベリーは、今年は花がとても少ないようだが、それ以外はたくさんなりそうなので、今年もジャムを作るつもり。今、庭の面積の大部分を占領しているのは、このこぼれ種で勝手に増えたマーガレットである。風に揺れるマーガレットは可憐なイメージがあるが、実はとんでもなく強い繁殖力をもった植物なのだ。数年前に「モッコウバラがもう一本欲しいね」と言って購入した一株が、今年は黄色いモッコウバラの間からぐんぐん枝を伸ばして花をつけた。これが一面に枝を伸ばして、びっしりと花を咲かせるようになるのは何年後だろう…。想像するだけでも嬉しくなってしまう。今朝、家族が出かけた後で、久しぶりに庭のベンチでお茶を飲んだ。一人でのんびり飲むお茶は、やっと少し自分のための時間ができつつあることを実感させてくれた。庭のあちこちに目をやると、いままでどうしても追いつけなかった「季節の進む速さ」と、自分の暮らしの速度のズレを少しずつ調整できる気がした。油断していて、ほっぺたをシマシマのやぶ蚊にやられてしまったけど、これからまた庭で過ごす時間を大切にしたいなぁ…なんて改めて思う私なのだった。
2008年05月08日
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