ハッピー Happyラウンジ

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December 20, 2024
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カテゴリ: マミー
「調子はいかがですか?」と母に声をかける。

母は少し困ったように笑みを浮かべ、ろれつの回らない口調で
「まあまあです」と答えた。その声に耳を傾けながら、


心の奥にわずかな疑念が湧いた。
昨日お渡しした手紙について、触れてこないのが気になったのだ。

思い切って聞いてみることにした。
「昨日お渡しした手紙はお読みいただけましたか?」

Z先生はその言葉を受けて一瞬だけ視線を宙に泳がせ、
困ったように眉をひそめた。そして口を開く。


その言葉は、どこか曖昧だった。

Z先生はすぐに話題を変えた。



私は少し躊躇したが、母の生活に関わる重要な点について確認しておきたかった。
「退院後も、左腕の三角巾はそのままの状態で過ごすことになるのでしょうか?」

その問いに、Z先生は少し意外そうな表情を見せた。
そして、カルテに目を落としながら答える。
「そうですね……そのあたりは、看護師の方が詳しいかと思います。」

どこか他人事のような口調に、私は少しだけ拍子抜けした。
担当医として、もう少し明確な指針が示されるのではないかと
期待していたのだが...もしかして脳梗塞の患者は初めてなのかもと
思った。



その後、Z先生は再び母に優しい声で問いかけを続け、
少しだけ会話を交わした後、静かに病室を後にした。

母はその背中を見送ると、小さく呟いた。
「優しい先生だけど、何だか忙しそうね。」

その言葉に、私はどう答えていいのかわからなかった。





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Last updated  December 20, 2024 09:00:11 PM
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