ほととぎす鳴くやさ月のあやめ草あやめも知らぬ恋もするかな
『古今和歌集』469 詠み人知らず
古歌でのあやめは菖蒲のことで、あやめを菖蒲と書くことでも分かります。しかし、実際には菖蒲は別の植物だというからややこしい。
それを知ったのは短歌を詠むようになってからです。
アヤメの語源は「文目」と書き、剣形の葉がきちんと並んで生える葉の様子から文目(筋道、模様の意)の名がついたと言われる。
また、「綾目」とも書き、花弁の基の黄色部分の縞(しま)模様を綾目と表現したらしい。乾いた土に生えます。
あやめ
本来の「菖蒲(しょうぶ)」はサトイモ科の植物で、アヤメと混同している菖蒲とは違うものというのは知らなかった。
「菖蒲湯」という端午の節句に葉をお風呂に入れる風習がありますが、これから言うと「尚武」という字を当てる方が近いのかも知れない。
「花菖蒲」はアヤメ科で、葉が菖蒲に似ていて美しい花が咲くことからこう呼ばれ、大ぶりの花が特徴です。
「あやめ祭り」の「あやめ」はこの花菖蒲のことを指すことが多く、昔の人が花菖蒲とあやめを間違えて、祭りの名前にしてしまったのだとか。
湿地に生えます。
この辺りになって来るとややこしくて、区別が付かなくなってくる。
尚武の花と花菖蒲
「杜若」もアヤメ科の植物で「燕子花」とも書く。昔、花の汁で布を染めたので「書き付け花」と言い、それが「かきつばた」に変化していったらしい。
花びらの根もとからはっきりとした細いすじ(線)が1本入っているので違いが分かります。水の中から生えます。
杜若
一方、「一八(いちはつ)」は「一初」とも書き、アヤメの類の中で一番早く咲き出すのでこの名前になったらしい。花のところから白いとさか状のもじゃもじゃが出ているのが特徴。シャガの花に似ているかな。
乾燥に強いため、昔はかやぶき屋根の頂上部分にたくさん植えて屋根を締め付けて守ったのだとか。火災、大風の魔除けの意味もあったらしい。
乾いた土に生えます。
一八
何ともややこしい花ですね。
芍薬と牡丹の違いや、木槿と芙蓉の違いも短歌を始めてから知ったことです。何でも分かって来ると親近感が生まれ、楽しみも増えるというものですね。
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