あなたには人の情けはわかるまい
次の日、鹿門は青影丸の新蔵人に帆柱に上る競争をもちかけます。新蔵人は、来た早々の鹿門が競争するといい出したので相手にせず鼻で笑い、鹿門の「 負けるのはいやか
」に、「帆柱は小さいときからの遊び道具だ」といい返す新蔵人。
鹿門 「 そんなら来い
」
新蔵人「こいつのぼせやがったな」
そういって鹿門の挑戦を受ける準備をする新蔵人を見て、 ニヤリとし
、
鹿門 「 俺が勝ったらどうする
」
新蔵人「 何でも望みどおりにしてやるは
」
鹿門 「 よーし
、忘れんなよ」








黒白斎の合図で、 帆柱登り競争がはじまりました
。梯子の中間まで来たとき、鹿門はめくら船の方を指さし、
鹿門 「 おーい
、 謝花が来たんだ
」
鹿門のいったことに驚き、梯子を上っていた新蔵人が立止まってしまいます。
めくら船に忍び込んでいた、といい、先に上って行くのです。



卑怯だそんなことがあるもんかと信用しない新蔵人に、「 嘘なもんか
、 あれを見ろ
」といい、新蔵人がめくら船の方を見ているすきに、てっぺんに上った鹿門は、
鹿門 「 約束だぞ
、謝花をこの船に乗せてくれ」
と。・・・しかし、女の情に溺れてこの船の頭領の役目が務まるか、追い返せ、と新蔵人はいってきます。
鹿門 「女一人、どうして返すことが出来るんだ。 見殺しにする気か
」
新蔵人「俺のいうことを聞かぬ馬鹿女だ、・・・死んでしまえ」
鹿門「そーか、 よーし
、俺の船に忍び込んだ女だ、 俺が預かろう
」 



そういって、青影丸から小舟に乗り移ろうとしていた鹿門に、
寿賀 「 お情け深い
、 めくら船の頭領どの
」
皮肉な嘲笑を浴びせる寿賀に、
鹿門 「あははっ、あなたには 人の情けはわかるまい
、あっはは」
笑って下りて行く縄ばしごを寿賀が力一杯ゆすります。もう少しで小舟に乗り移るというところで 海の中へ落ちてしまいます
。





少しも動じず鹿門は 笑顔を見せ
、大笑いする寿賀に、
鹿門 「ああ、 いい気持ちだ
。 暑いからちょうどよかったい
。 あっはっはっは
」



そんな鹿門に腹が立ち手裏剣を投げますが、 簡単に受け止め立ち去って行く鹿門
を寿賀は悔しさいっぱいで見ているだけでした。




続きます
。
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