そして、98年4月にとうとうトラヴェラーズがシティコープとの合併を発表し、10月8日にこの合併は完了した。ここに設立されたのが世界最大の金融機関シティグループであり、シティコープ会長だったジョン・リードとワイルが共同会長に就任した(このころのワイルの年収は300億円で米報酬額トップ)。しかし問題があった。「Banking Act of 1933」通称グラス・スティーガル法である。ここまでに登場した名前の集合体がシティグループなので、「33年銀行法」に引っ掛かるのは目に見えている。そこでワイルとジョン・リードは、なんとこのグラス・スティーガル法を撤廃させるよう行動した。グリーンスパンFRB議長、ゴールドマン・サックス会長を退任したロバート・ルービン財務長官、世銀副総裁からクリントン政権で財務省に移籍したローレンス・サマーズ財務副長官、これら金融界の大物がワイルの考えに同調したのか協力的で、99年11月12日にクリントン大統領が署名したことでとうとうグラス・スティガール法が66年ぶりに撤廃された。99年、ルービンは財務長官を退任後、シティグループ会長に就任した。