デラックス・パークサイド は51.2平米と、インペリアル・スイートに次ぐ広さを誇る
部屋です。
もちろん、 インペリアル・スイート
のハーフサイズともいえるデラックス・クラシックも
43.7平米とかなり広く、開業以来の客室なのですが、この部屋の唯一最大の欠点は、扉を
開けたすぐ前にベッドがデーンっと見えてしまうことで、あまりおすすめできません。
デラックス・パークサイドは、本館の1階と2階とに各々1室しかなく、かつ「飛鳥」
(1階150号室)、「天平」(2階250号室)と、ルームナンバーのほかに固有の室名を冠
称していることでもわかるように、特殊な用途と異常ともいえる室料が設定されている
インペリアル・スイート
は別格として、奈良ホテルのフラッグシップ・ルームといってよい
と思います。
ルームキーも 室名つきですね。もっとも、こちら↓もですが・・・
こちらの「飛鳥」は、ひきこもりテツ は宿泊経験がありません
区分としては「パークサイド」とはなってますが、本館の最も奥まった位置にあって
構造的にもなかば独立した部屋で、かつ3方向に窓を開口していますから、タウン
サイドの両方に面しているといってよさそうです
引用 Google map 3D
公式ページでも
三方を窓に囲まれた開放的で明るく、奈良ホテルと奈良の文化を
融合させた
シンボリックな内装です。
と紹介されています。から、別格の存在であるを除け
は、「奈良ホテルに泊まるならココ!」という、フラッグシップともいえる部屋
です。
ただ、さすがに人気のある部屋ですから、休前日などはなかなか予約がとりにく
く、ひきこもりテツ も、正倉院展会期中の休前日宿泊では3年越しでの確保と
なったしだいです。
2:もとは 昭和3年に増築された 共同トイレ・浴室
奈良ホテル刊「百年のホテル」によれば、デラックス・パークサイド は、
1909年(明治42年)の奈良ホテルの開業時にはなかった部分で、
1928年(昭和3年)に増築されたと記載されています。
それも、客室としてではなく共同トイレ、共同浴室として建設された、とあります。
一方、竣工時の平面図が、「TOTO通信」に掲載されています
各階の赤丸が現在の天平、飛鳥にあたる部分 引用:TOTO通信
単純に号室番号が記載されている場所が客室であると考えると
・1階 51~73号室(60号室欠) 計 22室
・2階 1~33号室(4、13号室欠) 計 32室
全部で54室あるように見えます。
一方、開業時の客室数は62(「百年のホテル」)とされていますから、数が合いま
せんし、赤丸で囲んだ部分が昭和になって増設されたところですから、TOTO通信の
図面は、竣工時となってはいますが、開業時のものではないことになります。
いずれにしても、当時は洋室(ツイン)が、今でいうコネクティングルームのように
数室単位でつながっていて(下図)、
1階客室(拡大) 引用:TOTO通信
数室単位でバス、トイレを共用するようになっていたようです。
下図の2、3号室は、現在のデラックスクラシックですが、こことて当時は2室での
共用。65号室に至っては独立していてバス、トイレがありません。
そんな構造ゆえに、共同トイレ、共同浴場(といっても家族風呂ほどの大きさ?)が
用意されていたわけですが、後年になって共用施設として東棟が増設されたのでしょ
う。
下図は、増設された東棟の共同トイレ、浴室の平面図を現在の平面図と比べたもので
す。現在の150号室が、デラックス・パークサイド(1階「飛鳥」)です。
1階客室、東棟(拡大) 引用:TOTO通信/現行の館内案内図
なお、この東棟は、地形上本館よりやや低い丘上の斜面を削平して増設したのでしょ
う、本館廊下から5段の階段で下った形でつながっています。
話がそれました・・・
で、時は下り、関西では1970年(昭和45年)の大阪万博の旅客需要増を目当て
にさまざまな施策を講じるようになります。
奈良ホテルでも昭和40年代に入って、新館の建設や本館客室の改修を行うように
なりました。その際、全館の冷房化と客室内へのバス、トイレの設置が完了するに
至りました(「百年のホテル」)。
これに伴い、東館1、2階の共同トイレ、浴室を客室に大改修しました。
これが「飛鳥」、「天平」です。
当時は和室として改修されましたが、もともと独立棟で給排水設備は整っていまし
たから工事は大規模ながら順調に進んだものと思われます。
4:和室を洋室に 奈良ホテルのシンボリックルームに
話を「飛鳥」、「天平」に戻します。
2013年(平成25年)、この2室が現在すがた、洋室に再改修されました。
当時の取材記事
このあとに続く、THE BER(昼間はティーラウンジとして営業)の改装孤児とともに
JR西日本系列の 大鉄工業㈱
による改修工事の施工を行いました。
なお、もともとは客室ではありませんし、さらに和室から現在の姿になったのは平成
の末期ですから、調度品には古いものはありませんし。もとよりマントルピースは
レプリカです。ヒーターもありません。
5:室内のご案内
それでは、250号室「天平」をフォトレポートしましょう。
みなさんご存じの通りの風景をみながら2階へ
奈良ホテル「なら」ではの絵画、備品を眺めながら、ひたすら通路を進みます。
2階のどんつき、静寂そのものです。
室内です。平面図は公式サイトからお借りしてます。
続いてトイレ、洗面、シャワーブース、バスルームです。
絨毯から灯火、絵画などのパーツです
タウンサイドから、鹿の親子
上掲写真の中からいくつかを・・・・