【1日1冊!】猿のごとく読み、人のごとく考える

【1日1冊!】猿のごとく読み、人のごとく考える

2018年07月06日
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【猿のごとく読み、人のごとく考える・その488・481冊目】
・紹介する本
・サノーさん一言コメント
「推理小説の定番となったアリバイというトリックは、この作品から始まった。文字で時間と空間を再現し、謎解きに挑む楽しみを創造した一冊」
【サノーさんおすすめ度★★★★★】
・ウノーさん一言コメント
「樽のなかから出てきたのは、おがくずと金貨と女性の死体。謎が謎を呼び、巧妙なトリックが時間を忘れさせます。古典的傑作ミステリーです」
【ウノーさんおすすめ度★★★★★】
・サノーさん、ウノーさん読書会
サノーさん(以下サ):1912年4月、晴れた朝、ロンドン港に入った船の船倉には、ぶどう酒の樽が並んでいた。
ウノーさん(以下ウ):運び出す作業は順調でしたが、一つの樽を運び出そうとしたとき、吊り上げていたロープが取れ、樽が落ち、中から出てきたのは、おがくずと金貨と女性の手でした。
サ:この作品が、ミステリー小説の金字塔として、いまでも支持されているのは、丁寧で細かい描写と、極めて「現実感」に満ちた「雰囲気」を、読み手の頭の中に、創造するからだ。
ウ:あまりに丁寧すぎて、展開が遅く感じられることもありますが、丁寧に読めば、それが「錯覚」であることが、よくわかります。
サ:「謎」は全て、一つの「樽」に集約している。これが物語をわかりやすくし、読み手に強い印象を与える。
ウ:伏線や登場人物が複雑にならないのも、素晴らしいです。
サ:だが、この作品が「歴史に残る」傑作となった理由は、「アリバイ」という「ギミック」の発明だ。
ウ:2人の容疑者がいて、どちらにも「動機」がある。片方には「第三者による証言」や「物的証拠」があって、犯行が行われた日時には、別な場所にいたことが立証され「シロ」だ。もう一人のほうは、その「証言」や「証拠」はなく、状況証拠から「クロ」であり、逮捕されるというシチュエーションです。
サ:これ以前の推理小説では、この「証言」や「証拠」を探して、辿って、立証するフローだったが、それが完全に覆されたわけだ。
ウ:ここで、ミステリー小説のなかに「アリバイ崩し」というジャンルが確立したわけです。
サ:探偵と一緒に「証拠探し」をしていた読者が、実は「真犯人」に騙されていくという「感覚」は、この「アリバイ」という「証拠」のトリックによって、覆されたわけだ。
ウ:自分がみつけた証拠が真実を隠してしまうという「皮肉」を、小説によって楽しめることになったのです。
サ:もちろん、「アリバイ」を崩すための証拠を積み上げる作業という「感覚」も生まれた。
ウ:さらに「アリバイを崩した!」と喜んでも、実は、それそのものがトリックだったりして、いよいよ「推理小説の面白さ」が加速するわけです。
サ:だが、それらは、小説の世界の中で「真実」として成立しなければならない。
ウ:登場人物はもちろん、読者も納得できる「論証」である必要があります。
サ:この本は、その「感覚」を生み出すために、スピード感やテンポではなく、「丁寧なリアリティ」を追求し、成功したわけだ。
ウ:トリックを知っていても、楽しめる「古典的名作」です。
【了】





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最終更新日  2018年07月06日 08時06分56秒
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