◆ラテン旦那と大和撫子妻◆

アドレナリンラッシュ!

これはちょっと前に起きた事件。


心臓バクバクもんの体験をしてしまったのです。

未だに思い出す度,心臓がキュッって絞めつけられる感じがする。




その時未だプエルトリコに越して来たばかりで、

地理感覚もイマイチな私。


でも毎日地図と睨めっこをして、

ある程度は把握をしていたつもりだったんですよ。


強調しますが、つ、も、り、だったんです。



それに解らないからって、運転しないで居ると、

いつになっても道なんて覚えないですよね。



だから、普段なるべく外に出るようにしていたんです。




ある日、プエルトリコに長年住んでいらっしゃる日本人、A子さんの自宅で、

日本人同士のプチパーティーに御呼ばれしました。

嬉しくって、地図を確認してからいそいそと子供達を乗せて、

迷うこと無くすんなり彼女の家へと到着。



な~んだ~!


私だって出来るじゃん!  簡単だわ~。


地図さえあれば,どこだって行けちゃうわ~!!!




そして楽しいひと時が過ぎ...........


夜も8時になり、辺りは当然日は落ちてます。



A子さん家族にお礼を言い、ルンルン気分で車に乗り込み、

家路に着きました。



ここまでとんとん拍子に行っていたのに、


何と私はアホな事に、逆方向のハイウェイに乗ってしまったんです。




“あ!やばい! 間違えちゃった~!”



まあいいかー、次の出口で降りて逆方向に乗り直せば良いよね~。




何て未だ未だ余裕で居たんですよ。



ところが、次の出口で降りて見ると、


周りが予想以上に真っ暗で、

おまけに標識がここでは余り当てにならない事を思い出した。



ちょっと緊張しながらも、注意深く標識に従ったつもりなんです。




なのに! なのに!!!




行けども行けども周りが寂しくなって行く。




これは絶対に変! 


って気が付いた時には、

もう引き返しようも無い位奥に入り込んで行ってしまっていた。



仕方ないな~、前の車にとりあえず着いて行って見て、

大きい道に出たらどうにか成るでしょう。

って、未だ余裕で居た私。



ところがですよ、これが又どんどん訳の解らない所まで来ちゃって、

私慌て始めました。(遅いっつーの!)




まずい! どっかに標識無いかな?

え?  9号?

聞いたこと無いなー???



真っ暗だし、おまけにコンパスは無いし、暗闇手探り状態。



車を止めて地図を広げるのはちょっと危険だし、

とにかく大きな道路に出るように、と祈りながら運転し続けました。




それなのに、それなのにぃ~、



HIP HOPやレゲトン(スパニッシュラップみたいなもの)が、

がんがん鳴り響く、ゲットーに入り込んで行っちゃったんですぅ~~~!!!


あ~~~!!!どうしよう!どうしよう~~!@$%^&*



怖そうな人達が、道路の真ん中辺りまで出て来てたむろして居ます。


それを一生懸命に避けながら、必死に前を向いて唯ひたすら


そこから抜け出すことを祈りながら運転しました。




以前にブルックリン(NY)で、ちょと危ない辺りを車で走行中に、

外に居た若い男の子3人組と目が合ったんです。


するといきなりその子達、手に持ってたレンガのような物を、

私たちの車めがけて投げつけてきたことがあって、

車のボディーべっこり引っ込んじゃったんです。



その時旦那に、きょろきょろ外を見てるんじゃない!って

凄く叱られたんです。

絶対に目を合わせるんじゃないって。



そういうことがあったから、



必死に前だけを見て運転しました。

前屈みになって10本の指がハンドルに食い込むぐらい、

力入っちゃってました。



周りの怖そうな人達、通り過ぎる私達の車を目で追っています。




あ~~ん! 見ないで~!!




そんな私の緊張を知らずして、子供達は心配そうに色々聞いてきます。


“マミー、一体何処走ってんのか知ってるの?”

“マミー、音楽がうるさいねー”

“マミー、迷っちゃったのー?”



質問攻めにされて、頭は殆どパニック状態。


でも子供達が乗ってるし、パニクっている訳にはいきません。


必死に平静を装って、



“ごめんね。今マミーちょっと忙しいから、質問は後にしてくれる?

ちょっと道を間違えちゃったみたいだから。”


って言った時、突然




“パーン!!”




って物凄い音がして、


車の右側のバックミラーが割れたんです。



助手席に載ってた次女は、悲鳴を上げて泣き出した。




もう頭の中は真っ白!!!




うっ、嘘でしょう!?



こんなことがあって言い訳!?



このままじゃ、母子全員銃殺!

何て事になり兼ねない!



私はどうなっても良いけど、子供達が!!!




こんな所で死ぬのは絶対に嫌!





泣き出す子供達に大声で、



シートベルトをはずして、

足置きの所に頭を抱えて丸くうずくまる様に指示して、

スピードを上げて無我夢中で走り続けました。



尋常じゃない私の様子と、この状況を察したのか、

子供達は泣き止んで一言もしゃべりません。



暫く行くと、



人気は無いけどピザ屋や、デリが立ち並ぶ所に出ました。


スピードを緩めながら、周りを目で確認して、電灯の下に車を止めて、

急いで外から見えないように地図を小さく広げて確かめようとしたけど、


今度は自分がどの道路に居るのか解らない。



薄暗い中、アパートの2階から誰かがこっちを見ている。

誰か外を子供連れが歩いてないかな。

そうすれば、道を聞くことが出来る。



でも、誰も外に出ていない。



困った~!!!




これじゃーにっちもさっちも行かないじゃない!





焦る気持ちを落ち着かせながら、深呼吸をして対策を考えていると

Nicoleが脇から、


「ねーマミー、ダディーにTELして聞いたら?

私それが一番いいと思うよ。」と不安そうな顔で言って来た。



それを聞いて、何だか泣きたくなっちゃいました。



私:「そうしたいんだけどさー、TELしてもどうしようも出来ないよー。」




大体、自分がどの辺に居るのかさえも解らないんだから!




途方に暮れながらもじっとしている訳にも行かないので、



神様、仏様、アラー、キリスト、ありとあらゆる神様にお祈りをして、


覚悟を決めていざ出発!





ギアーをパーキングからドライブに入れようとするんだけど、




何て事なの!?




ギアーが、びくとも動かないんです。




私:「え~~~~!!!!!どうなってんのー!!!

どーして? 何で動かないのよ!!!」



必死になって上下左右にガチャガチャ動かそうとするんだけど、

全く動かないんです。




自分で、呼吸が荒く心臓が高鳴って来たのが解りました。





これは、本当にまずいよ.......。





きっとアドレナリン大放出だったでしょうね。




すると不思議にも、「ふっ」って感じで肩の力が抜けたんです。




どうやらアドレナリンちゃんのお陰なのか、



開き直ったみたいなんです。




と同時に、



力ずくでギアーをパーキングから思いっ切り、


一気にドライブへと引っ張りました。





ガガガガガガーッって鈍い音を立てながら、

ギアーはドライブへと移動しました。




やったー!!!




急いで車を発進させ、開き直って冷静を取り戻した私は、



直感だけを頼りに進んで行きました。




どうしてか解らないけど、大丈夫だって思ったんです。



もしかして、大丈夫だって自分に思わせていたのかもしれませんね。





道の幅が段々大きくなって行って、ついに大通りに出られました。



最寄のハイウェイに乗り、大回りをしながらも、

無事家へ帰ることが出来ました。




家に着くと旦那が丁度帰宅したところでした。



一部始終を話すと、



“バックミラーだけで済んで、命に別状無くて良かったよ。

本当にラッキーだったとしか言いようが無い。”

って言っていました。



ギアーが動かなくなっちゃったのは、


気が動転していた私は、


ギアーをパーキングに入れる前に、

フットブレーキを踏んでしまった様なんです。


実はこれ、前にもやっちゃってた事があるんですね。


その時は旦那が居たので、対処をしてくれたから良かったけど、


今回はちょっとパニックしてたから、気が付きませんでした。





ここで私の教訓。




たとへ道を間違えても、慣れていない場所では、遠回りをしてでも、

そのままハイウェイから無闇に降りずに居る事!


そして、夜はなるべく避ける事!


ギアーをパーキングに入れてから、フットブレーキを踏む事!







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