◆ラテン旦那と大和撫子妻◆

あ~気分サイテ~

超高級レストラン“○○○CLUB"


この店はOLD SAN JUAN の中でも一押しの連日満員御礼のレストラン。


私そのレストランの一番奥の小部屋で


何故か子供のタップダンスの先生から紹介された、



ショーン・コネリーのマネージャーと


マネージャーの又、付き人らしき人と


ショーンが現れるのを待っていた。



前菜として注文した



ロブスターと野菜の盛り合わせ


帆立貝のソテー・カレーソース


生ハム、カキ等が次々に運ばれて来る。





待ち合わせ時間を

もうとっくに40分は過ぎようとしている。



「ショーンはどうしたんだろう?」


少しイラつき加減で話す私に


「いつものことだよ」


そう言いながら涼しい顔で生ハムを頬張るマネージャーのLEN.




すると



辺りが騒がしくなり始めた。




とうとう来た。



私は彼の姿こそまだ見えなかったが、

ショーン・コネリーのオーラをビンビンに感じながら


はやる心を抑え、入り口の方へと目をやった。



群がる人々の合間から



予想以上に背の高い、身体つきのがっしりした


英国の紳士、ショ ショ ショ


ショーン・コネリーが一本の真っ赤なバラを持って


少し笑みを浮かべた風にして


私の元へと一歩一歩近ずいて来た。


(すいません私動揺すると、どもっちゃうの。)



何ていう事!?



あの目で見つめられ


金縛り状態のまま、辺りのざわめきは消えてしまい


唯々、己の心臓の鼓動だけが頭の中を駆け巡り



乱れる呼吸を整えるのに必死だった。



ショーンが私の前で立ち止まると


静かに私の手をとって



髭モジャの口で甲にKISSをした。



彼の柔らかい唇の感触に、しばし浸った。



ショーンが私の真横に座り、

真っ赤なバラを手渡してくれた。




遅くなった事を謝り,私に横目でWINKをしてから


静かにメニューを広げた。





















マミー! スクールバスが迎えに来ているよ!




「WHAT!?」





慌てて飛び起きる間抜け母、HITOMI。




あ~~~あ~~~~!



又やっちゃったよ。




目覚ましセットしたつもりが、


してなかった。




これで2回目。




呆れるJEN。



飛び起きて、一気に下へ降り




もう間に合わないから、先に行くようにバスの運転手に告げて


NICOLE と MICHAEL を叩き起こす。



ショーンにKISSをされた手の甲が


まだほんのり熱い事に気が付き、



ちょっと動揺する。



旦那は昨夜遅く帰って来て、ゲームルームのカウチで爆睡しているしー。




一応、「寝坊しちゃったんだけど、」って言って起こすと


自分も早く仕事に行かないといけないって言うから



旦那が子供達を連れて行ってくれる事に。



時計を見ると7時10分。



きっと、もう鬼のような渋滞になっている筈。



JENは8時からTESTがあるといって、ブリブリ怒っている。



おかしいよな~~~。


確かに目覚まし6時にSETした筈なんだけどなぁ~。



もう一回目覚まし時計を手にとって、


壊れていないか耳に当てて音を確かめる私。




脇で冷ややかな目で見ているJEN。




一回起きて、止めちゃった可能性も無きにしも非ず。



ごめんなさいじゃ、済まないのよね。



母親失格だわ。



皆の冷たい視線に絶えながら


慌てて用意をさせる。



今日はMICHAELの先生との、親子面談の日。


予定の時間は10:45.



あ~あ。

本当に情けないわ。



ショーン・コネリーと......なんて


皆には言えないわ。



そのせいで遅刻したなんてバレたら



私の子供に対する権限どっかへ行っちゃいます。(笑)


ここで自己嫌悪。





昨日は昨日で



病院へ血液&尿検査をしに行って,

まず初っ端受付でマジギレ。



受付で順番待ちのシートを取り、No.を見てみると



“357”



次に電光掲示板に目をやると


“356”



「おっ!  次じゃん!   やったね~、今日は早く帰れそう~~~!」




ところが、


受付の姉ちゃん、私の方をチラッと見て、

そのままずっと電話で喋っている。



段々イライラしてくる私。




近くに寄って行って聞き耳を立てる。



スペイン語でイマイチ何だか良く分からないけど


明らかに私用電話だって分かる声のトーンと口調。




そのままカウンターの真ん前に行って


腕組みをし、舌で内側の頬を上下になぞりながら、


思いっきり不愉快さを表に出して


彼女の顔を凝視する。



それに気が付いた彼女、


私に待合所の椅子の方を指差した。



ごおおおおぉおおぉぉぉおおおぉぉぉおおおぉ~~!!


OH,NO!



私の理性を囲んで守っていたフェンスに火がついた!



瞬く間に私の中の“理性”に飛び火し



溶けてなくなってしまった。





「こぉるぁ~~!


さっきから待ってんのに何やっとんじゃ~!


私用電話してる場合か!  われぇ~!」


(日本語ではないので、↑の様には言いませんでしたけど、

気分的には、菅原文太 のつもりで怒鳴りましたね。)



するとこのラティ~ナ。



電話を切るどころか、何やら電話の主に告げると


受話器をゆっくりと机の上に置き、



レジストレーションの紙を黙ってよこし、


再び電話で話し始めた。




ほうほうほう~。




笑わせてくれるじゃないかい。




そう出たか。



面白いじゃないか、



私とやる気だね。




理性が既に溶けて無くなっていた私。


生理直前という、BAD なタイミングも後押ししてか



突っ走りモード。



誰か他の人に責任者を呼んでもらおうと




他に3人居た受付の窓口を見渡した。








ガァ~~~~~~~~~ン!









なんと、



全員電話で喋っているのだ!!!





今さっきまで、あんなに燃え盛っていた炎



一気に鎮火。(笑)



と同時に、パワーダウン。




何だか思いっきり疲れてしまった。



その受付のラティーナは、私が書類を書き込んで居る最中も、

保険のカードをコピーするので移動する時も、


ついに最後まで、片時も受話器を放さなかった。




そして、その周りの3人の受付ラティーナ嬢共も



電話で話しながら応対していた。



そして



誰もその事を咎めないのさ。





ふっ。



“明日のジョー”の 矢吹ジョーの様に影を残してその場を去る私。





検査の為に呼ばれるのに、



その後予約時間を、一時間も過ぎて呼ばれた時には、




私は化石と化していた。




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