◆ラテン旦那と大和撫子妻◆

マイロの災難と、心のトラウマ



プエルトリコへ来てみて、私にとって何が嫌かって言うと、虫が多い事。

蚊も多くて、未だ身体が慣れない頃なんて、刺された箇所が モッコリ と腫れたものでした。

フロリダに居た時もそうだったんだけど、毎月一回必ず害虫駆除に来て貰っています。


それなのに、蟻の侵入は後を絶たなくて、
ちょっとした食べかすも、外から嗅ぎ付けて家の中へ侵入して来る小さい蟻んこ達。
本当に嗅ぎ付けるのが鋭いんです!


慣れるまでは一々気になってスプレーを巻いたりしてたけど、
2年も経つと、余りビビラなくなっちゃった。


裏庭ではいつの間にか蟻が巣を作ってたりして、
以前に知らないでそこへ足を踏み入れた旦那は、無数の蟻に刺されまくって、
悲鳴を上げるくらいに痛痒がっていました。



天敵は蚊と蟻! と思っていたある日の事です。。。



旦那がキッチンの脇にある収納庫を開けてから、

「お~~~~い! 家にはネズミが住んでるぞ!!! やばいぞー!」
と叫んでいる。


見てみると、
子供達が去年のクリスマスで食べ残していた、ストッキングの中のキャンデーを、
ストッキング諸共カジカジした跡が!


驚いて他も調べてみると、お客さん用のビーチタオルや、
新品のティファニーのビーチジャケットまで、かじられちゃってたんですよ~。。。


周りにはネズミの小さな糞が沢山転がっています。


旦那は、

「これは大問題だぞ。。。」と呟いて、直ぐにmouse trap(ネズミ捕り)を買いに行ったんです。

大量に買って来て、早速罠をキッチンを重点にあちこちに仕掛けました。
(罠はべたべたする仕掛けの上に、餌を撒いておく物です)


翌日、



何と、数あるmouse trapの中で3箇所に、合計9匹もの小さな小さなネズミちゃんが引っ掛ってたんです。


それはそれは小さなネズミで、とても可愛い顔をしてるんです。

必死に逃げようと、時折「キューキュー」という
悲痛な泣き声を出しながら、もがいています。


ネズミって確かに病気を運んでくるし、不潔だし、、、と言うのは分かっているんだけど、
あの顔を見ちゃうとどうしても憎めなくって、哀れに思えて来ちゃった。



子供達も涙目で、もがくネズミ達を見つめている。



中でも多分赤ちゃんネズミであろう、極小のネズミは、
とてもじゃないけど見ていられませんでした。


だけどこれは、

ネズミは伝染病を持ってきたり、家具や食物をかじって荒したりと、
悪事を働くから見逃す分けにはいかないの、、、と子供達に言い聞かせ、



旦那が私達に、2階へ行っているようにと言って、


私達が2階へ行っている間に、彼が一人で始末をしました。

どうやって始末をしたのかは、旦那も話さないし、私も知りたくはないです。


その後、暫くの間仕掛けをして、
8匹追加で捕まりました。



その後10日以上、ネズミは捕まらなかったので、
もしかして家族ごと捕まえたのかもね。と、考えて
ネズミ捕りは一先ず休止していました。



そんな中、週末に家族でブランチを食べに行って帰って来た時の事です。

ほんの2,3時間だから。。と、マイロ(ヨーキー♂1才4ヶ月)を自宅に残して行ったんです。


帰宅して車庫から家の中へ繋がるドアを開けると、マイロが物凄い勢いで
私の胸に飛び込んで来たんです。
そして酷く怯えている。


「どうしたの?マイロ?
何でこんなに濡れているの?」


ベトベトだったマイロの身体を不審に思ってよく見ると、

身体中に、(特に顔と脚)あのネズミ捕りのベトベトが、こびりついているんです!


「キャ~~~!マイロ! どうしちゃったのよ!!!」



そうなんです。。。マイロは、私達がネズミ捕りを全部取り除いたと思っていたのに、
ひとつだけ取り忘れていたmouse trapに、
脚を突っ込んじゃったみたいなんです。


それでそこから逃れようと、口を使って暴れたものだから
顔までベタベタがくっついちゃって、どうしようもない状態になってしまったようなんです。


落ち着いてよく見てみたら、
とてもじゃないけど簡単に取れそうな代物じゃありません。。。


余りの悲惨な状態に、途方に暮れる私達。


旦那も子供達も「うわぁ~~~~。。。」と言ったっきり、


“どうしよう!”って言う顔でマイロを見つめている。


でも、途方に暮れている場合じゃないから、早速マイロをシャワーで洗いました。


洗っても洗っても頑固にこびり付いているベトベトくん。。。


マイロの綺麗なシルキーの被毛に、醜く張り付いちゃって離れない。


暫くジャージャー洗ったけど、ちょっとは取れても顔の部分なんて
とてもじゃないけど無理!
そう悟った私と旦那は、可愛そうだけどベトベトの酷い部分を鋏でカットしました。


私達の居なかった2時間の間、マイロは一人(1匹)で、誰の助けも無く、
もがき苦しんでたんだ。。。
それなのに私達はのん気にご飯なんか食べてて。。。


洗いながらそんな事を思った瞬間、
結構長い時間のシャワーだったのに、
無抵抗でじっと耐えているマイロの横顔が、シャワーの水蒸気と自分の涙で
にじんで見えなくなった。


ごめんね、マイロ。。。



いくら謝ったって取り返しはつきません。



毛を短く切ってしまって、つんつるてんになってしまったマイロの惨めな姿。


それでなくても痩せっぽちで、小さかったのに、
余計ちっちゃくなってしまった。


いくら謝っても、後悔しても、取り返しのつかない事をしてしまった事と、
マイロの苦痛をよそに、楽しんでいた自分に自己嫌悪。




脚の部分のベトベトは殆ど取れたんだけど、

未だ肉球の辺りに残っている部分が少しあるので、
マイロの疲労度を考えて、それらは後日する事にして、
その日はもうこれ以上洗ったりするのは止める事にしました。


今日はもう十分嫌な思いをしたもんね。。。



その後のマイロ。


すっかりあの経験がトラウマになっちゃったみたいで、
私から絶対に離れようとしないんです。


寝る時は、以前は添い寝程度だったのに、今では私の上に乗っかったり、
ぴったり隙間も無いくらいに身体をくっつけて、
夜中にトイレに立ってもわざわざ起きて付いて来るんです。

キッチンで料理をしていると、前はちょっと離れた所で寝てたりしていたけど、今じゃ私の足元に身体をくっつけて寝ているんです。
だから急いでいたり忙しいと、誤って踏んでしまいそうな位なんです。
とにかく1秒でも離れるのが嫌なようなんです。




どうしても出掛けなくてはならない用事が出来て、
仕方なくマイロを留守番させなくてはならなくなった時の事です。

出掛ける支度をする脇で、私達が出掛けると察したマイロは、小刻みに震えだし、


車のエンジンをかけると、ドア越しで



「キャン!キャン!キューン!」って言う、甲高い悲痛な声で吠えるんです。

私達は後ろ髪を引かれちゃって、

マイロをハウスの中へ入れてみたり、連れて行こうとしたり、
何か良い方法はないかと皆で思考を巡らせ、あーだこーだとやり取りをして、
なかなか出掛けられなかったのです。


しまいにNicoleは泣きながらマイロを抱っこして、


「私、マイロとお留守番しているから、マミー達行って!」
と言うんだけど、


未だ幼い子供一人を残して、外出なんて出来ません。
もし見つかったら、お縄頂戴で私の手が後ろに回ってしまいます。
(日本と違って、幼い子供の留守番は犯罪になってしまう。)


結局何十分も悩んだ挙句、
仕方が無いので、直ぐに帰って来ると言う事で、
JenとNicoleを残して行く事にしました。
*アメリカは12歳で大人の領域に入るそうですが、プエルトリコでは
16歳を越さないといけないようです。(義母談)


私が出掛けた後、
マイロは暫くの間ドアの前で、キュンキュン泣いていたんだって。。。


Jen達は、マイロの気をそらせる為に、オヤツのビスケットで機嫌取りをしたり
抱っこをして撫でていたんだって、

後で帰宅した時に娘達から聞かされました。





あれから少し経ってますが、

未だにマイロの心の傷はちゃんと癒えていないようです。
そう簡単には癒される訳無いですよね。。。



当初に比べたら少しは治まって来たけれど、
やっぱりストーカーのように私から離れようとしません。





又旅行が控えているのにどうしよう。。。。!




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