旦那の遺言状
「俺も早いところ、Ｗｉｌｌ（遺言）を作成しないとな。」
それを聞いてちょっとドキッとしたけど、
それだけ私達の事を考えてくれてたんだなって思って安心したのと同時に、
“遺書”って言葉に敏感に反応してしまった。
これは彼が１年前まで海外出張が多くて、そう云う事を踏まえて、
前々から口にしていた事ではあったんだけど、
１年前にプエルトリコへ来てから出張が無くなり
その事を口にすることは無かったんだけど
久し振りに聞くと、やっぱり未だにドキッとする。
又遺言の事を口にするようになったのは
義父の死と、又出張が増えると言う事があったからみたい。
常々旦那はこう言ってた。
「僕が飛行機に乗る度に思う事はね、
もしここで飛行機がクラッシュして僕が死んだ場合、
ＨＩＴＯＭＩはアメリカでちゃんとやっていけるのだろうか..............？
僕は安心して笑って死ねるか？」
その言葉を聞いた時、
私はちょっとムッとしてしまった。
「何よ！冗談じゃないわよ。私の事全然信用していないんじゃないの！」
でも冷静になって自分を振り返ると、
こう云う事は、いざその時にならないと解からないものだけど、
実際旦那に先立たれちゃったら、
私大丈夫かな？って不安に思う事か確か。
いくら慣れ親しんだアメリカでも、
女手１つで子供４人を養って生活していけるのかな？
今の時点で、専業主婦である私としては
声を大にして
「大丈夫よ！やっていけるわよ！」
とは自信を持って言えない。
それに現在プエルトリコに居るけれど、ここもあと２年。
次はどこへ行くのかも解からない。
そんな環境の中でめどなんて立つ訳も無く、
実生活の現状は、こういう風にして現実的に考えてみると
何だかとてつもなく不安になる状態。
厄介な事に、私は市民権は未だ取得していないから、
永住権だけでは、遺産の手続きをはじめとして
色々な面倒も起こり得るらしい。
今まで自分は、のほほ～んとお気楽に暮らして来たけど
現実を見据えると、
そんなお気楽やってる場合じゃないでしょ！
って、喝の一つや二つ入れられた方が良いみたい。
そんな私に前もって
旦那が遺言状を作成してくれるのは有難いと思う。
だったら私も、
もしこの先彼の身に何か起こった場合、
旦那が安心して笑って死ねるように
今からでも、努力して行くべきだって思ったの。
今まで自分では何でも出来る！みたいな
驕った（おごった）部分て、かなりあったんでしょうね。
でも実際はとんでもない私の勘違いで、
彼に甘えて、頼っていた部分が かなりある。
何だかそう云う私の情けない部分を思い知らされたような、
反省する部分が沢山出て来てしまって、
昨夜は中々寝付かれなかった。
今朝起きて第一に思った事は、重なるようだけど
彼の遺言状作成の気持ちを有難く受け取って、
そのお返しに
彼に認めて貰えるように努力をしようって
心新たに誓ったのでした。
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