◆ラテン旦那と大和撫子妻◆

最終編 【白昼の悪夢】



前回の続きです。



何だかダラダラとここまで長くなってしまったので
今日の日記で終わらせるようにしますね!



無料の弁護士相談にTELをして聞いてみても、
殆ど役には立ちませんでした。


警察にもTELをして相談しましたが、
これも余り真剣に相手にして貰えませんでした。。。




ここまで来ると、私達は身も心も限界に達していました。


気が付けば、アメリカから日本に着いたその晩から
娘達が病気になり、病院への見舞い、そして父の死。
その後のお通夜に葬式、Sの問題。。。。。

と、時差ぼけどころか、殆ど休む暇もなかった約2ヶ月ちょっとの日本滞在でした。



私がアメリカに帰る直前に、

父が持っていた教室の中でも、かなり生徒数の多い教室があったのですが、

そこは割りと事務所から遠かった為に、Sが毎週出向いて教えに行っていました。

その教室を、私達に無断で自分一人で続行する事を決め、
授業料を全額ネコババしていました。

その事が耳に入り、即その教室の責任者の方に連絡を取り、
Sを解雇するので他の先生を紹介します。と言う連絡をしたんです。


すると、その責任者の男性は
以前にSから猫なで声で、巧い事を言われていたようで、

私達がいくら、Sは危ない人間で危険なので。。。。と説明しても
殆ど本気で聞いてはくれませんでした。

逆にSの肩を持ったりして居たので、話にならないと、
一旦電話を切って翌日かけ直しました。


この責任者の男性は、事実関係を確かめる為にSと連絡を取ったようで、

「Sが怒っているけれど、どちらを信用したら良いのか分からない。」と言われてしまいました。


私達は恥を覚悟で、全てを話しました。

この男性、言葉数少なく、
Sがそんな人間なんて信じられない。。。。

と、ショックを隠し切れないようでした。


でも、私達の感から言って
Sをそのまま先生として迎え入れるのではないか?

と思っていたのですが、それから1週間後。

責任者の方から連絡が入り、

上司と話し合った結果、Sの悪事が事実かどうかは分からないが、

やはり問題を起こしているような人に
教室の先生は頼めない。と言うことで辞めて貰ったと聞かされ、
私達はその場で小躍りしました。


ここに全ては書ききれませんが、

父が亡くなる前日に、

父の銀行の口座の一つから全額引き出した形跡があるんです。

とは言っても大した額ではなかったようなんですが。。。


亡くなる何ヶ月か前に、
お弟子さん達は今度の展覧会での出品料を支払っていたのですが、

父が亡くなった事で展覧会は中止になりました。

その展覧会の出品料(2万8千円)を巡って、弟子達から返金してくれるようにと迫られた事がありました。


私達はこの責任を、Sに取らせようと思いました。


だって、Sが会計をやっていたんですから当然です。


しかしSは、出品料は私の実家の住宅ローンや、先生の個人の支払いに回してしまったので、殆ど残っていない!

と、私達家族の為に使ってしまったと言う事を臭わせ、責任転嫁をしようとしたのです。

実に卑怯なやり方だと思いました。



ここで一つ話しておきますが、父の死後明るみになったのですが

父の事務所の家賃は何ヶ月も滞納して払っていない。
印刷やには何年も支払いを滞納。
作品を書くのに必要な道具などの支払いも滞納。
とにかくありとあらゆる支払いを、まともにきちっと支払っていなかったんです。


こんなに酷い状態だったとは、幾らなんでも想像が付きませんでした。



だから、出品料が他の支払いにまわして。。。なんていう言い訳は
ちゃんちゃら可笑しかったのです。


「滅茶苦茶な会計をやって来た貴方の責任なんだから
全額自腹を切りなさい!」

と、母は電話口で啖呵を切った。

だけどSだって負けていない。


羊の仮面を被った悪魔が、その醜い本性を現すかの如く、


電話口で狂ったように怒鳴っているSの声が受話器から、はっきりと聞こえて来た。


たまらずに妹が、母から受話器を取って泣きながら訴えた。

でも、こんな事くらいでへこむ相手ではありません。


何せ、普通の人間の“情”や“理性”を持った人ではないのですから!


私は受話器を妹から奪うと、


「HITOMIちゃんなら分かるでしょう?
他に支払いが沢山有って。。。。」

又いつもの気色悪い“猫なで声”が、聞こえて来た。



ここが彼女の真骨頂。

普通の神経を持った、常識ある人間には到底出来ない業です。


どんなに困難な逆境であろうが、微々ともダメージを受けずに、
朝飯前とばかりに、しゃーしゃーとやって退ける。


「良くそんな白々しい言い訳が出来ますね!
大体にして、旦那さんがちゃんと居るんじゃないですか。
今まで皆に内緒にして来て。。。
可笑しいですよね。

元旦を除く364日も朝から晩まで、無料で父の手伝いを何年もして来た事に、
何で旦那さんは文句を言わないんですか?

余りにも不可解なんで、貴方の事を調べてもらったんだけど、
多額の借金を抱えていらっしゃったんですってね?
でも旦那さんは仕事をしてないんでしょう?
無職らしいじゃないですか!

それなのに女房である貴方が、家に寄り付きもせずに、
他人に無料で奉仕しているんですよ。 
ちょっと普通じゃ考えられませんよ。

一体生活費はどこから出ているんですか?

それとも、。。。。

何かおいしい事があるから、旦那さんや家族の人達は文句をいわないのかしら?



そしてもっと驚きなのは、
1億近い借金を全額返済みなんでしょう?

無職の旦那に、ボランティアの妻、
学生の子供2人の家庭で、一体どうやって借金を全額返済なさったんですか?

魔法でも使ったのかしら?

私達、その点にとっても興味があるんですよ。」


するとSは急に声色が変わって、

気が狂ったように怒鳴り散らし始めた。


Sがこんなに人が変わったように取り乱したのは、今まで1度もありませんでした。




ついに本性を現したな。。。。


私は少しだけ優越感に浸った。

今までこの女に全て、してやられて来たのだから。。。



Sは暫く怒鳴り散らした後、
一方的に受話器を叩き付けた。

その後何度連絡を取ろうとしても、一切電話を取らなかったのです。



その後、探偵の探し出したSの家へ妹の運転で
母と子供達を連れてSが現れないかと

家の前で張っていましたが、子連れでは張り込み時間に限界があって

2時間ほどその場に居ましたが、子供がぐずり出してしまったので、引き上げて来たりもしました。


先程も書きましたが、悔しいのは山々でしたが


本当に、本当に、


限界でした。



はっきりとした証拠がなければ、逮捕する事は出来ない。と警察からもつれなく言われてしまい、

その証拠を探すのが警察なんじゃないですか?

と聞いた所で、まともに取り扱っては貰えなかった。



はっきりとした証拠が無い。。。。



これは私達の致命的な問題でした。



アメリカに居る旦那に連絡を取り、
悔し泣きをしながら、にっちもさっちも行かなくなった事を伝えました。


「とにかくアメリカに帰って来い。
そして又、Sの事をどうするか考え直そう。」


子供達もストレスが相当に溜まっていたらしく、ちょっとした事でぐずる様になったり
ワザと行儀の悪い事をしたりし始めたので、


私は後ろ髪を引きずられる思いで、成田空港を後にしたのでした。


さて皆さんが気になる、この天下の詐欺師Sですが、


この女は牢獄に入ってません。


何の裁きも受けていません。


そして、今どこで何をしているのかも分かりません。。。。


アメリカに帰った後も、Sが楽しそうに娑婆を歩いている姿を想像するだけで、

白昼の悪夢を見ているような、そんな居た堪れない、無念な気持ちで一杯になる。
という事が、何年も続きました。

今でも考えると悔しくて、このままではまともに死ねない!なんて思ってしまいます。

皆さんにとっても期待外れの結果でしたね。。。(苦笑)


Sの息の根を止められなくて情けない!とも思ったりもしました。


嫌な過去、今でも胸くそ悪くなる思い出なんだけど、

皆さんが残してくれた沢山の、Sに対する怒りの書き込み、
そして、私達家族への暖かいコメント。。。

読んでいて、何だかとっても救われる様な気持ちになりました。


今現在、日記として書いて良かったな。って思い始めています。


こんな私の暗い過去のお話に辛抱強く付き合ってくれて
本当にありがとう。。。。。



追加:

私がアメリカに帰った後、実は“第二の詐欺師”が無防備な
母の弱みに付け込んで現れたのです。
詳細はいつか又、日記で書こうと思っています。



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