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虎・岩田どん底から復活星！自力Ｖ消滅危機救った

）岩田、復活星！　阪神・岩田稔投手（２９）が広島相手に６回４安打１失点。３カ月ぶりとなる復活星で今季２勝目（４敗）を挙げた。２軍落ちを味わい、フォームを試行錯誤したどん底からの復活劇。左腕の粘りが、巨人のマジック点灯を阻止するとともに、自力優勝消滅の危機を救った。

手渡された９５日ぶりのウイニングボールに、少しだけ表情を緩めた。快投ではなかったが、最大の良薬である白星を得た岩田が自力Ｖ消滅の危機を回避、そして巨人のマジック点灯も阻止した。

　「自分にとってはすごくうれしいけど、それだけチームに迷惑をかけたということ。これから取り返していきたいです」

　蒸し暑い広島の夜。滴る汗を拭い、走者を出しながらも、なんとか耐えた。一回先頭のルイスにいきなり四球。犠打で二進され、二死後には４番キラにも四球。立ち上がりの悪さをまたも露呈したが、広瀬を右飛に斬り、乗り切った。

　前回７月３１日の１軍復帰登板・中日戦（甲子園）では８回２安打１失点の快投も、無援に泣いた。この日は着実な援護も得て持ち直す。６回４安打５四死球とフラフラしたが、要所で３併殺を奪い、１失点。５月４日のヤクルト戦（甲子園）での今季初勝利以来となる今季２勝目（４敗）だ。広島では実に５年ぶりの勝利となった。

　和田監督も「安心して見ていられるところにはいっていないが、１つ勝つことで変わってもらわないとアカン。もともと５、６番目の投手じゃなくて、もっと上のところで投げる投手」とゲキを送った。鬼となり、２軍降格を命じたのは５月２１日－。辛酸をなめながら、帰って来た岩田に、さらなる注文をつけた。

当初はファームでも打たれに打たれた。５月３１日のウエスタン・オリックス戦（鳴尾浜）は５回９安打６失点。６月８日の同・ソフトバンク戦（雁の巣）では４回１／３７安打６失点ＫＯ。１カ月ほど２軍暮らしが続いたある日、高校時代の同級生と食事へ出かけた。だが、左腕の前にあったグラスは、なかなか空かない。「投げ方がわからん…」。マウンド上での葛藤を気の置けない仲間たちに漏らした。

　１０歳ほど年の離れた若手投手とバックネット裏のスタンドにあるテーブルに座り「チャート」と呼ばれる投球分析のシートを記入する役目も担った。直射日光が当たり、ファンの目にさらされる場から、もう一度“下積み”を行った。

　配球を見直し、直球の力強さを求めた。球速や球威の向上が課題の３年目の岩本には「もっと遠心力を使え」と助言。自らに言い聞かせるような、手取り足取りのアドバイスだった。よみがえった直球はこの日も要所で低めに決まり１４９キロにも達した。

阪神・良太、Ｖの灯消してたまるか弾！

夜空の蒸し暑い空気を爽快に切り裂いた。乾いた打球音と歓声が交錯しながら、左中間に放物線は伸びた。３－１の五回一死二塁。新井良の豪快な一発で大勢を決めた。

　「低めの難しいボールに手を出していたので、少しゾーンを上げようと考えて打席に立ちました。ベルト付近に入ってきたので、思い切ってスイングしました」

　不安定な投球を続ける先発・大竹を沈める一振りとなった。７月２４日のヤクルト戦（神宮）以来、３４打席ぶりの本塁打。１１号２ランは、リードを４点に広げ同学年の先発・岩田に大きな援護点となった。三回には無死満塁の大チャンスが巡るも、５番以降で坂の右犠飛のみで１点止まり。良太は二死一、三塁から空振り三振に倒れていた。

試合前のフリー打撃後、水谷チーフ打撃コーチから「力が伝わっていない」と助言を受けた。力まずリラックスする意識が、インパクトでの力強さを消していた。その課題を修正する、力感のあるフォームで放った。

　神戸から広島に移動した５日。チーム便よりも約２時間ほど早い時刻の新幹線に乗った。広島に着いてから向かったのは、先祖の眠る墓だ。「帰ってきたときは、なるべく行くようにしています」。お盆が近いから特別にとった行動ではない。故郷で試合のある日程では、時間が許せば墓前で手を合わせる。「先人を敬い感謝する気持ちを大切にする」ことが新井家のポリシー。広島市内のチーム宿舎から、車で３０分ほど離れた墓地を２カ所訪れた。謙虚に素直に取り組む姿勢に、先祖と野球の神様がほほ笑んだに違いない。

　「そのまえの１、２打席が全然ダメだった。そういうところをもっとしっかりしないといけない」

　試合後は活躍しても、浮かれることなく反省の弁が口をついた。首位巨人を猛追するにはチームに相当な勢いが必要だ。そこに良太の笑顔、そして仲間とファンを勇気づける打撃が不可欠だ。

代打１５５安打！虎・桧山、セ歴代単独２位浮上

神様の願いが通じた。「抜けてくれ！！」－。５点リードの八回二死満塁。桧山が３番手・小野の２球目、スライダーを振り抜いた打球はしぶとく一、二塁間を破った。ダメのダメを押す２点タイムリー。ベテランに柔和な表情が広がった。

　「自分としてもラッキーだった。（野手の）間に打とうと思っていたけど、よかった」

　自身７月１５日の巨人戦（甲子園）以来の「Ｈ」マークは実に、６月２日のソフトバンク戦（ヤフーＤ）から遠ざかっていた適時打に。これで、代打通算安打数を１５５に伸ばし、浅井樹（元広島）を抜いてセ・リーグ歴代単独２位に浮上した。代打通算打点も１０４とし、２位の川又米利（元中日）にあと「１」だ。体力が削られる夏場に備え、試合前練習で１人、１００メートルダッシュを繰り返してきた。うだるような暑さを迎えたいまも、継続中。流した汗が勝負どころの一振りにつながっている。

和田監督も「桧山の安打は大きかった」とトドメの一打に賛辞を惜しまなかった。

　「そんなことを言ってても、自分らも１４４試合、１試合１試合、ベストを尽くして勝つことだけ。相手を気にせず…気にするなと言えば、嘘になるけど、自分らの試合をできればいい」

　阪神史上、最長の２２年目のシーズンを送る。酸いも甘いも味わってきた。残り５０試合。やるべきことは何か。４４歳、桧山のフレーズがすべてだ。　（小松　真也）

★セ・リーグ歴代１位は宮川孝雄（広島）の１８７安打

　阪神・桧山進次郎外野手（４４）が７日の広島１３回戦（マツダ）の八回に代打で２点右前打を放ち、代打での通算安打を１５５に伸ばし、浅井樹（広島）を抜いてセ・リーグ歴代単独２位となった。１位は宮川孝雄（広島）の１８７安打。

阪神、中学以来の「１番・今成」が的中！

阪神は１番に今成を起用する打順の組み替えが的中し、先発全員の１２安打で快勝した。

阪神・坂、自己最多打点を更新「最低限の打撃」

阪神の坂が１－０の三回１死満塁から右犠飛を放った。今季８打点目で、自己最多だった２０１０年の７打点を更新した。開幕当初は主に守備要員だったが、けがで離脱した西岡らの穴を埋める形で先発に定着した２７歳は「最低限の打撃はできた」と振り返った。

　茨城・常総学院高時代の２００３年には夏の甲子園決勝でダルビッシュを擁する宮城・東北高を破って優勝。もともと打撃には定評があっただけに、和田監督は「先発で出ることで、本来のものが出てきている」と目を細めている。（

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