ヒロシマ



伸ちゃんは3歳。お隣の美紀ちゃんと大の仲良し。
今日も一緒におままごとをしています。
お父さん役の伸ちゃんは、お仕事にお出かけします。
自転車に乗って・・

いえいえ、それは三輪車です。
何度も何度もおねだりして、
ようやくお父さんに買って戴いた三輪車です。

いってきまあす!
お気に入りの三輪車に乗ってとてもご機嫌です。

お庭をぐるっと一回りした伸ちゃんは
美紀ちゃんの所に戻ってきました。
みきちゃ~ん、ただいま~

と、そのときです。
ピカッ 
・・・・・

伸ちゃんは、夢の中を彷徨いながら、
それでも、大事な三輪車を探しています。
サンリンシャ サンリンシャ・・

ホラ、三輪車だよ!
伸ちゃんは、差し出されたお父さんの手を握って、
幽かに微笑みました。

きっと伸ちゃんの目には、大好きな三輪車が見えていたのでしょう。
伸ちゃんも逝きました。美紀ちゃんも逝ってしまいました。

伸ちゃんと美紀ちゃんのお父さんは、
二人を並べて庭に埋めました。
火で焼くのは余りにも熱過ぎるから・・
美紀ちゃんとおままごとが出来るように、
そして、三輪車も一緒に。

40年の歳月が経ちました。
庭を掘り起こしたとき、
小さな白い花びらのような白骨が並んでありました。
すっかり変わり果てた、伸ちゃんと美紀ちゃんです。

手を繋いだままでした。
伸ちゃんの大好きだった三輪車も傍にありました。

・・・・・・・・・・・・・・・
☆「歳月」

錆びつきし三輪車硝子の箱に
そに乗りし児も原爆に果て

サンリンシャ サンリンシャ 
死に近き児は夢の中

いとけなき児は幽明を彷徨ひて
探しあぐぬる三輪車かな

   ホラ三輪車だよ
力なく握りしものを父が手と
知らで果てにし微笑(ゑま)ふその児は

ああ 伸よ
三歳を僅か過ぎにし君なれば
ままごとの続きも出来よ庭に葬(はふ)らむ

歳月は悲しからずや
白骨に変り果つとも
三輪車の傍に

歳月
世界遺産として
原爆ドーム

・・・・・・・・・・・・・・・

☆「ヒロシマ」

8月のその日その刻(とき)黙祷す 
虚しからずや平和未だし

その刻をしるししままの古時計 
黙(もだ)して刻む平和への刻

核なきを命尊きを訴えて
灯は瞬くかヒロシマの夜に

街の灯のあえかに映す川の面(も)に
人浮かべしは60年前

なにゆへに人は戦ひ止めざらむ 
己がひとつの命ともがな

蛍木(ほたるぎ)に群るる数多(あまた)の蛍火(ほたるび)は
御霊(みたま)なるらし果てし兵士の

闇深く機は飛び発(た)てり 
エノラ・ゲイの飛来したるるヒロシマの空に


忘るるな忘れてならじかの刻を
かの広島とかの長崎を

・・・・・・・・・・・・・・

世界で唯一の被爆国 日本には、
核の廃絶と恒久の世界平和への思いがひとしお強く存在します。
私達国民の強い祈りなのです。

しかし、今も地球上の何処かで戦争の絶えることはありません。
地雷に傷付き命を落としている多くの人や生き物がいます。
人はそんなにも傲慢で愚かなものなのでしょうか。


    共生と恒久の世界平和を!
<All of us are children of the Earth.>
    私達はみな地球の子供です。


              非営利団体<ACE 地球の子供>
                  代表 鎌 田 紗 和


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