実 験 小 説   お と ひ こ 。

Oct 17, 2005
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「おい! コレなんだよ!」

 僕は部活中……ちょっとだけ、体育館の端で仰向けになっていた。

 試合は来年の春にならないと、もうない。

 だけど、体力落とすわけにはいかないから、走り込みと筋トレと……

 いろいろやってたら、少しやりすぎてしまったみたいで、

 べったりと、僕は倒れ込んでいた。

 じんわり熱がこもっていく身体に、冷たい体育館の床は心地いい……



 ……このまま眠ってたい。。。







 ……聡史だ。



 コイツは……たぶん天国にはいけない。

 同じ、バスケの星だけど……女の子に──……以下自粛。

 僕にとっては、悪い奴ではないけれど……

 女の子にとっては……。



 はっきりいって、女好きの聡史と、そういう話題に縁遠い僕は、

 バスケ以外共通点はあまりなく……



 ……なんでコイツ話しかけてきてるんだ?!



「ん?」





 ……?! なんでコイツ俺の携帯持ってるんだよ!


「岩木って、彼女いるんだな~。だから、真由のこともフッタわけ?」


 岩木。イコール俺。

 真由。イコール学校一のアイドル……らしい。(あんまりよくワカラン


 ……っていうか! 人の携帯勝手に見るなよ~!!





「彼女なんていないし、違うよ」


 ……律儀に応えてしまう……俺。


「だって、これ彼女だろ?!」


 ……だから! 勝手にみんなよ!!!


「いや……彼女ではない」

「じゃあ、なんなんだ?」

 ……お前に言う必要あるか!

 そう、言いたかったけれど……

「……それは……」


 まさか……



 ──俺が書いてます!!!!




 ……言えないよな……。


「ん? そう……僕の彼女」


 ……嘘、言っちゃった……。


「やっぱり? で、どこに住んでるんだよ! 紹介しろよ!」


 ……なんで、オマエに紹介しなくちゃいけないんだよ!


 ……お前なんかに紹介したら……




 ──……。




 ──考えたくないな……。



「すごく、遠くに住んでるんだよ。だから無理」


 僕はそう言うと、少しホッとした。


 これで、コイツも……。


「遠くって……じゃあ、なんで知り合ったんだ?」



 ……シツコイ!



「ん?! ネット」

「プログかなんかか?」

「そんなところだな」


 ……このとき、なんとなく、そう、応えたけれど……

 僕はすぐ、このこと、後悔することになった……。



「俺もそのプログ見たい! なぁ! アドレス教えてくれよ!!」



 ──……。


「アドレス……わるい。今、わかんない……」



 ……っていうか! 一生そんなもん! わからん!



「そうか……じゃあ、明日教えてくれよ! で、そのこの名前は?」



 ……なんで! こんなことになるんだよ!



「……花穂。花穂って言うんだ」

「花穂ちゃんね。了解!」



 ……なにを了解してるんだ???


 聡史はそこまで、聞くと、やっと僕に携帯を返してくれた……。



 その日から僕は、愛しい乙姫に僕自身が、成らざるおえなくなってしまった……。

 ──乙姫ではなく、おとひこに。。。



 第四話に続く……



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Last updated  Oct 17, 2005 10:34:08 PM


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