Angel

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全て | 日々の日記 | 小説
July 5, 2016
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カテゴリ: 日々の日記
     『 もう一度、君と ~ 幼き約束 ~』5



 幼き日。祭の夜に、一人の少女に出会った。

周りは皆、浴衣だったり、洋服で縁日を回る中、一際、可愛らしいと言う形容詞が似合う少女が迷子になったのか、不安そうにしている。

朝顔の可愛らしい白地の浴衣を着て、簪を差した少女。思わず、声を掛けてしまった。

一目惚れだった。初めは不安そうに泣きそうになっていたが、その手を取り、一緒に縁日を周っている内に花が綻ぶような笑顔が見れ、心、惹かれていった。

彼女が欲しがったおもちゃの指輪を買ってあげた。

「ありがとう。だいじにするね。」

時は瞬く間に過ぎ、彼女とお別れする時間が来てしまった。

遠くで彼女の名を呼ぶ声がして、彼女は焦っていた。彼女はもっと一緒に居たいと駄々をこねたが、そうはいかない。



「いまはいっしょにいられない。だけど、来年もその次の年も、そのまた次の年もずっとずっと君に逢いに行く。だから、約束の代わりに持っていてくれないか?」

「わかった。じゃあ、わたしのだいじにしている物をあげる。」

彼女は巾着の中から、小さなお守りの様な物を取り出した。

「わたしのすきなかおり。おじいさまに作ってもらったの。だから、今度会う時まで持っていて、必ずあいに行くから・・・・・・」

指切りまでかわし、二人はまた逢えるとこの時は信じていた。








 だけど、後日彼女が月野のお姫様である事を知らされ、両親に圧力がかかったのだ。彼女に今後接触することを禁止され、想いまで踏みにじられることになった。

この街から離れなければならくなった。

彼女に恋する権利すら、得られない。自分の行動で皆を不幸にしてしまったのでは悔やんだ。



 それから、彼女は約束通り祭りの日にこっそり抜け出し、逢いに行くのだが、彼は来なかった。

そのことがバレ、両親からこっぴどく毎年の様に叱られていた。








今から3年ほど前、この地に舞い戻って来て、彼女の姿を見つけた。昔よりも大きくなって、美しさに磨きがかかっていた。

淡い桜色に桜柄の浴衣、真っ赤な帯。とても清楚な彼女の感じにあっていて、今すぐにでも駆け寄りたかったが

「早苗、また。抜け出して悪い子だね。さぁ、家に帰るよお姫様。」

「離してくださいな!私はまだ帰りません。もしかしたら、来るかもしれないんです。」

「馬鹿馬鹿しい。来るはずないさ。聞き分けのない子は嫌いだよ!」



人々は二人を見てこういった。

「あらまた、月野の姫様と香月の若様だわ。お似合いだわね。」

「何しろ、家同士が決めた婚約者ですものね。」

二人は婚約関係にある事を知った。噂に聞いていたが、事実だったようだ。

彼女に近付くことも声を掛ける事さえも出来ないまま。その場を立ちすくむしかなった。

そんな自分が惨めだった。






 その後、彼女に逢えるのは16歳の誕生日までのタイムリミットがある事を知った。

どんな形でもいいから、彼女との約束を果たしたい。そう思い、チャンスをうかがっていたら、もう最後の年となってしまっていた。

逢って何がしたいと言う訳じゃ無い。ただ、君に逢いたいだけ。

昔の様に、一緒に縁日を周りたい。そして、願わくば1分、一秒でも構わないから君と二人の時間を欲しいと思う。

君も同じ気持ちであればと願う。






 snowの日記
早苗の初恋の君の話。
相手は誰?
取りあえず過去の話でした。
花火の日程が決まらないから、困ったよ。





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Last updated  August 28, 2016 10:51:33 PM
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