石狩市議会議員 青山ゆうこう の日記

石狩市議会議員 青山ゆうこう の日記

一般質問(平成18年9月)



先週の新聞に全国「魅力的な市」調査で札幌市が全国第1位になり、ベスト2

0に北海道から6市が入って話題になりました。新聞には出ていませんでし

たが、同じ調査で石狩市は東北・北海道ブロックで11位、全国779市中で

岐阜県高山市と並んで35位にランクされていました。2万4千人を対象に103

項目について調査した結果だそうで、全国にそんなに石狩を熟知している人

がいたとは驚きですが、遠くから見ると、住んでいる私たちには気付かない

魅力があるのかもしれません。

もう1つ、全国調査の結果が最近発表されました。総務省が都道府県を通じて

全国の市町村の一時借入金調査を行ったところ、一般会計と特別会計の間で

資金をやり取りし、赤字表面化を避けるという不適切財務処理をしていた自

治体が全国で7市1町あり、これがすべて道内自治体だったとの結果が出てい

ました。まことに不名誉なランク入りというべきでしょう。

 質問に入ります。最初は夕張市の財政破綻に関連してお尋ねします。

夕張市は17年度決算で一時借入金残高288億円、地方債、公社の借り入れを含

む借入金残高261億円、第3セクターへの債務保証82億円、負債総額は合わせ

て632億円に上ることが分かり、去る6月財政再建団体の申請を表明しまし

た。破綻法制がない地方自治体ですので、再建団体入りは民間会社でいえ

ば、会社更生法か民事再生法適用を申請したと同様で、事実上の破産宣言と

いえるでしょう。

 炭鉱が相次いで閉山し、人口も約10分の1に減少し、炭鉱に替わる地域

振興策として取り組んだ観光産業への転換が失敗した結果といわれますが、

出納整理期間を利用した粉飾まがいの会計操作や適法性に疑いのある起債が

明るみになるなかで、職員数も同規模自治体に比べ2倍近く、破綻表明2日前

には職員平均75万5千円、前年より5200円増の夏季手当てを支給するなど、市

理事者の危機意識に疑問を抱かざるを得ないようなことも報道されていま

す。

再建団体申請は地方における自治を返上するのに等しく、今後國の指導の

下、再建を図ることになるわけですが、たとえ話に「鉛筆一本買うにも許可

がいる」といわれるように、再建といっても基本的には歳入増を図り、歳出

を切り詰めるしか方法はないわけです。しかし現実には歳入面での増収とい

っても地方税の税率は法律で決まっているものが多く、地方交付税、国庫支

出金など収入の大半を占める歳入には裁量の余地がほとんどありません。増

収の道は使用料、手数料の値上げや、国保税などは類似団体で最も高いとこ

ろかそれ以上の水準に設定するなど住民負担を求めることにならざるを得な

いのです。

歳出についても、切り詰めが可能な分野は限られます。結局は投資的経費の

削減、職員給与カット、福祉、教育、環境などの補助金をカットすることに

なり、歳入、歳出ともしわ寄せの行き着くところは職員や市民になるので

す。

市長は今回の夕張問題をどのように受け止め、どのような感想をお持ちでし

ょうか。お伺いします。

 国は、従来の公債費比率に加え、標準財政規模に占める公債費に公営企業

への一般会計からの繰り出し金、一部事務組合への負担金など公債費類似経

費を加えた新指標である実質公債費比率を設け、連結決算の考え方を導入し

ました。この基準が18%を超えると地方債を自由に発行できない起債許可

団体、25%を超えると単独事業にあてる起債発行が制限され、35%を越

えると公共事業にあてる大半の起債発行ができなくなります。

本市の実質公債費比率は19.9%です。すでに起債発行ができなくなって

いる夕張市を除き、道内ではワースト48番目にランクされており、起債許

可団体の仲間入りをしています。

地方財政再建促進特別措置法では市町村で累積赤字額が標準財政規模の2

0%を超えると再建計画を策定し、総務大臣の承認を受けなければならない

ことになっています。すでに財政運営は綱渡り状態になっているといえま

す。

一般会計総額が平成16年度決算で190億円程度、標準財政規模が45億円程度

の夕張市は総額288億円にのぼる一時借入金を抱え、キズを深めたといわれて

います。本来、当座の資金繰りを補う手段であるはずの一時借入金が、本市

の場合も17年度は一般会計の累積で231億円、ピークで93億円にものぼった

ということです。本市の標準財政規模は145億円程度ですので、一般的に要

注意ラインといわれる50%をすでに超えています。石狩市は19年度から5ヵ

年の財政再建計画を立てて再建団体への転落を避けようとしていますが、財

政の仕組みからいって一時借入金に依存する運営は当分避けられないと思い

ます。

夕張ショックをきっかけに「自治体はつぶれない」という神話は崩れていま

す。自治体破綻法制が検討の遡上に乗り、そのなかでは自治体債務カットに

ついても検討すべきとの声もあります。そうなれば金融機関も融資に慎重に

なり、厳しい選別が始まるでしょう。

一時借入金に依存する財政運営は早晩難しくなってくるものと思われます

が、夕張ショックの大きな要因でもある一時借入金に依存する財政運営につ

いて市長はどのようにお考えですかお聞かせください。

 夕張市の問題はその負債額の大きさと同時に、その財務内容を国や道など

の監督官庁はもとより、ほとんどの市民が全く知らなかったことです。理事

者と共に責任を追及されている市議会も、おそらくこれほどまでに最悪の状

態になっているとは思っていなかったのではないでしょうか。

市民や議会に財務内容をもっと早く、正確に公表していれば今日の事態は避

けられたと思われます。地方自治法は243条の3で財政状況の公表を義務

付けており、本市も広報に掲載し公表していますが、その内容を理解できる

市民はほとんどないでしょう。

総務省は「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2005」を受け、地

方公共団体の連結バランスシート試行モデルを各自治体に提示しています。

関係団体を連結して資産及び負債の全体像を一覧にするとともに、公的資金

によって形成されたインフラ資産と将来負担である負債の構造を連結ベース

で開示し、17年度決算を目途にバランスシートを作成、公表するよう自治体

に要請するとのことです。

すでにかなりの数の自治体がバランスシートを作成、公表しているようです

が、石狩市は実施する予定があるのでしょうか。

夕張市の破綻の背景に市民に情報を公表しない、あるいは意図的に隠すとい

う前時代的な体質があったことも指摘されています。

市長はこのまま推移すれば本市も再建団体への転落が必至の状況にある、と

の認識をいろいろな場で表明されていますが、夕張ショックをきっかけに自

治体財政への市民の関心が高まっている今こそ、具体的に分かりやすい形で

危機的な財政の実情を市民に示し、再建への理解を得ることが必要ではない

かと考えますが、バランスシート作成、公表についてのご見解を伺います。

次に給与制度の見直しについて伺います。

昨年度の人事院勧告により従来大企業との官民格差の比較だったのを、地域

の民間給与実態に即したものに改めるべく、地方公務員の給与に地域給が導

入されました。本市は合併による事務の都合で1年遅れましたが、新年度から

導入すべく準備を進めていると承知しています。基本的には現行8級制が6級

制に変わるとのことですが、新制度で給与制度はどのように変わるのでしょ

うか。

 改正後の制度は、現行では例えば最高6級に位置づけられている主任は、新

制度ではすべて3級に位置づけられることになりますが、これはかなりの数が

対象になるものと考えられます。いわゆる「わたり」の制度が廃止されてお

りますので、いわゆる「枠外級」も設けないとすると大幅に給与が減額にな

る職員がでてくることになるものと思われます。國の試算では平均4.

8%、管理職や中高年齢職員では7%程度給与水準が低下するともいわれて

いますが、実態はどうなのでしょうか。今年度実施している給与カットと異

なり、制度の改正ですので生涯賃金に影響してくるわけですが、職員の生活

への影響をどのようにお考えでしょうか。また、この制度改正により、財政

への貢献度はどの程度になるのでしょうか。概算で結構ですので数字でお示

し下さい。

 私は何度か旧厚田村、旧浜益村職員と石狩市の職員との給与格差の是正を

求めてきました。本年3月の第1回定例会において市長がお答えのように、最

大月額2万4千円もの格差がある現状に、多くの職員は、口にはしづらいもの

の、かなりの不満を抱いています。今回予定されている給与制度の改正でこ

の格差は解消されるのでしょうか。従来行われてきた現行給与保障の方式で

は格差は解消されないと思えるのですがいかがでしょうか。

今年度は一般職員6.5%、管理職8.5%をそれぞれカットし、財政危機

を乗り切ろうとしていますが、新年度からの給与制度改正の結果、19年度給

与カットはどうなるのでしょうか。

いまの給与カットは18年度に限定することで職員組合との間で合意した、と

伺っていますが、19年度については一切言及していませんし、第1回定例会に

おける私の質問に対しても「まだ判断材料がない」と、明確な考え方をお示

しいただけませんでしたし、昨日の同僚議員の質問に対しても、19年度の扱

いについては明確なお答えはありませんでした。

 いま行われている給与カットの財政への寄与は3億5千万円程度とのご説明

でしたが、新年度から新たな給与制度に移行しても、これだけの金額の削減

にはならないのではないでしょうか。だとすると、今年度並みの財源不足が

生じた場合、再び不足額を職員の給与カットでカバーすることになる恐れが

あるのでないでしょうか。

 以前にも申し上げましたが、職員給与は職員がその家族の生活給を支える

生活給であり、それが不安定では生活設計も成り立ちません。来年も給料が

下がるのではないかと不安に思っている職員や家族も多いと思います。制度

改正はやむを得ないとしても、そのうえ給与カットのダブルパンチはないこ

とをここで明確に表明し、職員とその家族を安心させてはいかがでしょう

か。お考えを伺います。

次に除排雪体制について伺います。

 例年にない少雨と高温だった夏も終わり、まもなく雪の季節です。昨シー

ズンは降雪に除排雪が追いつかず、雪との戦いに悪戦苦闘した記憶が生々し

いだけに、戦々恐々の思いでいる市民も多いことと思います。

昨日も何人かの同僚議員から同様の質疑がなされていますが、昨年の教訓が

今シーズンはどのように生かされ、改善されるのでしょうか。体制、予算も

含めて具体的にお示しください。

最後にゴミ対策について伺います。

 ゴミ対策につきましては昨日も多く方が触れ、答弁もでていますので重複

する部分は割愛し、2点についてうかがいます。1点目は雪対策です。これも

昨日の一般質問で同僚議員が指摘をしていましたが、有料化による収入が約3

億5千万円、これに伴う支出増は約3億円と聞いています。差額の約5000万円

は関連事業経費に当てるそうですが、除雪費が大幅に増えることが期待でき

そうもありませんので、初年度である今シーズンだけでも、財源がゴミ収集

の差額であることを明示して冬期間の除雪経費に充当し、収集がスムーズに

いくような配慮はできないものでしょうか。ゴミ収集が有料化され「負担は

増えたが、心配だった冬の対策もきちんとやっている」と市民は安心すると

思いますがいかがでしょうか。

2点目は 緑のリサイクルとして家庭で選定した樹木、枯葉、雑草などは今年1
1月までは公園を指定して無料収集することになっています。試行といわれて

いますが、来年以降も同じ方式で継続されるのでしょうか。

また、収集場所も花川南北、樽川、緑苑台など地域が限定されていますが、

これ以外の地区は有料ゴミとして収集日に出せということなのでしょうか。

住民が道路敷地の草を刈ったり、街路樹の落ち葉を掃除したりすることもあ

ると思うのですが、それらも住民負担でゴミとして出すとういうのでは、住

民の自主的な活動は期待できなくなります。

来年以降の考え方と、収集拠点を広げることについての考え方を伺います。

以上で私の質問は終わりますが、再質問は留保します。

再質問

ただいま後答弁をいただきましたが、1点だけ再度お尋ねします。職員給与に

ついてです。

19年度予算編成はこれからですし、現段階では明確に出来ないことは理解で

きる面もありますが、市長は昨日の同僚議員の質問に対し「カットは18年度

限りとなっているので、19年度は復元することが基本」とお答えになりまし

たが、それは19年度のカットはしないという意味なのでしょうか。それとも

18年度予算だから18年度限り、と単に会計年度独立の原則を述べられただけ

なのでしょうか。

制度改正による財政にたいする貢献度は平均減額4.8%から逆算すると2億

円程度でしょう。今年度給与カットによる削減額3億5千万円とはかなりの差

があります。新年度は今年度より財政状況が好転する材料があるとは思えま

せん。仮に同じ状況としても、予算編成過程で不足額が生じる恐れがあり、

また、給与に眼を向けられるのではないかと多くの職員は心配しているので

す。

 職員といえども、家庭に帰れば給料を運んでくる人にすぎません。減って

いく給与に家族を含めどんな思いをしているか、すでに20%を減額してい

る市長には申し上げるのもはばかりますが、給与の増減には敏感にならざる

を得ません。

19年度はさきほど申し上げたように、制度改正で従来とは違った減額になる

わけですので、このうえの減額はないことを明確にし、安心させるべきだと

考えます。

予算編成に臨む市長の決意次第で、結果はちがってくると思います。

市長の現段階での決意をお聞かせください。



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