2007年08月30日
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カテゴリ: マーケット状況
 東京工業品取引所が、7月17日から金ミニ取引(『金現金決済先物取引』というのが正式名称です)をスタートさせました。標準取引と呼ばれる既存の金先物取引は、最低取引単位が1枚(1キログラム)ですが、金ミニ取引ではその10分の1、100グラム単位での取引が可能になります。

 もちろん、いくら「ミニ」とはいえ、先物取引ですから、取引を始めるに際しては、一定額の証拠金を納めなければなりません。7月12日時点で見ると、標準取引に必要な取引本証拠金の額は9万円。これに対して、金ミニ取引の場合は、1万2,000円で済みます。それだけ少額での投資が可能になるため、将来的に金ミニ取引が拡大していくことを、東京工業品取引所も期待しているのでしょう。

 でも、ほぼ同じ時期に、大阪証券取引所が、金ETFの上場を発表しました。ご存知のように、ETFとはインデックス型の上場投資信託のことで、金ETFは、国内金価格に連動して取引価格が形成される投資信託のことです。最低投資口数は10口単位ということですから、約2万6,000円程度で取引できるはずです。

 さて、金ミニ取引と金ETF。両者とも金の小口取引をするためのツールですが、どちらが有利なのでしょうか。

 それぞれ、機能は異なりますから、一概に比較することは難しいのですが、これから金投資を始めようと考えている人には、迷わず金ETFをお勧めします。

 その理由は、金ETFの方が価格変動リスクを小さく抑えられるということです。いくらミニ取引とはいえ、金ミニ取引は立派な先物取引です。レバレッジがかかっています。取引本証拠金が1万2,000円で、100グラムから取引できるということは、1万2,000円の元手で、26万円相当の金を取引していることになります。つまり、レバレッジの倍率は20倍超にも達します。恐らく、先物取引の経験がない方は、イメージがつきにくいかと思いますが、かなりのリスクだと考えて良いと思います。

 これに対して金ETFであれば、もちろん株式の信用取引を活用することによって、レバレッジをかけることができますが、現物で取引していれば、レバレッジとは無縁です。あくまでも、国内金価格の値動きに連動する形で、リターンとリスクが規定されます。

 両者を取り扱っている窓口についても、金ETFの方が利便性は高いでしょう。何しろ株式と同じ扱いになりますから、金ETFは証券会社であれば、どこでも窓口になります。しかし、金ミニ取引を扱っているのは商品先物会社。やはり、まだまだ商品先物会社は、一般的な個人からすれば、なかなか足を踏み入れにくい世界です。

 原油価格が上昇トレンドに乗り、世界的にインフレリスクが強まるなか、金はインフレリスクをヘッジする一手段として、これからも注目される可能性があります。そして、金の投資手段は、先物取引や現物取引のみならず、ここで紹介したような金ETFも登場したことによって、ますます取引手段の多様化が進んでいくでしょう。



(金融ジャーナリスト:鈴木雅光)





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最終更新日  2007年08月30日 16時04分15秒
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