それゆけ!派遣社員! ~研究所編~

それゆけ!派遣社員! ~研究所編~

研究者はマイペース!?





「はい。どうぞ。」

山中さんが、自動販売機でジュースを買ってくれた。

「すみません。いただきます。」


椅子に腰掛け、無言でジュースを飲む2人…。


( なんか、調子狂うなぁ…。 )


仕事の初日、ということで、やる気まんまんだった私の気持ちが

どんどん薄れていくようだった…。


「磯野さんに、お願いがあるんだけど…。」

ふいに、山中さんが話しかけてきた。

「あ。はい。何でしょう?」


「ここを、辞めないでくれる?」


( げ~っっっ。 先手を打たれたぁ~! )


辞めるなら、派遣会社を通したいし

さすがに、辞めたいとは言えなかった。


「はい。まだお仕事もしていませんし…。」

と、返事をするしかなかった。


( あああぁぁぁ。どうしよう…。今日帰ったら、

  派遣会社に変更を申し出ようと思ったのに…。 )


「そう。よかった。」

山中さんの笑顔は、さわやかだった。


「じゃぁ、そろそろ戻ろうか。」

「はい。」


重い気持ちを引きずりながら

休憩室から出て、廊下を歩き出す。


すると、また妙な人が歩いてくるのが見えた。

びよ~ん。びよ~ん。と跳ねるように歩いている。


ドクター○松さんの、開発した

ジャンピングシューズを付けているように見えた。


だが、すれ違ったとき、彼の足元は普通の靴だった。

あの、びよ~ん。びよ~ん。と跳ねるような歩き方は

彼の歩き方だったのだ…。


( なんで、この会社はこんなに変わった人が多いわけ??? )


そう考えているうちに、自分の部署に到着した。


( 辞めないって言っちゃったしなぁ。 とりあえず書類を調べてみよう…。 )


そう思った私に、山中さんはこう言った。

「磯野さん、お財布持ってきて。」

「え?」

「社員食堂へ行くよ。もうお昼だから。」

「あ。はい。」

慌てて、お財布を取り出し、山中さんと再び廊下へ出る。


( もう12時なんだ。 早いなぁ~。 )


と、自分の時計を見ると、11時20分だった。

私は山中さんが、時間を勘違いしているのだと思い

「あの、まだ12時じゃないですけど…。」

と言った。


「だって、12時に行ったら、混んじゃって席がなくなるし

 人気メニューもなくなるから、僕はいつもこの時間なんだよ。」

という答えが返ってきた。


( 山中さんって、優しいけど、すごくマイペースな人なんだなぁ… )


そう思いながら、食堂へ行ってみると、なんと大勢の人達が並んでいる。

マイペースなのは、山中さんだけじゃなかった…。


午前中からマッサージや昼寝。挨拶をしない習慣。

変な人達。そして早い昼食…。


忙しい会社で働いていたせいか、研究所の奇妙で、スローな雰囲気に

私は、さすがに強い違和感を感じずにはいられなかった…。



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