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とりあえず、タイトルだけ変えてみました。 ランキングに押してくださる方がいらっしゃるようで あるランキングで、自分のブログを見てしまいました。 また非難されるのも嫌なので…。 でも、ここに来てしまえばわかっちゃいますけど…(^_^;) 先日の日記、たくさんの書き込みありがとうございます。 日記のリンクを削除していらっしゃらない方が たくさんいることも知りました。 ありがとうございました…(*^_^*)
Sep 27, 2005
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更新を止めて以来、久し振りにこのブログへ来ました。 私書箱に入っていたたくさんのメールに とても驚きました…。 そしてとても胸が熱くなりました。 みなさん、ありがとうございます…。 ここを閉鎖しようと何度も思ったのに 閉鎖できなかったのは、ここに愛着があったからです できれば、移転せずここで書きたいと思い始めました。 この続きを書くべきか、研究所という名前は出さずに 一般の会社… という設定にしようかなど いろいろ悩んでいます。 続きを書けば、気分を害される研究者の方が また現われるかもしれません…。 でも、他の会社…という設定にしてしまうと 実験室での体験などが書けなくなります…。 そう思うと決断ができなくて…。 しかも、文章を書くパワーもまだ戻ってません。 でも今夜、ここへ来て、改めて閉鎖するのは止めようと思いました。 またここで始めたいと思います…。 今夜はみなさんにお礼が言いたくて… 励ましのメール、本当にありがとうございました… 磯野 愛
Sep 23, 2005
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ここ数日、私書箱や掲示板に苦情の書き込みが続きました。苦情内容は、ブログを書き始めた頃、本を好きな方々に私のブログを宣伝したことです…。( そのことがきっかけで、リンクをして下さった方も たくさんいらっしゃいます…。 とても感謝しています。 )私はただ、興味がある人だけが来てくださればいいな…という軽い気持ちでした。興味のない方は、すぐ削除されるだろうと思っていました。でも、私のその考えは甘かったようです…。「厚顔無恥とはあなたのことです。」「稚拙な文章のものを宣伝するなんて、絶対に許さない。」というような文章が、私書箱や掲示板に書かれていました…。昨夜は、謝っても謝っても許してもらえずとても悲しかったです…。たしかに文章力はないと思います。ただ、普通の会社とは少し違う世界で体験したことを話したかっただけでした…。リンクをして下さっている方は、ちょうど30名いらっしゃいます。とても光栄なことだと思っています。人気ブログランキングの上位にいられたのも、みなさんのおかげだと感謝しています。また、毎日カキコしてくださっていた方々にもとてもとても感謝しています。しばらく時間を置いて、またみなさんに連絡をとらせて頂きます。ありがとうございました。そして、気分を害された方々、本当に申し訳ありませんでした…。
Jul 22, 2005
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次の日のお昼、私は坂本さんにシャンパンのことを話し、手紙を見せた。「やだ…。 何これ…。」坂本さんは不気味そうに手紙を読んだ。「こんな時に二人共も出張だなんて…。 タイミングが悪すぎるわよ…。 ごめんね…。 何もできなくて…。」坂本さんは申し訳なさそうに、私に言った。「やっぱり二人の帰りを待つしかないですよね…。」「そうよね…。」母には、派遣会社に相談すると言ったが派遣会社も、山中さんがいないことにはどうしようもないだろうと思った。「このまま毎日、何か送られてくるんでしょうか…?」私は、答えを期待せずに坂本さんに聞いてみた。「磯野さんにはかわいそうだけど、そうなると思う…。 彼の性格というか…病気のことを考えても、 このまま送り続けるんじゃないかと思う…。」そして坂本さんの言ったとおり、それから毎日一日もかかさず荷物は届けられた。その日は、アクション映画のDVDだった。「僕の好きなDVDです。」とのメッセージが入っていた。次の日から3日間は、推理小説のシリーズものが一冊づつ送られてきた。そして4日目に届いたものは…なんと、鑑定書付きのダイヤモンドのネックレスだった。私はもう恐ろしくて仕方なかった…。その日を境に、小包を開けるのが怖くて箱のまま玄関に置いておいた。私は、今までに味わったことのない恐怖の気持ちを抱えたままただひたすら山中さんと多村リーダーが出張から帰ってくる日の朝を待っていた。◎ 続きが読みたいナと思ったら、クリックをお願いします♪ ● 人気blogランキングへ ● 楽天ブログランキングへ
Jul 20, 2005
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(今日は最悪の日だったな…。)社バス(研究所専用のバス)に揺られながら夕暮れの街をぼんやりと眺める。山中さんと、吉沢健人のリーダーは一週間の出張。坂本さんも有休。彼女は結婚式の打ち合わせだと言っていた。(坂本さん…。 きっと楽しい一日だっただろうな…。 それに比べて私は…。)誰にも花束のことを相談できなかった辛さ。そしてこの大きな不安な気持ちも誰も知らない…。とても心細かった。とても悲しかった。でも、助けてくれる人はいない…。社バスが駅に着いた。私は、家に帰るのが嫌だった。また何か届いていたら…と思うと怖かったのだ。(そうだ…。 帰る前に母に聞いてみよう…。)何も届いていないわよ…という母の返事を聞いて安心したかったのだ。さっそく自宅に電話した。「もしもし。」「あ、愛? ねぇ、また同じ人から 何か届いてるんだけど…。 この人は誰なの?」母は、私が何も聞かないうちに早口でそう言った。「うん…。 帰ったら話すね。」ため息まじりの返事をして電話を切った。(やっぱり…届いていたんだ。)電話しなきゃよかった…と思いながらも母を心配させない言い訳も考えたかった。私は駅の近くの喫茶店に入りコーヒーを注文した。(どうしよう…。 母に何て言おう…。)コーヒーカップを手にしたまま涙が出てきそうになる…。(何でこんなことになったんだろう…。)結局、結論が出ないまま時間だけが経ち私は仕方なく帰宅した。「愛、今日はこれなんだけど…。」母が、さっそく荷物を持ってきた。私は無言で受け取り、その場で箱を開けた。中に入っていたのは、高そうなシャンパンだった。そして、封筒が入っていた。心配そうな母の視線に、気付かないふりをして手紙を読んだ。「愛さんへ これは僕の一番好きなシャンパンです。 僕は今夜、11時頃に飲もうと思っています。 だから愛さんも、11時頃に飲んでください。 乾杯しましょう…。 吉沢健人」もう、母には隠しておけなかった。全てのことを、母に話した…。母は予想通り、ものすごく驚いた。「そんな危ない人に好かれたなんて怖いじゃない。 仕事、すぐに辞めたら?」「でも、彼は私の住所も電話番号も知ってる。 辞めたからといって、解決すると思う?」「…。」母は無言だった。「明日、派遣会社に相談してみるから。 あんまり心配しないで。」と、明るい声を出した。「…そうね。それがいいかもね。」母も、少し安心したようだった。「そのシャンパンはどうするの?」「花は枯れちゃうから返せなかったけど これは返せるからとっておくつもり。 じゃぁ、着替えてくるね。」私は自分の部屋に向かった。(何なの…。 あの手紙。 自分の好きなシャンパンを 11時に飲みましょうだなんて…。)私の心は恐怖心でいっぱいだった。私はその恐怖を消すように、わざと軽快な足取りで階段を上がった。◎ 続きが読みたいナと思ったら、クリックをお願いします♪ ● 人気blogランキングへ ● 楽天ブログランキングへ
Jul 18, 2005
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私は昨日の朝と同様、研究チームに入るなり山中さんの席へと向かった。…が、いない。(いつも早いのになぁ…。)ここの職場は、フレックスタイムが10時から15時なので9時に来ていないこと自体は、不思議ではない。だた、山中さんは、いつも9時前には出勤していていると言っていたので、ちょっと気になった。(まぁ待つしかないか…。)私は仕事をしながら、山中さんの出勤を待った。そして、10時になった。山中さんはまだ姿を現さない。私はさすがに不安に思い、近くの席にいるあの無愛想なメガネの色白くんに「山中さんってお休みですか?」と聞いてみた。「○%*ょう…。」よく聞き取れない…。「えっ?」と聞き返すと、ものすごく不機嫌そうに「出張!!」と怒鳴った。「えっっ!! 出張っっ??」彼の言い方にもカチンときたが、あまりにも予想外のセリフに一瞬頭が真っ白になった。「…いつ戻られるんですか?」「一週間後!!」 私は、自分の頭がクラクラする気がした。(一週間も出張??? 聞いてないよ~っっっ!!!)昨日、吉沢健人に話が伝わっていないことを知り彼に対してどんな風に、どんな話をしてくれたのか聞きたくて昨夜から眠れなかった。それぐらい、私は怒っていた。それなのに、何も言わず出張だなんて!!!!!!ヒドイ!!!ますます怒りがこみあげてきた。そうかといって、このまま何もしないわけにはいかない。昨日の話は、吉沢健人のリーダーに聞くことにした。彼の方は絶対見ないと心に誓いながら、リーダー席に向かった。だが、リーダーの机は、あきらかに出勤していない様子だった。まさか…と嫌な予感がした。そして、吉沢健人の席から一番遠い人に「多村リーダーはお休みですか…?」と、聞いてみた。「ああ。 出張だよ。 来週まで帰ってこないけど。」その人は、パソコンのキーを叩きながら答えた。「まさか、山中リーダーと一緒ですか?」もう一度確認する。「うん。 そう。」私は本当に、その場で倒れるかと思った。怒りと不安がこみ上げてくる…。(なんでこんな時に2人共いないのよ~っっっっっ!!!!!!!)私は、青○さやかさんのように思い切り叫びたかった。◎ 続きが読みたいナと思ったら、クリックをお願いします♪ ● 人気blogランキングへ ● 楽天ブログランキングへ
Jul 16, 2005
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お昼休みに、坂本さんにバラのことを話した。「バラの花束~っっっ?」坂本さんは、周りがビックリするぐらい大きな声を出した。私は慌てて、「し~っ。」っと言いながら人差し指を、自分の唇に当てた。「ごめん…。 でもやっぱり勘違いじゃなかったのね。 それも花束とは…。 やることがスゴイわね…。 しかも、赤いバラの中に白が1本って、なんだか気味悪い…。」坂本さんは鳥肌がたったのか、自分の腕を交差して両腕をさすった。「一応、山中さんと彼のリーダーが 吉沢さんに話してくれるそうなんですけど…。」「そう…。 でも、難しいわよね…。 彼を刺激しないように、注意しなくちゃいけないし…。 それに注意するだけで、彼が止めるとは思えないし…。」坂本さんは、とても不安な表情だった。「一応、私に彼がいるっていうことに してあるんですけど…。」彼女の発言に、私もだんだん不安になってきた。「そう…。 上手くいくといいわね…。」「はい…。」とても暗い雰囲気の中、1時を知らせるチャイムが鳴った。「私も、何か対策を考えてあげるから…。 あまり気を落とさないでね…。」部屋を出るとき、坂本さんは優しくそう言ってくれた。「ありがとうございます。」私は彼女にお礼を言った。午後からの仕事は、なるべく彼のことを考えないよう仕事に集中した。終業時間になり、私は山中さんのところへ行った。「あの…彼のことはどうなりましたか?」山中さんは、いつもの笑顔で「彼には、ちゃんと話しておいたから。 彼もわかった…と言っていたから安心して。」と、言った。「ありがとうございました…。」私は頭を下げた。(本当にわかってくれたのだろうか…。)私は、言葉とは裏腹に頭を下げながら嫌な予感がしていた。坂本さんが言った言葉…「注意するだけで、止めるとは思えないし…。」という言葉が、引っかかっていたのだ。私は、また何か届いていたら…と心配しながら帰宅した。そして、その予感は的中していた。今日も花束が入った箱が送られてきていたのだ。母もさすがに、「これ、昨日と同じ人よね…。」と、不安な目で私を見た。私は、「うん。 でも明日は大丈夫だと思う。」と、言った。この花は、山中さんたちに注意される前に注文したのかもしれないと、ほんの少し思ったからだ。「これは、自分の部屋に飾るね。」私はわざと明るく言い、花束を持って自分の部屋に入った。本当は捨てたかった。でも、花に罪はない。私は小さい頃から、蚊さえ殺せない。命ある花を捨てたくはなかった…。仕方なく、花束が入った箱を開けてみた。昨日とは違い、いろいろな花を使ってピンク系にまとめたかわいい花束が入っていた。そして、花の中に入っているメッセージカードが目に入った。私は恐る恐るカードを開いた。「愛さんへ バラが嫌いだったなんて、ごめんね。 今日のは気に入ってもらえたかな? 吉沢健人」私は、寒気と同時に「あほちゃう」とつぶやいていた。以前、関西に住んでいたせいか、時々独り言が関西弁になる。「嫌いなのはバラやないっちゅーねん!! 何にも伝わってないやんっっ!!」私は次第に、怒りがこみ上げてきた。◎ 続きが読みたいナと思ったら、クリックをお願いします♪ ● 人気blogランキングへ ● 楽天ブログランキングへ
Jul 15, 2005
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「私の情報、消してもらえませんか?」私はうつむいたまま、山中さんに言った。山中さんは、腕組みをしながら考え込んでいた。私は両手を固く握り締めたまま、答えを待った。そして、山中さんは申し訳なさそうに答えた。「住所は削除するよう、ホームページの作成者に言っておく。 ただ、電話番号は載せたままにしてもらえないだろうか? さっきも言ったけれど、研究所には危険なものがたくさんある。 せめて、電話番号だけでもホームページに載せておかないと もし磯野さんに何かあった時に、僕が出張などで いなかったら、どこへも連絡できずに困ってしまうだろう。 だから、電話番号だけは載せたままにして欲しい。」私は、自分の中で「電話番号だけならOK」という答えが出ていた。だが、わざと返事をしなかった。今までも電話番号だけは、公表されていた会社が多かった。それは仕方ないと思っていた。だが、私は住所や電話番号が載せられたことに怒っているのではない。私に無断で公表したことに怒っているのだ。すぐに返事をするのが嫌だった。まるで小さな子供だと自分で思いながらもささやかな反抗心から、すくに返事をしなかった。「わかりました。」しばらく黙った後、私はそう答えた。山中さんの安堵感が伝わってくるような小さなためいきが聞こえた。「それから…」 と山中さんが話し始めた。「吉沢くんの件は、さっそく彼のリーダーと話し合い 彼に、直接注意をするよ。 …といっても、彼はちょっと変わった性格でね…。 もし、差し支えなければ、君に付き合っている人がいる ということにするのが、一番いいと思うんだけど 磯野さんはどう思う?」確かにその意見は正しいと思った…。むやみに、断るのは怖い。私は、5台目のノートパソコンが窓から投げ捨てられることを想像した。「わかりました。 そのようにお願いします。」私は頭を下げた。「まだ2日目だというのに、こんなことになって 申し訳ない…。」「いいえ…。」これで、彼が私のことをあきらめてくれればそれでいいと思った。彼は病気なのだ。いきなりバラの花束などを贈るなど普通の人がしないようなことをしたのも病気のせいなのだ。私に彼がいるということにすればそれもなくなるだろう。私と山中さんは、会議室を出てそれぞれ自分の仕事に就いた。だが、自分の考えが甘い…ということにもバラの花束が、災難の始まりだということにもその時の私は、まだ気付いていなかった。◎ 続きが読みたいナと思ったら、クリックをお願いします♪ ● 人気blogランキングへ ● 楽天ブログランキングへ
Jul 13, 2005
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次の日の朝、私は研究チームに入るなり山中さんの席へと向かった。「おはようございます。」「おはよう。 愛ちゃん。」山中さんは、あいかわらずさわやかな笑顔だった。「あの…。 昨日の件でお話したいことがあります。」私は固い表情のまま、山中さんに言った。いつもとは違う私の様子に、山中さんも慌てて「わかった。 会議室に行こう。」と言ってくれた。そして、自宅に吉沢健人からバラの花束が届けられたことを告げた。「本当に…?」山中さんは驚きの表情を浮かべ昨日と同じように腕組みをした。「本当です。 なぜ私の住所がわかったのか…。 なぜ年齢を知っていたのか。 とても怖いんです…。」と、正直に自分の気持ちを話した。すると、山中さんは意外なことを言った。「住所はね…、すぐにわかるんだよ。」「えっ! どういうことですか?」私は、少し強い口調で聞いた。「実は、研究チーム内にホームページがあるんだけど そこに研究チーム内の人、磯野さんも含めて 全員の住所と電話番号が載せてある。 研究所は、危ない薬品も装置も使っているし 緊急事態が発生しやすい職場でもあるからね…。 もちろん、閲覧できるのはチーム内の人限定だけど。」「私の住所や電話番号が載ってるなんて、聞いてません。」私は、抗議するように言った。「そうだね…。 それは僕が悪かった。 今までずっと、関連会社の人や、派遣の人の分も 一緒に載せるのが当たり前だったから 僕もいつもと同じように、磯野さんのプロフィールを ホームページ作成者に渡したんだよ。 でもまさか、こんなことになるとは…。 本当に申し訳ない…。」山中さんは、テーブルに手をついて私に頭を下げた。「そのプロフィールって、派遣会社からのものですか?」私は、怒りの感情を抑えて聞いた。「うん。 君自身は見たことがないかもしれないけど。」「そこには、生年月日も書いてあるんですか?」「派遣会社からのプロフィールには、磯野さんの写真と住所、 電話番号、今までの職歴、取得した資格、そして… 生年月日も書いてある。」と、山中さんは言った。「そうですか…。」私は、膝の上に置いたままの自分の手をぎゅっと握った。吉沢健人は、ホームページで私の住所を知ったのだ。そして年齢は、そのホームページを作成している人にでも聞いたに違いない…。うつむいたままの私に、山中さんは再び頭を下げた。「本当に申し訳なかった…。」私は、なんだか裏切られた気がした。ホームページがあるなんて、一言も聞いていない。ましてや、そこに自分の住所や電話番号が載るなんて…。自分の知らないところで、自分の情報が漏れた…。そのことが、とても辛く悲しかった。◎ 続きが読みたいナと思ったら、クリックをお願いします♪ ● 人気blogランキングへ ● 楽天ブログランキングへ
Jul 11, 2005
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2日目の勤務がやっと終了した。たった2日間なのに、私はとても疲れていた。「ただいまー。」家の玄関を開ける。「おかえりー。」母が笑顔で出てきた。「ねぇ、愛に花束が届いてるわよ。 部屋に、箱のまま置いておいたから。」「私に花束…?」( 誕生日でもないのに、誰だろう? )そう思いながら自分の部屋に行くと予想以上に大きい箱が置いてあった。母親も興味があるのか、一緒についてきた。「ねぇ。 誰からなの~?」と、妙にうれしそうな母。「ホントに心当たりないってば。」そう言いながら、伝票を見てみた。そして、私は自分の目を疑った…。送り主の名前に、「吉沢健人」と書いてあったからだ。「なんで? なんで住所知ってるの?」私は思わず、声に出してしまった。母は驚いたらしく「やだ。 変な人からなの?」と、不安そうに聞いてきた。私は、あまり母に心配をかけたくなかったので「あ、ううん。 ちょっとピックリしただけ。」と、ごまかした。「早く開けてみてよ。」母は、子供ようにはしゃいでいる。私は不安な気持ちで、恐る恐る箱を開けた。すると、赤いバラが26本と、白いバラが1本入っていた。「あら~。 ステキね~。 でもこの白バラ1本って 何か意味でもあるのかしらね~?」私をからかうように母が言う。「知らない…。」 私は力なく答えた。 「ねぇ。 さっそく玄関に飾っていい?」「あ、うん。 いいよ…。」母は、うれしそうにバラの花束を持って部屋を出て行った。( 一体何なの? あれは…。 )私は、ただただ恐怖の気持ちでいっぱいだった…。赤いバラの中に、白いバラが1本。どういう意味だか知らないがなんだかとても不気味に思えた。 ← ちなみに今も知りませんそして私の歳と同じ本数の27本のバラ…。とても、偶然とは思えなかった。住所をなぜ知っているのかなぜ年齢まで知っているのか…。そして何よりもバラの花束を自宅に送ってきたという事実は、坂本さんが言ってくれた 「 思い過ごし 」ではないという証拠…。私は頭が痛くなり、そのままベッドの上に寝転んだ…。◎ 続きが読みたいナと思ったら、クリックをお願いします♪ ● 人気blogランキングへ ● 楽天ブログランキングへ
Jul 10, 2005
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私は残りの挨拶回りのため、再び廊下にでた。もう彼の姿はなかった。もっとも、たとえ彼の姿があったとしても彼の方を見るつもりはなかったが…。私は残りの2人のチームリーダーがいる王子様の部屋に行った。「磯野さん、どう? 頑張ってる?」と、王子様が笑顔で声をかけてくれた。「はい。 なんとか…。」私は作り笑顔で答えたが、心では不安でいっぱいだった。本当は、王子様に相談に乗って欲しかった。でも、王子様は坂本さんの婚約者…。そうするわけにはいかない。「頑張ってね。」私の心境など知らない王子様は、そう言ってまたパソコンに向かった。坂本さんから 「優しくしてあげて」 と頼まれた水村亮は、やはりチームリーダーの席の側だった。( 心配な人物は、リーダーの側の席に配置しているのかな… )そう思いながら水村亮の後ろを通った時、目に映ったのは、笑顔で足の爪を切っている姿だった…。机の上にノートパソコンなどはあるが仕事をしている形跡は全くない。穏やかそうだが、やはり一目で精神的な病気かな…と思わせる雰囲気があった。2人のチームリーダーへの挨拶を終え、私は重い気持ちをひきずりながら自分の席に戻った。そこへ、ホクロおじさんがやってきた。口うるさい広沢さんだ。「どこに行ってたの? この書類早く処理してよ。」昨日と同じことを彼は言った。確かにトレーには急ぎの仕事がたまっていた。「すみません。すぐに処理しますから…。」「頼むよ。まったく…。」…とぶつぶつ言いながら、ホクロおじさんは席に戻って行った。「愛ちゃん、あんまり気にしなくていいからね。 自分のペースで仕事していいよ。」と声がした。山中リーダーだ。( そうだ! 山中さんに相談してみよう! )そう思った私は、山中さんに相談したいことがあると伝え会議室で、吉沢健人のことを話した。「うーん。そっかぁ…。」山中さんは、腕組みをしたまま黙ってしまった。長い沈黙の時間が流れた。「あの…。私はどうしたらいいでしょう…?」私は、たまりかねて聞いてみた。「そうだね…。 とりあえず… 彼のチームリーダーには話しておくから 少し様子を見てくれる? 坂本さんの言うように勘違いってことも あるかもしれないし…。 でも、何かあったらすぐ僕に知らせて欲しい。」そう、山中さんは答えた。「わかりました…。」( やっぱり様子を見るしかないんだ…。 )私は悲しかった。そして坂本さんや山中さんが言ったとおり間違いであることを願うしかないと思った。だが、それが間違いではない…ということが自宅に帰ってから、ハッキリとわかるのだった…。◎ 続きが読みたいナと思ったら、クリックをお願いします♪ ● 人気blogランキングへ ● 楽天ブログランキングへ
Jul 9, 2005
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王子様のいる部屋に入ろうとした時、「磯野さん。」と、坂本さんに声をかけられた。「絶対、後ろを振り向かずに、このまま私の部屋に来て。」「はい…。」私はなんだろう?? と思いながらも彼女の部屋に行った。坂本さんは部屋に入るなり 「磯野さん、吉沢さんと何かあった?」と、心配そうに聞いてきた。「いいえ。別に… 」 と言いかけて一応、さっきの出来事を話した。目が合ってしまったので、会釈したこと。その後、廊下で声をかけられ握手を求められたこと。すると、坂本さんは「そっちかぁ…。」と言うなり、座り込んでしまった。「どうしたんですか? そっちって…??」わけがわからず、私はとても不安になってしまった。「今ね、エレベーターを上がってきたのよ。 で、さりげなく右側を見たら、吉沢さんが立ってたの。 そしたら、磯野さんのことを、じーっと見てたのよ。 それで慌てて、あなたに声をかけたってわけ。」「ええーっ。 彼、あのまま廊下に立っていたんですか?」私は、ちょっと背中にぞくぞくしたものを感じてしまった。「私はてっきり、磯野さんが彼に不快感を与えたと思ったの。 でも今の話からあり得ないわね。 逆だわ…。」「逆って…?」「磯野さんを好きになったってことよ。」「ええええええっっっ。 まさかぁ! だって、会釈と握手をしただけですよ!!」「一目惚れってことだってあるでしょ?」「そんなぁ…。」私は泣きそうだった。よりによって、危険人物に一目惚れされただなんて…。これからどう対処すればいいのか…。考えるだけで泣きそうだった。「私、これからどうしたらいいですか…?」半べそ状態で、坂本さんに聞いてみた。「私も今まで、彼が女性を好きになるなんて 見たことがないからわからない…。」坂本さんも、不安そうに答えた。「とりあえず、様子を見るしかないわね…。 ほら、もしかしたら私の勘違いかもしれないし…。」坂本さんは、私を励ますように言った。そうであって欲しい…。私は心から願っていた…。◎ 続きが読みたいナと思ったら、クリックをお願いします♪ ● 人気blogランキングへ ● 楽天ブログランキングへ
Jul 8, 2005
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午後から、坂本さんに言われたとおり各チームリーダーへ挨拶に回った。手に持っている座席表は、もちろん2枚。各リーダーにマークをつけてくれた表情報用のものと危険人物や注意人物の裏情報のものだ。チームリーダーに挨拶をしながら、危険人物達の様子を見たいと思ったのだ。「ご挨拶が遅れて申し訳ありません。 これからお世話になります磯野愛と申します。 よろしくお願い致します。」リーダー達の反応は様々だった。「こちらこそ、よろしくお願いします。」と、わざわざ立って下さる人もいればパソコンのキーを打ちながら「はい。よろしく。」と私の顔さえ見ない人もいた。だが、そんなことは気にもならなかった。今までもよくあったことだし何より、危険人物のチェックの方に気持ちが向いていた。マークのおかげで挨拶周りは順調だった。そして、3人目のリーダーの挨拶が終わった後危険人物の1人である鹿島さなえの席の近くを通った。彼女はパソコンに向かっていた。見た目は、本当に穏やかでおとなしそうな女性だ。坂本さんが言ったことは、嘘ではないかと思うぐらいあんなひどい嫌がらせをする人にはとても見えなかった。そしていよいよ、坂本さんが「4回もパソコンを窓から投げ捨てた」と言っていた吉沢健人が所属しているチームへ向かった。彼の席は、リーダーの席にとても近い。そのせいか挨拶もかなり緊張してしまった。そして挨拶が終わり、そこを去ろうとしたときある人と目があった。吉沢健人だ。私は一瞬とまどったが、とりあえず笑顔で会釈をし彼の前を通って、廊下に出た。(わぁ~っっ。 ビックリしたぁ~!!! こっそり、観察しようと思っていたのに 目が合っちゃうなんて…っっ!!)私は、まだ心臓がドキドキしていた。落ち着くために、一度大きく深呼吸した。(さぁ、気持ちをきりかえなくちゃ…! 次は王子様のいる部屋ね…。)私は、廊下を歩きはじめた。すると後ろから「ねぇ。」と、声をかけられた。「はい。」と言いながら振り向くとそこにはなんと、吉沢健人が立っていた。(うわぁぁぁ!!)私は一瞬、心臓が凍り付いてしまうかと思った。だが、予想外にも彼は「磯野さん、よろしく。」と、笑顔で手を差し延べてきたのだ。私は恐る恐る「こちらこそ、よろしくお願いします。」と笑顔で握手をした。握り返す力が、強くて痛かったが握手している吉沢健人の笑顔は普通の人物に思えた。「それじゃぁ、あちらの部屋にも挨拶してきますので。」そういい残し、彼の元を去った。(ふぅ~。 危険人物といっても普段は大丈夫なんだぁ。 なぁんだ。 びっくりしたけど、よかった~!)私は心からホッとしながら、王子様のいる部屋へと向かった。だが私は、吉沢健人がその場に立ったまま、歩いていく私を見ていることに気付かなかった。ましてや、熱い視線で見つめられていることなど想像もしていなかった…。◎ 続きが読みたいナと思ったら、クリックをお願いします♪ ● 人気blogランキングへ ● 楽天ブログランキングへ
Jul 6, 2005
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これで、二人の危険人物の話は終わった。坂本さんは、とても疲れた表情をしていた…。私もきっと同じような顔をしていたに違いない…。それぐらい重い話だった。そして、私にとっては少しせつない話でもあった…。坂本さんは、雰囲気を変えるためか明るい声で話し始めた。「オレンジ色の高沢さんについては、もういいわよね。 とにかく、お茶コーナーを触らないってことだけだから。 いい? ふきんは絶対に洗っちゃダメだからね~!」「はーい。」私も明るく返事をした。「あとは、この人だけね…。」坂本さんはそう言いながら、黄色の蛍光ペンでマークした人の名前を指した。「水村亮」と書いてある。「この人に関しては、注意…というより、私からお願いがあるの。」坂本さんは今までとは違った、穏やかな優しい表情で話し出した。「お願い…ですか…?」「そう。私からのお願い…。 実はね、水村さんも病気で精神病院から退院してきたばかりなの。 以前は、周りの人もなんとかやさしく接していたけれど 今はもう、みんな彼には冷たくて…。 だから、彼に優しくしてあげて欲しいの…。」(優しくして欲しい??)意外なお願いに、私はとまどってしまった…。そんな私の表情を見て、坂本さんは慌てて言った。「別に特別なことして…って言ってるわけじゃないの。 彼はね、同じ話を何度も何度もしつこく話すのよ。 それを、ただ我慢強く聞いてあげて欲しいだけなの…。」「ああ。そういうことですか…。 それなら大丈夫です。 わかりました。」私は笑顔で答えた。ホントに、そういうお願いなら大丈夫だと思った。私は以前、老人ホームでボランティアをしていたことがある。何度も同じ話を繰り返すお年寄りの人達もたくさんいた。私はいつも、根気よく話につきあっていたからだ。「以上で、ゆみの裏情報は…終・わ・り。」坂本さんは、少しおどけた口調で言った。私もつられて笑った。「それにしても、今日はいいお天気ね…。」坂本さんが、そう言いながら窓辺に立った。「ほんと。気持ちいいですね…。」私も彼女の隣に並んだ。このお昼休みの間に聞いた、たくさんの情報…。大きな不安もあるが、なんとか頑張ってみようと思った。坂本さんから「精神的な病気の人が多い」という言葉が出てこなければ、私は絶対に辞めようと思っただろう…。でも、病気ならば仕方ないではないか…と、私は思っていた。高校生の頃、障害者のボランティアをしていた私は人を差別することが大嫌いだ。たとえ危険人物であっても、病気の人がいるからと辞めるのは、その人を差別するようで、どうしても嫌だった。ダメだったら、ギブアップすればいい。それが派遣のメリットでもあるのだから…。窓から見える桜の花びらが風に舞うのを見つめながら私はそう決心していた…。◎ 続きが読みたいナと思ったら、クリックをお願いします♪ ● 人気blogランキングへ ● 楽天ブログランキングへ
Jul 4, 2005
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私と坂本さんの間には、重い空気が漂っていた。そして、さらに空気を重くする話題へと移った。もう一人の危険人物、吉沢健人だ。「吉沢さんはね、鹿島さんとは違って人に危害は与えないの。 今のところ…だけど。」「今のところ…って…。」私は、どんどん気分が悪くなっていくような感じだった。「その可能性もある人…という意味ですか?」「そう。」坂本さんは、はっきりとそう言った。「どうしてそう思うんですか?」「彼はね、とにかく物に当たるのよ。」ためいきまじりに、坂本さんが続ける。「機嫌が悪いと、大声を上げながら自分の席の上に ある物を全て床に叩きつけたり、 椅子を壁に向かって投げたりするの…。」「えっ…。 そんな人…いるんですか?」私は驚いて、思わず聞いてしまった。「それだけじゃないわ。 今までに私が知っているだけで、ノートパソコンを 窓から投げちゃったことが4回あったんだから。」「えええええええっっっっっ!!!!」私は思わず、大きな声を出してしまった。パソコンを、窓から投げるだなんて…。あまりにも非常識すぎる。…というか、どう考えてもおかしい。「もしかして…、その人、精神的な病気ですか?」と、聞いてみた。「そう。」坂本さんは、あっさり答えた。「ここの研究所は、精神的な病気を持った人、 その予備軍と思われる人が、たくさんいるの。 どこの研究チームにも、最低でも1人はいるわ。 もしかしたら、鹿島さんも、高沢さんも予備軍かも しれない…って私は思ってるんだけど。」私は本当に驚いていた。精神的な病気の人を差別する気持ちはない。だが、こんなに多い割合でいる職場があるだろうか…。「それから…。」坂本さんは、少し声のトーンを落として言った。「今はそうでもないけれど、以前はノイローゼで 自殺する人も結構いたらしいわよ…。 頭の使い過ぎってことなのかもね…。 私もよくわからないけれど…。」確かに研究者ともなれば、私達一般人より何十倍も脳を使っているに違いない。でも、ノイローゼになるまで仕事をしなければならなかったのだろうか…。それとも、気が付いたらノイローゼになってしまっていたのだろうか…。日本の最先端の技術を開発する研究者たちにこんなリスクがあるとは…。私には、とても衝撃的な話だった。黙り込んでいる私を気遣ったのか、坂本さんは言った。「でもね、山中リーダーにも頼んでおくし 吉沢さんに絶対近づかなければ大丈夫だから…。」「はい…。」私は、正直、複雑な思いだった。吉沢さんは、確かに怖い。鹿島さんとは違う意味の危険人物…。でも、それが病気の症状だと知ってしまった今どうしても、同情の気持ちが沸いてくるのだった…。だが、この私の同情の気持ちが自分の首を締め付けることになるとはその時の私には、想像もしていなかった…。◎ 続きが読みたいナと思ったら、クリックをお願いします♪ ● 人気blogランキングへ ● 楽天ブログランキングへ
Jul 3, 2005
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ピンク色の蛍光ペンでマークがついているのは「鹿島さなえ」「吉沢健人」という名前。「まず鹿島さんの話をするわね…。」憂鬱そうに、坂本さんが切り出した。「彼女は、見た目は普通だし、どちらかというと おとなしくて目立たないタイプの女性…。 だけど........。」坂本さんは、何かを思い出しているようだった…。そして、私の目を真っ直ぐ見てこう言った。「もし彼女に嫌われるようなことをしたら ここでは働けないと思って。」坂本さんの怖い顔と、キツイ口調に私はドキッとした。私は恐る恐る聞いてみた。「嫌われることって、例えばどういうことですか…?」「それは…。」と言った後、坂本さんは大きくためいきをついた。「それは…『鹿島さんが嫌だと感じること』 としか言い様がないんだけど…。 たとえば、こっちが無意識にしたことや あたり前のことでも、鹿島さんが不快に思ったら 大変なことになるの…。」と、少し悲しそうに答えた。「大変なことって…。 どういうことですか…?」私は、だんだん不安になってきた。「前任の原田さんは… ロッカーの中に コーヒーをまかれて、私服や靴を汚されたり お財布を盗んだって泥棒呼ばわりされたり 不倫してるとか、身に覚えのないことを いいふらされたり… ホントにかわいそうだった…。」坂本さんは、その時のことを思い出したのか少し涙ぐんでいるようだった。そして、私は何も言えずにいた。あまりにも、想像を超えた嫌がらせだったからだ。「彼女ね、最初の頃は普通だったらしいの。 でもある日、彼女の書類に不備があって、 それを指摘したら、それから豹変したんだって。 嫌がらせもどんどんエスカレートして… 彼女が使用していたカーディガンが トイレのごみ箱に捨ててあったり 彼女の車に傷もつけられたの…。 でも、車に関しては証拠はないけどね…。」「そんなことまで........。」私は、ただただ驚くしかなかった…。そして坂本さんは、再び怖い顔で私に言った。「だから、彼女には近づかない方がいい。 とはいっても、きっと彼女から近づいてくると思うけど 必ず、適度な距離を置くこと。 飲み会やサークルの誘いには、やんわり断ること。 書類の不備があったら、山中リーダーから話してもらうこと。」話し終わると、坂本さんは悲しい顔をしてうつむいてしまった…。私は、もしかして…と思い「前任の原田さんは… その嫌がらせが原因で辞めたんですか…?」と、聞いてみた。坂本さんは、うつむいたまま「正直…わからない…。 でもね…。 彼女は、うつ病で辞めちゃったの…。 ホントにある日突然、ここに来られなくなっちゃったのよ…。 もう限界だったのかもしれない…。」と、涙声で答えた…。私は、会ったこともない原田さんに、心から同情した。書類の不備が発端で、嫌がらせをされてうつ病にまでなってしまうなんて…。「山中さんは、このことを知っているんですか…?」「もちろん知ってる…。 でも彼女のチームのリーダーが話しても、 山中リーダーが話しても、ますます原田さんへの 嫌がらせがエスカレートするだけで… 何も解決しなかったの…。 だから最後はみんな、腫れ物に触るように してただけ…。」(上司が部下の行動をコントロールできないなんて… そんなことあるんだろうか…。)私は信じられない思いだった。そんな私の気持ちを見抜いたかのように、坂本さんはこう続けた。「総務部は、普通の会社と同じ縦社会だけれど 研究チーム内はね…、縦社会じゃないの。 部長が黒と言えば黒…。 そういう世界じゃないのよ。 上手く表現できないんだけど それぞれ独立しているというか…。 だから、新入社員でもリーダーに 意見をすることもあれば、たて突くこともある…。 そういう世界なの…。」私は、ものすごく驚いていた…。縦社会じゃない…。という意味が、のみ込めずにいた。「ちなみに…。」私は気になったことを切り出した。「ちなみに坂本さんは、彼女と付き合いがあるんですか?」「そうね…。 廊下で会えば、当たり障りのない雑談はしてる…。 でも、決して深入りはしないように気をつけてるの。 飲み会に誘われても、やんわり断ってるし…。」「そうなんですか…。」「とにかく、彼女とは適度な距離を置いて 決して深入りしちゃダメよ。」坂本さんは、強く私に念を押した。「はい…。」そんな恐ろしい人、言われなくても関わりたくはない…。鹿島さなえ…。そんな恐ろしい人と同じ職場で働くことが私にできるのだろうか…。私の心は不安でいっぱいだった…。◎ 続きが読みたいナと思ったら、クリックをお願いします♪ ● 人気blogランキングへ ● 楽天ブログランキングへ
Jun 29, 2005
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坂本さんの 「真面目な情報」 はとてもわかりやすかった。私のいる○×研究チームは研究分野によって、6チームに分かれていてそれぞれのチームに、リーダーがいるとのことだった。坂本さんは、各リーダーの名前に蛍光ペンでマークをつけてくれた。「あとで、挨拶に行っておいた方がいいわね。」「はい。 わかりました。」その人達は、普通の会社で言えば課長にあたるらしい。そして、その6チームをまとめているリーダーが山中さん。普通の会社で言えば、部長だ。「それからもう1つ。」と、坂本さんが続けた。「ここは、高学歴の人ばかりの職場なの。 大学院を出た人がほとんど。 しかも、以前は修士の人が多かったけど 最近の新入社員は、博士をとっている人が 増えてきてるかな。」「しゅうし…?」私は、初めて聞く言葉だった。「大学院は聞いたことある?」「はい。 大学のあとに進むところですよね?」「そう。 修士っていうのは、大学院で2年勉強して 修士課程を修了した人のこと。 そして博士っていうのは、さらに3年勉強して 博士課程を修了した人のことを言うの。」「はぁ…。」私は、驚きのあまり言葉が出なかった。さらに坂本さんは続けた。「お客様の中には、大学教授の方も多いから くれぐれも、失礼のないように注意してね…。」「はい…。」私は、頭が混乱したまま返事をしていた…。今まで、大学院に行く人なんてほんの一握りの特別な人だと思っていた。一生、出会うことなどない人達だと思っていた。それが、気付かないうちに大学院卒の人達の中で働いていたとは思いもよらなかったからだ。(しかも博士をとった人もいるなんて…。 そんなすごい人達がいる職場なんだ…。)研究所なのだから、当たり前と言えば当たり前なのだがその時の私には衝撃的な話だった…。今まで派遣で働いた3社とも、大卒はもちろん高卒の人もいた。また、障害者が働いていた工場もあった。私は、改めて別世界に来たことを感じた…。坂本さんは、「さぁ。 大事な裏情報に行きましょうか。」と言って、もう1枚の座席表を取り出した。私は、まだ驚きの気持ちが抜けないでいたが大切な裏情報。聞き逃してはならない。坂本さんは、ピンクの蛍光ペンで2人の名前にマークをつけた。そして同じように、オレンジの蛍光ペンで1人、黄色の蛍光ペンで1人の名前にマークをつけた。「ピンクは危険人物。 オレンジは要注意。 黄色は、少し注意の人…かな。」オレンジのマークは高沢さん。そして、ピンクは女性と男性。黄色は男性の名前だった…。「じゃぁ、危険人物から説明するわよ。」「はい…。」私はまだ、整理のつかない頭でピンク色に塗られた、二人の名前を見つめていた…。◎ 続きが読みたいナと思ったら、クリックをお願いします♪ ● 人気blogランキングへ ● 楽天ブログランキングへ★ 今日はなんか、タイトルが気に入らなくて…。 何か良いタイトル、ありませんか…? (^_^;)
Jun 28, 2005
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急ぎの書類の処理をするだけで午前の時間は、あっという間に終わってしまった。時計を見ると11時45分だった。山中さんは当然もういない。「失礼しまーす。」坂本さんが、笑顔で入ってきた。「ねぇ、売店でお弁当買って、私の席で食べない?」「あ。 はい。」12時のチャイムは鳴っていないが、昨日のこともあり言われるがまま、お財布を取り出した。(でも、いいのかなぁ。 派遣なのに…。)私は時間には厳しい方だ。今までも12時前に休憩をとったことはない。チャイム前から、席を外すことに対して、私は強い抵抗を感じていた…。しかし、廊下に出てみると大勢の人達が歩いていた。もちろん派遣らしい人達も…。私は驚いてしまった。「ここって、派遣の人も12時のチャイムを 気にしなくていいんですか…?」そう聞いてみると「そうねー。 研究者の場合は、実験の都合でお昼を1時に食べる人もいれば 逆に、早めに食べて12時前から実験室に入っちゃう人もいる…。 だから、ここの昼休みは、各自が管理しているって感じかな。 それに12時過ぎに行ったら人気メニューがなくなっちゃうから 派遣の人達も、チャイムが鳴ってから食堂に行く人は ほとんどいないかも。」と、坂本さんが答えた。(派遣の人まで、OKなんて…。 自由なところなんだなぁ…。)私は、信じられない思いだった。売店に行くと、すでに大勢の人でいっぱいだった。私達は、人ごみをかき分けながらお弁当を買った。「ふぅ。 すごい人でしたね。 いつもあんな感じですか?」「そうねー。 12時過ぎたらお弁当は買えないから 最低でも10分前には来ないとね。」みんなが時間を守らないのでは、自分だけ時間を守ったとしてもお昼を食べ損ねてしまいそうだ。時間の件については、もう気にしないようにしようと思った。二人で雑談しながら、坂本さんのいる部屋に向かう。その途中、私の研究チームのドアの前で坂本さんが立ち止まった。「どうしたんですか?」「ねぇ、座席表を持って来てもらってもいい?」「あ。 いいですよ。」私は、何に使うんだろうと思いながらも座席表を持って、廊下に出た。「何に使うんですか?」「いろいろなことを、磯野さんに教えておかないとね ♪」坂本さんは、意味ありげに答えた。彼女の席のすぐ近くに、小さい丸テーブルがあった。そこに2つ椅子を並べている間坂本さんは、お茶を入れてくれた。そして 「ここは、私が管理してるからおかわりOKよ!」と、笑いながらテーブルに置いた。「あっ、そういえば、さっき高沢さんにお茶コーナーのことについて いろいろ注意されちゃいました。」「もう会っちゃったんだぁ。 彼女、感じ悪かったでしょう?」「はい。」私達は、高沢さんのことを話しながらお弁当を食べ始めた。「前任の原田さんもね、床にふきんが落ちてたから 洗ったんだって。 そしたらものすごい勢いで 怒られたって言ってたわよ。」「じゃぁ、ホントに触らない方がいいんですねー。」「そうそう。 絶対に触っちゃダメだからね。」お弁当を食べ終わると、坂本さんが「座席表、コピーしてもいい?」と聞いてきた。「はい。 どうぞ。」そして、坂本さんはなぜか座席表を2部コピーして戻ってきた。「どうして2部なんですか?」「1部は、まともな情報。 まだ○×研究チームのこと 把握していないでしょう?」「はい…。」確かに私は、山中さんが自分の上司…ということ以外、ほとんど何も知らなかった。「そして、もう1部は裏情報用。 危険人物を教えてあげる。」「高沢さんの他にも、まだいるんですか?」私は驚いてしまった。「高沢さんは、まだいい方よ。」そう言いながら、坂本さんは、蛍光ペン数本を手にとった。「それじゃぁ、説明していくね。」「はい…。」(高沢さんは、まだいい方なんだぁ…。 危険人物って…。 どう危険なんだろう…。)私は、聞きたいような、聞きたくないような複雑な気持ちだった…。◎ 続きが読みたいナと思ったら、クリックをお願いします♪ ● 人気blogランキングへ ● 楽天ブログランキングへ
Jun 27, 2005
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今日は、出勤2日目。とてもキレイな青空だ。路線バスを降りると、風とともに花の香りがかすかに漂っている。「よし! 頑張ろう!」自分の憂鬱な気持ちを追い払うかのように、声を出した。ロビーを通ったときは、昨日のことを思い出し胸がちょっとだけ痛かった…。でも、私はすぐ気持ちを切り替えた。ここは、仕事場なのだ。3階へ上がり、自分の研究チームのドアを開けた。「おはようございます。」すると、山中さんが笑顔で「おはよう。」といいながら、私の席に来た。「いやぁ~。 磯野さん、昨日は悪かったね。 会議のことすっかり忘れてて…。 でも、ゆみちゃんが面倒みてくれて ホントに助かったよ。」「はい。 坂本さんにはお世話になりました。 今日も仕事を教えて頂く予定なんです。」「そう。 それはよかった。 それじゃぁ、愛ちゃん頑張って。」と言うと、自分の席に戻って行った。(愛ちゃんか…。 山中さんって、マイペースだけど なんか憎めないおじさんって感じだなぁ…。)私は、なんとなく心が和んだ。トレイを見ると、さっそく急ぎの書類が溜まっていた。私は、マニュアルをみながら、少しづつ処理をしていく。「おはようございます!」 坂本さんが、入ってきた。「あ、坂本さん。おはようございます。 昨日はありがとうございました。」私は、お礼を言った。「どういたしまして。 あ、急ぎの書類があるのね。 じゃぁ、終わったら他の書類のことを説明したいから 電話ちょうだいね。 はい。 これ電話番号。」そう言うと、山中さんのところに行き、何かを話して「じゃぁ、あとでね!」と笑顔で部屋を出て行った。「ゆみちゃんに、叱られちゃったよ。」振り向くと、山中さんがいた。「ほら、昨日、ほったらかしちゃったでしょう? 磯野さんのこと、ちゃんと大事にしてくださいね! って言われちゃったよ。」私はおかしくて笑ってしまった。「坂本さん、すごい人なんですね。 山中さんに説教するなんて…。」「ゆみちゃんは、かわいいけど 言うことは言うからね~。 みんな、ゆみちゃんの言うことは 聞くんだよね~。」(そういえば昨日、七三男もホクロおじさんも 素直に従ってたっけ…。)「ごめんね。 これからは大事にするから。」山中さんは、恋人が言うようなセリフを言い残して席に戻って行った。私はなんだか、おかしくて仕方なかった。(坂本さんと知り合えてよかった…。)そう、心から思った。そこへ、見知らぬ女性がやってきた。「磯野さん、お茶代、払ってもらいたいんだけど。」その女性は、自己紹介もせずにそう言った。(あっっ! 昨日坂本さんが言ってた人だ!!)私は慌てて、お財布を取り出した。「いくら、払えばいいんでしょうか?」「とりあえず、1,000円もらっとくわ。」(とりあえず…??)私は不思議に思いながら、千円札を渡した。「じゃぁ、ちょっとここへ来て。」高沢さんは、お茶コーナーの前に立った。私も慌てて、そこへ行く。そこには、○ニマットコーヒーの他にインスタントコーヒーやお茶などいろいろ置いてあった。「あなたに言いたいことは3つ。」「はい。」冷たい言い方に、私はちょっと緊張した。「1つめ。 ここに表があるわよね。 ○マットコーヒーを飲んだら あなたの名前の欄のところに、チェックを入れること。 お客様に出すときは、お客様の欄に入れること。」表を見てみると、いろいろな人の名前の横に空欄のマス目が並んでいる。そこに、チェックをしていくらしい。 「このマス目は33個。 1杯30円で計算しているから、 1,000円で33杯、飲めるっていうことだから。 空欄が埋まったら、私に1,000円支払って。」「はい。 わかりました。」(うわ~。すごい細かい人…。)「2つめ。 それ以外のものについてはお金は要りません。 だからといって、あまり1人で飲まないで下さい。」「あ。 はい…。」なんだか、気に障る言い方だ。「3つめ、ここは私が管理しています。 飲みものを入れる以外、何も触らないで下さい。 ○マットコーヒーの黒いカップを洗ったり 勝手に、ふきんを洗ったりしないで下さい。」「はい…。 わかりました…。」(一切触るなってこと…? 感じ悪~い…。)「私の説明は以上です。 何か質問は?」「いいえ。 特にありません…。」「じゃぁ、これで。」と、去っていった…と思ったらまた戻ってきた。「磯野さん、絶対に、コーヒーのチェック忘れないで。」そう言うと、早足で言ってしまった。(何それ! まるで、私がズルするみたいじゃない!! 触るな!? チェック忘れるな!? そんなこと、1度言われたらわかるわよっっっ! あ~!! もうっっ!! 感じわる~いっっっ!!!)私は完全に頭に来ていた。笑顔ひとつ見せない、冷たくて感じの悪い人…。私が高沢志保に抱いた、第一印象だった…。◎ 続きが読みたいナと思ったら、クリックをお願いします♪ ● 人気blogランキングへ ● 楽天ブログランキングへ
Jun 26, 2005
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(はぁ~疲れた。 今日は長い一日だったな…。)そう思いながら、自分の机を片付け山中さんの机の上に 『お先に失礼します 磯野』というメモを置いた。そして、部屋のドアを開けた時 「お先に失礼します。」と、周りの人達に声をかけた。「...............。」 ある程度、予想はしていたが、やはり無反応だった。(ふぅ…。 また無視かぁ…。 ありえないよな~。)いつも笑顔で挨拶をしてくれた人達が大勢いた前の会社を、ふと思い出し私は、肩を落としながら部屋のドアを閉めた。すると後ろから 「磯野さん。 帰るところ?」と声がした。振り向くと、王子様が歩いてくるところだった。「あ、はい。 ええと…お帰りですか?」「うん。 今日は用事があるから早いんだ。 ロビーまで一緒に行こう。」「はい。」私は、なんだか嬉しかった。辛い状況を救ってくれたのは、王子様。そして、恐ろしく長く感じた一日の終わりにさわやかな笑顔で声をかけてくれたのも王子様…。(こんな偶然があるんだ…。)私は、お昼の時よりも少し胸がドキドキしている自分に気がついた…。(もしかして私、ほんとに王子様のことを…?)「磯野さん、疲れちゃった?」王子様の声で、ふと我にかえる。「あ。いいえ。 すみません…。 そういえば私、まだお名前を聞いてなくて…。」「そうだったね。 僕は松田。 よろしくね。」「こちらこそ、よろしくお願いします。」「そういえば…。 お昼にグラウンドの所にいなかった?」「えっ。ああ。 ベンチに座っていました…。 あ、もしかして、松田さん野球部なんですか…?」「そう。 センターで、一応4番! …って言ってもわからないか…。」「いいえ。 私、マネージャーしてたことがあるんです。 だからわかりますよ! 4番なんてスゴイですね!」「えっ。 マネージャーしてたの? じゃあもしかして、スコアとか書ける?」「はい。」「じゃぁ、ぜひマネージャーになってよ!! スコア書ける人、大歓迎なんだ!!」「はい…。 あ…でも少し考えさせてください。」王子様の誘いは、ものすごく嬉しかった。でも、元彼のことがあり、もう二度とマネージャーにはなりたくないと思っていたのだ。気持ちが揺れていた…。心のどこかで、王子様と一緒にいたい…という矛盾した気持ちもあったからだ…。 私達は、ロビーまでの長い距離を野球の話をしながら歩いた。「磯野さんって好きなプロ野球チームあるの?」「○○ファンです!」「同じだぁ~!! 嬉しいな~! 少ないんだよねぇ。 ○○のファンって。 それにしてもよかったぁ! ××じゃなくて。」「私も!! ××ファンの人とは、仲良くしませんから。」そう言って、二人で大笑いした。それからは、好きなチームの話で盛り上がり会話が途切れないほど、とても楽しい時間を過ごした。(こんなに偶然が続くなんて…これってもしかして運命? もし王子様が、運命の人だったら嬉しい…。)そんな風に思っているうちに、ロビーに到着した。「遅いじゃない~。 あれ?磯野さん。」そこにいたのは、坂本さんだった。「廊下で会ったから、一緒に来たんだ。」「そうだったの。」私は、なんだか嫌な予感がした。予感…というよりも、二人の関係を察してしまった…。そして坂本さんが続けた…。「私達、6月に結婚するの。 今日はこれから式場に行くところ。 いろいろ打ち合わせすることが多くて。 おまけに、この人、土日に野球に行っちゃうから なかなか進まないの。 やんなっちゃう。」「わかったわかった。 磯野さんの前なんだから それぐらいにしてくれよ。」「はーい。」坂本さんは、文句を言いながらもとても幸せそうな笑顔だった。(結婚…? 坂本さんと結婚するんだ…。)私の心は、ついさっきまでの楽しい気持ちから急転して、暗く重いものになっていた…。マネージャーに誘われて、嬉しいと思った自分がみじめに思えた。同じプロ野球ファン同士で盛り上がったことさえとても悲しかった。(私ったら、運命の人かも…なんて。 ホントにバカみたい…。)「ほら、磯野さんだってあきれてるじゃないか。」何も言わない私に気付いて、王子様がそう言った。私は慌てて「あ。 いいえ。 そんなことないです。 ご結婚、おめでとうございます…。」と、頭を下げた。「ありがとう。 それじゃぁ、また明日ね!」「磯野さん、お疲れさま。」それぞれ私に声をかけると、二人仲良くロビーを出て行った。(そうだよね。 王子様には、やっぱりお姫様だよね…。 私を快く、坂本さんに紹介してくれたのも こういうことだったんだ…。)二人の背中を見つめながら、私は胸の奥の、ちくん…とした痛みを感じていた。たった5時間の、小さな恋の終わりだった…。◎ 続きが読みたいナと思ったら、クリックをお願いします♪ ● 人気blogランキングへ ● 楽天ブログランキングへ
Jun 25, 2005
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「それじゃぁ、順番に説明していきますね。」「はい。お願いします。」坂本さんは、私が分類分けした書類を見て「磯野さん、ちゃんと分類したんだ~。 よかった。これで少し手間が省けちゃった。 それじゃぁこれを、急ぎの順に並び変えるね。」そう言うと、手早く書類の束の順番を変えた。「私のマニュアルも、急いで処理するものから 順番に説明してあるから、これを見ながら 一緒に処理しましょう。 …といっても、どれも山中リーダーのハンコが 必要なのよね…。 う~ん。 ちょっと待ってて。」そう言うと、坂本さんは何種類かの書類の束を持って部屋を出て行った。(どこに行ったんだろう…?)そう思いながら、坂本さんを待っている間マニュアルに目を通してみた。そのマニュアルは、それを見れば書類の処理が初めての人でも出来るような、完璧なものだった。それにしても、そこに書かれている書類の種類の多さには驚いてしまった。そして処理の仕方もそれぞれ違い、どても複雑だった。しかも送付先が、研究所内の総務の○○部門だったり××部門だったり、本社の△△部門へ送るものだったりととても多く、マニュアルなしでは絶対に無理だと思った。(前任の人は、マニュアルなしで、仕事してたなんて 信じられないなぁ…。)「ただいま。」 笑顔で坂本さんが帰ってきた。「山中リーダーに目を通してもらったからOKよ。」そういうと、手馴れた様子で山中さんの机からハンコを持ってきた。「え? もしかして、会議中の山中さんを呼び出したんですか?」「そう。 今日はそんなに大事な会議じゃないから。」(さ…坂本さんって、凄すぎ!!)「それじゃぁ、一緒に処理して行きましょう。」「はい。」それから4時間以上かけて、急ぎの書類だけをなんとか片付けた。「本当にすみません。どうもありがとうございました。」「いいえ。もう5時だし、残りは急ぎじゃないものばかりだから。 それより疲れたでしょう。コーヒーでも飲みましょう。」そういうと、坂本さんは席を立ち、私の近くにあるコーヒーやお茶などが置いてあるコーナーを通り過ぎ、どこかへ行ってしまった。そして、「許可、とってきちゃった。」と、少し笑いながらコーヒーを二人分カップに入れて私の机の上に置いた。私は不思議に思い、「誰に許可とりに行ったんですか?」と、聞いてみた。すると、私の席の壁に貼ってある座席表を見て「彼女よ。」と指をさした。そこには「高沢志保」と書かれていた。「ウチもそうだけど、他の研究チームでは コーヒーなんかは、派遣の事務員さんが管理してるの。 でもね、ここのチームは、高沢さんが仕切ってるの。」「どうしてですか?」「コーヒー代は、毎月お金を集めて購入するんだけれど お金の管理を、派遣の人に任せるのは嫌みたいよ。」「そうなんですか…。」「前任の原田さんも、その件については ちょっとムッとしてたっけ…。」「あ、そういえば…。」私は先ほどの疑問をぶつけてみた。「その原田さんは、どうしてマニュアルなしで 仕事ができたんですか? 私には考えられないです…。」「彼女が入りたての時は、まだこんなに仕事を 任されていなかったみたいなの。 それを、どんどん自分で増やして行ったから マニュアルがなくても、頭に入っていった らしいのよね。」(自分で仕事を増やして行ったんだ。すごい…。)私は、まだまだ未熟だと思った。派遣社員なら、それぐらいの心構えをしなくては…。「さぁ、そろそろ帰りましょうか。 山中さんには、磯野さんが5時になったら帰ることを ちゃんと伝えてあるから大丈夫よ。」「ありがとうございます。そこまで気遣って頂いて…。」私は心から感謝をし、頭を下げた。「いいのいいの。それよりも、明日のお昼に 詳しく教えるけど、高沢さんには要注意だから…。 じゃぁ、また明日ね。」そう言い残すと、彼女はさわやかな笑顔で部屋を出て行った。(要注意人物の高沢さんか…。)明日のお昼が楽しみなような、不安なようななんともいえない気持ちだった…。*みなさんの感想を読んで、タイトル変えました!◎ 続きが読みたいナと思ったら、クリックをお願いします♪ ● 人気blogランキングへ ● 楽天ブログランキングへ
Jun 24, 2005
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「さあ。行きましょう。」坂本さんは、たくさんの資料を手に私を笑顔で促した。「はい。お願いします。」二人で、私の研究チームの部屋に向かう。「ここ、変な人が多くてびっくりしたんじゃない?」お昼の時と、同じ質問をされた。でも、坂本さんは派遣社員なので「はい。朝から驚きっぱなしです…。」と、正直に答えた。「ねえ、明日、お昼一緒にどう?」「え? いいんですか? ぜひお願いします。」「じゃぁお昼に、仕事以外のこといろいろ教えてあげるね。」「はい。」私は、とてもうれしかった。今日のお昼のような、孤独な思いをしなくて済む…。明日のお昼が、今から楽しみになった。話しているうちに、私の研究チームに到着した。私は自分の椅子に、坂本さんは近くの椅子を引き寄せそれぞれ座った。すると、ちょうどその時、あの七三男がやってきた。「コピーは?」相変わらず無愛想だ。私が答えようとした時、坂本さんが代わりに答えた。「田中さん、今から彼女に仕事を教えるところなの。 急ぎのコピーなら、自分で行って下さい。」そう言うなり、さっと私の机を開けた。取り出したのは、「図書館」と書かれたカードだった。(ああ…。ここにあったのかぁ…。)トウダイモトクラシ である…。「はい。これがカードですから。」坂本さんは七三男にカードを差し出した。すると七三男は、「坂本さんにはかなわないなぁ。」と、素直にカードを受け取り行ってしまった。(坂本さん…。か…かっこいい…。)同じように、私の姿を見かけたホクロおじさんが不機嫌そうに、私の席に来た。そして坂本さんは、ホクロおじさんが何か言おうとしたのを遮って、こう言った。「広沢さん、彼女、広沢さんの書類を持って、 泣きそうになりながら、私の所へ来たんですよ。 これは、山中さんのハンコが必要なので、 今すぐには、処理できませんから。 それに、今日来た人に無茶なこと、言わないで下さい。」坂本さんは、かなり強い口調だった。(こんな怖そうなおじさんに、そんなこと言って大丈夫…?)私は、ハラハラドキドキしてしまった。…が、広沢さんもまた「山中さんが戻ったらよろしく。」と言い残し、おとなしく引き下がって行ったのだった。私は、悪者を退治してもらったような気分だった。「坂本さん、スゴイですね…。驚いちゃいました…。」私は、素直に感想を述べた。「二人とも以前は同じチームだったし、私は5年もここにいるから みんなの性格も、対応法も、身に付いちゃったのかな。」そう、笑いながら答えた。「ご…5年ですか?」 私は、驚いてしまった。(私なんて2時間で辞めたくなったのに…。)坂本さんは、私の気持ちを見抜いたかのように話を続けた。「ここの研究所に来る派遣の人はね、すごく極端なの。 1日で辞める人と、長年働く人…。 あなたの前任の人は、7年働いたのよ。 そしてその後、後任の人が来たんだけど 1日で辞めちゃったの。 そして次の派遣の人も1日で辞めちゃったのよ。 だから、磯野さんは、このチームでは4人目の 派遣社員っていうわけ。」「前任の人は、ここに7年もいたんですか? おまけに私の前に2人、しかも1日で辞めてるんですね…。」私は、休憩室で山中さんが、「辞めないでくれる…?」と言ったセリフを思い出していた。2人続けて、1日で辞められたのではそう言いたくもなるだろう…。(私は、どっちになるんだろう…。)坂本さんが、マニュアルを準備しているのを見ながらふと、そう考えた…。◎ 続きが読みたいナと思ったら、クリックをお願いします♪ ● 人気blogランキングへ ● 楽天ブログランキングへ◎ 日記へのレスは、23日より、あなたのブログへ返事しますネ♪
Jun 23, 2005
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(よしっ!)私は、席から立ち上がった。隣の研究チームに行ってみようと思いたったのだ。まだ、組織を把握しているわけではないが他の研究チームになら、同じような事務の人がいるに違いない。私は、ホクロおじさんが「早く処理して」と言った書類を持って、隣の部屋に行ってみた。違う部署に入るのは、さすがに緊張した。「ふ~」一度、大きく深呼吸する。そして、軽くノックをして「失礼します。」と言ってドアを開けた。私がいる部屋よりも少し狭く、そして少し明るい雰囲気の部屋だった。私は、一番近くにいた優しそうな人に「あの、○×研究チームの磯野と申しますが 事務の人はいますか?」と聞いた。すると、そこにいる人達が一斉に笑った。「え…?」きょとんとしている私に向かって、その人は「ここの事務の人は、君だよ。」と言った。「え…? …ということは、ここも○×研究チームなんですか?」「そういうこと。」私は、恥ずかしくて顔が赤くなるのが、自分でもわかった。彼は、まだ少し笑いながら「今日から来た人でしょ? 名前は何て言うの?」と、聞いてきた。「磯野と申します。よろしくお願いします…。」私はまだ、恥ずかしさでいっぱいだった。「山中さんからは、まだ話、聞いてないの?」「午前中は、研究所内を見学しただけで…。 あとは、まだ何も聞いていないんです。 この書類を早く、処理して欲しい人がいるんですけど それが、わからなくて…。」「ちょっと見せて。 ああ。広沢さんか。 きっと不機嫌な顔して磯野さんにせかしたんじゃない?」「あ…。はい…。」「あの人はいつも不機嫌だから、気にしちゃダメだよ。」「はい…。」 私は少し笑顔になった。「でも、山中さんの会議は長いと思うから 磯野さんも困るよね…。 うーん。そうだなぁ。じゃぁ、僕について来て。 君と同じ仕事をしている、他の研究チームの 事務員さんを紹介してあげるよ。」「ほんとですか? ありがとうございます!」私は頭を下げた。(な…なんて、優しい人なの…!!)孤独感を味わっていただけに、その人の優しさがとても嬉しかった。しかも、改めてみると、とてもステキな人だ。他の会社だったら、普通の人だったかもしれない。でも、その時の私には、窮地を救ってくれた王子様に思えた。私は、王子様と一緒に長い廊下を歩きはじめた。「磯野さんの席がある部屋と、僕がいた部屋が○×研究チーム。 部屋の前に、何も書いてないから、わからないのも無理ないよね。」そういえば、どこの部屋にも、「101号室」という表示だけで「△○研究チーム」と、書いていなかったことに今になって気付いた。「どうして、部署の名前を表示しないんですか?」「僕にもよくわからないけど、チームが、よく再編成されるんだ。 そのせいじゃないかな。 あとは…、スパイを防ぐためかな。」「ええっっっ! スパイとかいるんですか?」「あはは。 冗談だよ。冗談。」「ひど~い!! 信じちゃったじゃないですかぁ!!」「ごめん。ごめん。」二人の笑い声が、静かな廊下に響き渡った。私は笑ったことで、少しリラックスできた気がした。「それにしても、こんな冗談にひっかかるなんて 磯野さんって、かわいいね。」「もう! 新入りなんですからいじめないで下さい!」そう言い返しながら、私は王子様との会話を心から楽しんでいた。「さあ、着いた。ここだよ。」王子様は、軽くノックをして、その部屋に入った。私も後に続いた。そこには、かわいらしい女性が座っていた。私は軽く会釈をした。王子様はさっそくその女性に、事情を話してくれた。その女性は、快く引き受けてくれたようで椅子から立ち上がり「坂本ゆみです。仕事のことをいろいろ説明させて頂きますね。」と、優しい笑顔で挨拶してくれた。顔だけでなく、声もとてもかわいい人だ。彼が王子様なら、坂本さんはお姫様のような雰囲気の人だった。「磯野愛と申します。どうぞよろしくお願い致します。」私は頭を下げた。「じゃぁ、あとは悪いけど、よろしくね。」王子様は、坂本さんにそう言い残し私達に背を向けた。私は慌てて、「ありがとうございました。」と、お礼を言うと、王子様は振り返り微笑みながら「頑張ってね」と言って、部屋を出て行った。(やっぱり、ステキかも…。)私は、ほんの少し心が温かくなっていた。「山中リーダーったら、まず私のところへ連れて来て下されば よかったのにね…。」坂本さんは、そう言いながら、私に椅子をすすめてくれた。「じゃぁ、とりあえず、その書類の処理の仕方を教えますね。」「はい。」「ええと、磯野さんのハンコは、作ってないですよね…?」「はい…。何も聞いていませんが…。」「そうよね…。これはね、あなたのハンコも必要なの。 今回は、そうね…。 代印をもらって、処理することにしましょう。 あなたのハンコの作成依頼書も提出しなくちゃね。」「…となると、やっぱり私がそっちに行った方が良さそうね。 ちょっと待ってて。許可とってくるから。」坂本さんは、優しい感じの男性のところに行って何か話したあと、すぐに戻ってきた。「OKよ。じゃぁ、あとは私のマニュアルをコピーするから もうちょっと待っててね。」「えっ。いいんですか?」「私が作ったものだから、見やすいかどうかはわからないけど。」「そんな…。助かります。」坂本さんは、笑顔でコピー機にむかう。(かわいくて、優しくて、仕事もできそうな人だなぁ。 よかった。良い人を紹介してもらえて…。 これも、王子様のおかげ…。)私は、本当に救われた気がした…。そして、王子様に対するほんの小さな恋心のようなものが、私の心を温かくしていた…。◎ 続きが読みたいナと思ったら、クリックをお願いします♪ ● 人気blogランキングへ ● 楽天ブログランキングへ
Jun 22, 2005
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コーヒーを飲んでいると、数人がグラウンドに出てきた。そして、バットやボールなどを運んできて、準備運動を始めた。ここの野球部の人達らしい。彼らを見つめているうちにふと、涙が出てきてしまった…。今日のことで、悲しくなったのではない。半年前の、失恋を思い出してしまったのだ…。彼の趣味は草野球だった。そして、私はそのチームのマネージャーをしていた。私は彼のユニフォーム姿が大好きだった…。笑うと、日に焼けた肌に白い歯がとても眩しく感じられた…。私は彼と結婚したいと思っていた。結婚できると思っていた…。でも、彼は別の女性を選んだのだった…。忘れたいのに、忘れられない…。半年経った今も、そんな心の痛みを抱えていた…。(あ。いけない。もう5分前だ。)時計を見て、ヒヤッとした。ボーっとし過ぎてしまったようだ。職場での、私情は禁物。私は慌てて涙を拭き、自分の部署に戻った。山中さんは、まだ戻ってきていなかった。すると、近くで歓声があがった。(なんだろう?)私は、歓声があがった場所へ近づいていった。すると、数人で1台のパソコンを囲んでいる。「あの…。何してるんですか?」人見知りをしない私は、その輪の中にいる1人に声をかけた。髪をキレイに七三に分けた、まるでコントに出てきそうな人だ。「ゲーム。車のレースゲーム。」その七三男は、私の顔を見もせずそっけなく答えた。人と人の間から、覗き込んでみると、確かに1人の人が、ゲームに熱中していた。カーブにさしかかるたびに、体が左右に動く。よほど、熱中しているのだろう。(ふ~ん。案外子供っぽい一面もある人達なんだぁ…。)「君、名前何だっけ?」七三男が、質問してきた。(だからぁ、朝、挨拶したっちゅーんねんっ!!!)と思いながら、「磯野です。よろしくお願いします。」そう、笑顔で答えた。七三男は、にこりともせず、「あとで、図書館に行ってコピーしてきて欲しいものがあるんだけど。」「あ…。はい。わかりました。」(そんな、無愛想な顔で言わなくてもいいのに…。)と思いながら、歓声を後にした。すると、ちょうどチャイムが鳴った。「磯野さん。これ。これをコピーしてきて。」七三男が、早速メモを持ってきた。「はい。わかりました。」本当は、山中さんを待っていたかったが、仕事の時間も始まったことだしとりあえず山中さんのデスクの上に「図書館に行ってきます。」とメモを書いて図書館に行くことにした。歩きながら、頼まれた本のタイトルを見てみると、英語だらけのタイトルの本だ。(なんか、見つけるの大変そうだなぁ…。)午前中に、図書館に見学に行ったとき、とても広い場所で、膨大な本の量があったことを、知っていたからだ。(まぁ。なんとかなるでしょ。)そう思って、図書館に行った。…が、そんな甘いものではなかった。見学の時には気がつかなかったが、図書館内にある本のほとんどが、英語のタイトルの本だったからだ…。しかも、分野ごとに分かれているのだが頼まれた本がどの分野にあるのか、さっぱりわからない。観念した私は、図書館にいる女性に助けを求めた。その女性は、ベテランの方らしく、メモを見ただけで「こっちよ。」と、案内してくれた。そして、その本を差し出してくれた。「ありがとうございます。」「いいえ。あなた、新しい人?」「はい。○×研究チームの磯野と申します。」「そう。私は三村。よろしくね。」少し無愛想だけど、意外とやさしそうな人だ。「コピー機はあそこ。カードは持ってきた?」「カード?いいえ。何のカードですか?」「ここのコピー機は、各研究チームに配布してあるカードを 使わないと、使用できないの。」「そ…そうなんですか? わかりました。 すぐに取りに行ってきますので、本を預かってもらえますか?」「いいわよ。」(はぁ…。疲れるなぁ。もう。)図書館から自分の部署へは、一度建物の外に出てから行かなければならない。自分の部署と図書館は、かなり遠い場所にあった。(やっぱり山中さんを待っていればよかった…。)そう思いながら、自分の部署へ帰った。するとさっそく、七三男が寄ってきた。「早いね。ありがとう。」「あ。すみません。カードが必要だとかで、コピーできなくて…。 カードの場所、わかりますか?」そう言うと、七三男はムッとした顔をして「山中さんに聞いてないの? まったくコピーもできないのかよ…。」と、大きな独り言を言って、ぷいっと行ってしまった。私はちょっと悲しかったが(だいじょうぶ。こんなことは、今までたくさん 経験してきているのだ…。)そう、自分に言い聞かせた。山中さんの席を見ると、まだ帰ってきていない。私が残したメモもそのままだ。仕方がないので、近くに座っているまだ若そうな、メガネをかけた色白の人に「図書館で使うカードはどこですか?」と聞いてみた。すると「知らない。山中さんに聞いて。」という素っ気ない答えが返ってきた。他の人達にも聞いてみた。みんな、同じ答えだった。(はぁ…。結局、山中さんが帰ってくるまで何もできないのかぁ…。)私は、悲しい気持ちで自分の席に座った…。しかし、だからといって、何もしないわけもいかずとりあえず、トレイに入っている書類を出してみることにした。書類をまず、種類別に分けてみた。トレイにあったのは全部で、11種類の書類。その中で、私が見たことがある書類は3つだけ…。「出張伝票」と「結婚のお知らせ」と「訃報」それだけだった。他の8種類は、聞いた事もない名前の書類だった。(やっぱり山中さんを待つしかないな…。 それにしても、どこに行っちゃったんだろう?)再び、メガネの色白くんに、「すみません。山中さんは知りませんか?」と、聞いてみると「今、会議中だよ。」と言われた。(か…会議~??? 聞いてないよぉぉ~!!! …まるでダチョ○倶楽部のようなセリフが 頭に浮かんでしまった…。)(もう…!「じゃぁ、午後ね。」って言ったのにぃ…。)なんだか、広いフロアーの中で何も出来ずにいる自分がとても孤独に感じた…。すると、そこへ別の人がやってきた。顔が少し四角い、色黒のおじさんだ。口の右側に、大きなホクロがあるのが目に入った。「ねー、この書類、早く処理して欲しいんだけど。」「すみません。まだお仕事教えて頂いてないんです。」「じゃぁ、総務にでも聞いて早く処理してよ。」と、怒った口調で言ってきた。「わかりました。」「頼んだよ。早くね。」ホクロおじさんは、あきらかに機嫌が悪そうだった。総務の電話番号は、席に貼ってあったのですぐにわかった。さっそく、総務に電話をした。「○×研究チームの磯野と申します。 お忙しいところ申し訳ありませんが、 ○%&@*の書類について教えて頂けますでしょうか?」すると、思いがけない答えが返ってきた。「その書類は、まず、そちらのチーム内で処理をして頂いて こちらに回ってくるものなので、チームの方に聞いて下さい。」「…。そうですか…。わかりました。ありがとうございました。」私は、力なく受話器を置いた…。はぁ…。思わず、大きなため息がでてしまった。(どーすりゃいいのさぁ~!!)もうヤケな気持ちである。私はまだ、この会社の組織の構造自体さえ把握していない。(山中さ~ん!!! 早く帰ってきて~!!!)私は、半べそ状態だった。◎ 続きが読みたいナと思ったら、クリックをお願いします♪ ● 人気blogランキングへ ● 楽天ブログランキングへ
Jun 21, 2005
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食堂へは、さっき見学に来たばかりだったが改めてメニューを、見てみるとなかなかおいしそうだった。しかも安い!(350円のA定食にしよ~っと。)私はA定食。山中さんはC定食に決めた。食券を買う機械に、350円を入れて、A定食のボタンを押そうと思った。…が、A定食のところにランプが付かない。(やだ~。故障してるの?)と思っていたら、後ろから山中さんが申し訳なさそうに言った。「350円はね、社員用の値段なんだよ。 磯野さんは、その他だから700円だよ。」(えええええっっっ。だって値札に書いてあったのに!!)小走りでもう一度、A定食のサンプルを見に行くと 『 社員:350円/その他:700円 』と書いてあった…。(げ~っっっ!!ホントだ!!!)私にとっては、かなりショックだったが「ホントですね。700円でした。」と、さわやかな笑顔をつくり、700円でA定食の食券を買った。(に…2倍~!!差別だ~っっ!!!)さわやかな笑顔の心の中で、不平不満の言葉が止まらない…。今までの3社は、派遣も同じ値段か、せいぜい、プラス100円程度だった。(く~っっ。なんか腹たつ~っっ。)「磯野さん。」山中さんの声で、我に帰った。「あ。はい。」「ここは、C定食のところだからダメだよ。 A定食はね、あそこに並ぶんだよ。」私は、値段のことで頭がいっぱいで自分でも気付かないうちに山中さんの後ろにならんでいたのだ。「あ。わかりました。ありがとうございます。」再び、私は、さわやかな笑顔をつくった。この、さわやかな笑顔をつくる…という特技(!?)は、派遣として働きはじめてから、身についた。派遣として、社員の中で働いていくのは、意外と大変なのだ。気に入られないと、すぐに他の派遣社員と変えられてしまう。ひどいときは、派遣会社そのものを、変えられてしまう。だから、私はいつも、派遣会社の看板を背負っているつもりで働いている。機嫌が悪くても、体調が悪くても、理不尽な仕事を押し付けられても笑顔で、快く対応する。それが私のモットーだった。私は、A定食を受け取り山中さんと同じテーブルに座った。見学の時は、中まで入れなかったのでわからなかったが、とても、大きな食堂だった。それに、窓も大きく、キレイな山も見えた。「いい眺めでしょう。」「はい。」(眺めはいいけどさぁ、2倍だよ。2倍っ!!!)私は、まだ心の中で不機嫌だった。「山中さん、ここ、座ってもいいですか?」私は、その声の持ち主を、見上げた。そして思わず、椅子から落ちそうになった。そこには、なんと今朝見かけたおじさんが立っていたのだ。倒れちゃうんじゃないか…っていうぐらい、前かがみの姿勢で、ものすごい早足で歩きながらぶつぶつ…と言っていた、あのおじさんだ。(げっ。同じ部の人だったんだぁ…。)「どうぞ。どうぞ。」山中さんは、笑顔で勧める。おじさんは、山中さんが「どうぞ」の、「ど…を行った時点で、既に私の隣に座っていた…。「君、名前は?」と、おじさんが聞いてきた。(自己紹介したでしょーに!!)と思いながら「磯野と申します。よろしくお願いします。」と、丁寧にお辞儀をした。「僕は川村。この研究所は変な人、多いでしょう?」あまりにも図星な質問に、心臓が飛び出そうだったが「あ。いえ。まだよくわかりません…。」と答えた。そして…(あなたのことを、1番最初に変だと思いました。)と、心の中で、答えていた。そのおじさんは、それ以上何も聞かず、山中さんに話しかけた。「山中さん、特許の件なんですけど、*○%×!だけじゃ だめですか?」(ふ~ん。話すときは普通なんだぁ…。)と、感心しながら、私は、さっさとA定食を食べ始める。「やっぱり、+☆*@# も入れないと 難しいかもしれないね。」 と山中さん。*○%×! や +☆*@# の部分は専門用語らしく、私にはさっぱり意味がわからなかった。それから、2人だけの会話が始まった。「そういえば、○&#*$ なんですけど 何度か △#‘*□ したんですけど 上手くいかないですね~。 」「$%@○△ は、してみたの?」「はい。それから一応 &%$”@ もしました。」(つまんな~い。話題が変わらないかなぁ…。)私が、A定食を食べ終わっても、とうとう何ひとつ話しかけられることはなかった。「山中さん、私、お先に失礼します。」たまりかねて私は、立ち上がった。「ああ。それじゃぁ。また午後ね。 1時まで時間があるから、庭でも散歩してきて。」(ええええええっっっっ!!! 昼休み1時間じゃないの? 11時20分から休憩したんだから、12時20分から 仕事じゃないの~?)と、驚いたが、驚くのにも疲れていたのでそのまま食堂を後にした。時計を見ると、1時まで、まだ1時間近くもあった。(仕事もまだわからないのに 1人で、あの席にいるのもなぁ…)と思い、とりあえず山中さんの言うとおり建物の外に出てみた。確かに、建物の周りは、緑や花が咲いてとてもキレイだった。春の風がとても心地よい。歩いていると、グラウンドやテニスコートがあり側に、キレイな木のベンチがあった。私は、自動販売機でコーヒーを買いそのベンチに座った。(あんな、つまんない昼食は、初めてだなぁ。)さっきの食堂での出来事を思い出していた。45分間、私が話した言葉といえば、「磯野と申します。よろしくお願いします。」「あ。いえ。まだよくわかりません…。」だけだ。メニューの金額の件、つまらない食事時間そして、今朝からのいろいろな出来事…まだ働いてもいないのに、私はなぜか半日でヘトヘトだった…。(辞めないで。って先手を打たれたのは キツイなぁ…。)私は、青芝が生えたグラウンドを見つめながら朝からの出来事を、いろいろ思い出していた…◎ 続きが読みたいナと思ったら、クリックをお願いします♪ ● 人気blogランキングへ ● 楽天ブログランキングへ
Jun 20, 2005
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「はい。どうぞ。」山中さんが、自動販売機でジュースを買ってくれた。「すみません。いただきます。」椅子に腰掛け、無言でジュースを飲む2人…。(なんか、調子狂うなぁ…。)仕事の初日、ということで、やる気まんまんだった私の気持ちがどんどん薄れていくようだった…。「磯野さんに、お願いがあるんだけど…。」ふいに、山中さんが話しかけてきた。「あ。はい。何でしょう?」「ここを、辞めないでくれる?」(げ~っっっ。先手を打たれたぁ~!)辞めるなら、派遣会社を通したいしさすがに、辞めたいとは言えなかった。「はい。まだお仕事もしていませんし…。」と、返事をするしかなかった。(あああぁぁぁ。どうしよう…。今日帰ったら、 派遣会社に変更を申し出ようと思ったのに…。)「そう。よかった。」山中さんの笑顔は、さわやかだった。「じゃぁ、そろそろ戻ろうか。」「はい。」重い気持ちを引きずりながら休憩室から出て、廊下を歩き出す。すると、また妙な人が歩いてくるのが見えた。びよ~ん。びよ~ん。と跳ねるように歩いている。ドクター○松さんの、開発したジャンピングシューズを付けているように見えた。だが、すれ違ったとき、彼の足元は普通の靴だった。あの、びよ~ん。びよ~ん。と跳ねるような歩き方は彼の歩き方だったのだ…。(なんで、ここは、こんなに変わった人が多いわけ???)そう考えているうちに、自分の部署に到着した。(辞めないって言っちゃったしなぁ。とりあえず書類を調べてみよう…。)そう思った私に、山中さんは、こう言った。「磯野さん、お財布持ってきて。」「え?」「社員食堂へ行くよ。もうお昼だから。」「あ。はい。」慌てて、お財布を取り出し、山中さんと再び廊下へ出る。(もう12時なんだ。早いなぁ~。)と、自分の時計を見ると、11時20分だった。私は山中さんが、時間を勘違いしているのだと思い「あの、まだ12時じゃないですけど…。」と言った。「だって、12時に行ったら、混んじゃって席がなくなるし 人気メニューもなくなるから、僕はいつもこの時間なんだよ。」という答えが返ってきた。(山中さんって、やさしいけど、すごくマイペースな人なんだなぁ…)そう思いながら、食堂へ行ってみると、なんと大勢の人達が並んでいる。マイペースなのは、山中さんだけじゃなかった…。午前中からマッサージや昼寝。挨拶をしない習慣。変な人達。そして早い昼食…。忙しい会社で働いていたせいか、研究所の奇妙で、スローな雰囲気に私は、さすがに強い違和感を感じずにはいられなかった…。◎ 続きが読みたいナと思ったら、クリックをお願いします(*^_^*) ● 人気blogランキングへ ● 楽天ブログランキングへ
Jun 19, 2005
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「じゃあ、今から、仕事の説明をするね。」と、山中さん。「はい。」私は、気をとりなおし、気持ちを引き締めた。「そこのトレイに、たくさん書類、溜まってるでしょう?」「ええ。」確かに、トレイには書類が山積みだった。「実はねぇ、前任の人は、急病で辞めちゃったんだよ。 だから、引き継ぎもないし、マニュアルもないんだよねぇ。」「ええっっっ!」 思わず大きい声を出してしまった私。周りの視線を感じて、あわてて声を小さくした。「あの…。 引継ぎがない。 マニュアルがない…ということは お仕事の内容は、どなたが教えて下さるでしょうか…?」と、恐る恐る聞いてみた。「それなんだけど…、それぞれの書類の提出先が違うから、とりあえず 総務とか、他の部署とか、適当に聞いて処理してくれるかなぁ?」(ええええええっっっ。 ありえないっ。 ありえない~っっ!!!)私は完全に、動揺していた。研究所ということで、書類の名前も一般企業では、見ないものが多い上に引継ぎがない、マニュアルもない…という仕事は初めてのことだったからだ。そんな私のテンションの低さに気付いたのか、山中さんはこう言った。「じゃぁ、まず、最初の仕事は、研究所見学にしましょう。」「は?」「研究所内で、磯部さんが迷子になったら困るからね。」と、言いながら、部屋を出ようとする山中さん。私も、慌てて後を追った。(あんなに書類がたまってるのに、いいのかなぁ…)そう心配する、私をよそに「ほら、あそこに桜の木があるでしょう。満開の時はキレイだったよ。」などと、言いながら、廊下を歩いていく。まるで、散歩でもしているようだ。確かに建物は広く、迷子になってしまいそうだった。そして、歩いているうちに、何人もの人たちと出会う。その度に、私は、何か違和感を感じていた。そして気が付いた。誰も、挨拶をしないのだ。どこの会社でも、知っている者同士なら、挨拶したり、会釈するのは当然だった。でも、ここは、誰も何もしないのだ。そして、数分後、奇妙な人が歩いてくることに気付いた。最初は気のせい? と思ったが、気のせいじゃなかった。その人は、なんと、指揮者のように4拍子を手で振りながら歩いているのだ…。その人とすれ違った後、山中さんに聞きたかったけど「あの人は、何をしているんですか?」と聞くわけにもいかず、とうとう何も言い出せなかった。そしてまた山中さんも、何事もなかったように平然としていた…。朝、出会ったあの、倒れそうなぐらい前かがみで歩いていた人を思い出しかなり、憂鬱になった。(やっぱり、ちょっと嫌な予感がする…。 仕事のこともあるし、派遣会社に言って変えてもらおうかな…。)そんな私の気持ちをよそに、山中さんは、総務の場所や、食堂、売店、図書館など、いろいろな場所に案内してくれた。そして、売店を出た時、理髪店の前にある、赤と青のくるくるまわるものが目に入った。「山中さん、あれは…?」「ああ。 あれは床屋さん。 僕も常連なんだよ。」「ええっ! すごいですね。 会社の中に床屋さんがあるなんて。」「そう? 僕はずっとこの会社だからね。 そう言われればそうなのかな。」(なんだか違う。 やっぱり違うっ。)そして、自分達の部署に帰る途中、ある部屋の前で止まった。表には、何も書いていない部屋だった。「ここはね、休憩室なんだよ。 さぁ、どうぞ。」促されるように中に入った。その部屋は、まさに、『休憩室』だった。畳のコーナーで、寝ている人…。マッサージチェアで、マッサージをしながら寝ている人…。私は思わず、自分の時計を見た。今日は10時出社だったので、時計は11時前だった。(午前中から寝てるなんて…。)私にとっては、信じられない光景だった…。先週まで働いていた会社は、ものすごく忙しくて休憩室があるどころか、喫煙室にも長い時間はいられないような会社だったからだ…。「磯野さんも、疲れたら、ここで寝ればいいよ。」山中さんは、笑顔で言ってくれた。「ありがとうございます。」そう笑顔で答えながら、心の中では、2度と来ないだろうなと思っていた…。◎ 続きが読みたいナと思ったら、クリックをお願いします(*^_^*) ● 人気blogランキングへ ● 楽天ブログランキングへ
Jun 18, 2005
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「おはようございます。」私のそんな嫌な予感を吹き消すような、さやわかな声がした。振り向くと、やさしそうな紳士の方が、こちらに向かって歩いてくる。「磯野さん。はじめまして。山中と申します。」その人は私の上司になる人だった。(なぁんだ。よかったぁ。普通の人だぁ。)と、ホッとしながら「磯野 愛と申します。よろしくお願い致します。」とご挨拶。そして、派遣担当者とは、ここでお別れ。「じゃぁ。がんばってね。」そういい残して、彼女は帰って行った。「それじゃぁ、行こうか。」「はい。」山中さんの歩調に合わせて歩き出す。建物の中は、とてもキレイだった。私は、汚かったり古い建物が苦手なので、よかったぁと思いながら、ご機嫌で歩いていた。エレベータで3階まで上がり、長い廊下を歩いて行く。とても大きな建物だ。ふいに、山中さんが止まった。「ここが、今日から磯野さんの職場だよ。」「はい。」私は、心の中で、自己紹介をする心構えをした。派遣として働くのは、ここで4社目。大勢の人達の前で、自己紹介するのも慣れている。(うん。だいじょうぶ。)そう思ったとき、研究室のドアが開かれた。思ったより、広いフロアー。40~50人はいるだろうか…。「みなさん、新しい派遣の人を紹介します。」と、山中さんが言った。私は、いつも通り、笑顔をつくり「△○派遣会社から参りました (1拍おく) 磯野 (1拍おく) 愛と申します。 (1拍おく) どうぞ、よろしくお願い致します。」 と挨拶し、頭を下げた。この、1拍おく…というのは、派遣会社で教えられたマナーだ。1拍おくことによって、相手に聞き取りやすくなり、好印象を与える…というものなのだ。45度に頭をさげ、頭を起こしたとき、予想外の出来事が起こった。誰も、拍手をしてくれないのだ。今までの会社では、私が話し出すと必ず全員立ち上がり、私が頭を起こした時には拍手が起こる…。それが、当然だと思っていた。しかも、よく見てみると立っている人も、おそらく半数以下。そして、その人達も、私の挨拶が終わると、さっさと座ってしまったのだ。(えええっっっ。ありえない~っっ)と、私は心の中で叫んだ…。「ここが、磯野さんの席だからね。」上司の山中さんは、何事もなかったように、私の席を案内してくれた。私は、何か無視されたようで、気分が悪かった。研究者とは、こういう人達なんだろうか…。私は、来てはいけないところに、来てしまった気がした…。◎ 続きが読みたいナと思ったら、クリックをお願いします(*^_^*) ● 人気blogランキングへ ● 楽天ブログランキングへ
Jun 17, 2005
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新しい派遣会社に登録して、数日後、派遣先の会社が決まった。そこは、ある会社の研究所での、事務のお仕事だった。研究所かぁ…。初めての世界に、ちょっと興味しんしん。派遣担当者の人と待ち合わせ、いざ出陣。門をくぐり、守衛さんにごあいさつ。「おはようございます!」「はい。おはようございます。」ふんふん。いい感じ。それに、なかなかキレイな建物!ロビーに入り、受付の方に派遣担当者が声をかける。私の上司が迎えにくる約束なのだ。ドキドキ。ワクワク。……と、その時、私の目の前を、変な人が通り過ぎて行った。おいおい。倒れちゃうんじゃないか…っていうぐらい、前かがみの姿勢で、ものすごい早足で歩いている。しかも、なんか、ぶつぶつ…と言ってる…。………。どう、ひいき目に見ても、普通の人っぽくない。なんだか、ちょっと嫌な予感…。そして、このちょっと嫌な予感は、まさに、これからの3年間の体験を、予知するものであった…。◎ 続きが読みたいナと思ったら、クリックをお願いします(*^_^*) ● 人気blogランキングへ ● 楽天ブログランキングへ
Jun 16, 2005
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