2007.09.11
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 「サブプライム」という言葉は日本でも相当使われるようになってきました。もはや金融に関わる人にとっては「今さら聞けない用語」や「流行語大賞」の上位にランクされるくらいではないでしょうか。

 改めてご説明すると、サブプライムというのはサブ(~の下)プライム(最上級)で最上級の下という意味です。何が最上級かというと信用力です。アメリカでは一人一人に信用情報というものがあります。信用情報の中に信用力を示すFICO点数というのがあり、一般にその点数が620を下回るのがサブプライムです。ただ現実的には最低700はないとプライムとは言えず、620以下というのはかなり悪い点数です。即ち用語とは裏腹に、現実的にはかなり信用力の低い人を指しています。ちなみに日本で「所得の低い人」と訳すケースがあるようですが、これは間違いです。所得の低い人でもFICO点数の高い人はいますし、逆に所得の高い人でもFICO点数の低い人はいるからです。

 今起こっているのは、このような人たちが住宅ローンを借りて返さない、そしてそのような住宅ローンを証券化した証券に投資していた投資家が、証券の価値が下がって困っている、という事です。そしてこの問題は出口の見えない、解決策のないお手上げの問題のように捉えられています。しかし私はそうは思いません。

 上記サブプライムの用語説明で明らかなように、投資家は、このような住宅ローン証券である事を予め分かっていながら投資していたのです。何故投資していたかというと利回りが高かったからです。逆にいうとリスクが高いから利回りが高かったのです。リスクの高い証券が大きく下落するのは特に不思議な事ではありません。唯一問題はその証券が下落した事による損失額が分からない事です。

 しかし例えば、9月末から始まる決算の中で金融機関の保有する住宅ローン証券の価値が時価に引き直され、一時的損失は出るにせよ、新たなスタートを切ったとします。そうすると、第一に、市場が現在一番恐れている、「一体どのくらいの損失が出るのか分からない」という懸念が払拭されます。第二に、一旦時価に引き直された証券の価値は今後上昇する事だって有り得ます。そもそもこれだけ悪材料が重なって引き直される時価です。今後期待されるブッシュ大統領の住宅ローン対策、連銀による利下げ等によって上昇の可能性は十分にあります。もちろん今後も下落する可能性はありますが、それはどのような証券でも同じです。

 私はこのように、サブプライム住宅ローン証券の価値が市場に認められる形で、時価に引き直されれば、かなりの問題が解決すると考えています。しかもこれらが時価に引き直される事に伴う損失は一時的性格の強いものである事を忘れてはなりません。

 講演等でよくご紹介するFEDモデルが面白い水準にいるのでご紹介しておきたいと思います。本日時点で10年国債の利回りが4.3%、そしてS&P500指数の益利回りは6.85%です。ここ約5年間で、両者の差が2.5%以上離れる(株式が割安を示す)のは初めての事です。上記の通り、益利回りの「益」に与える影響が一時的であるとすれば、現在、中長期的に見て米国株式の割安度は際立っていると言えます。





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最終更新日  2007.09.11 17:47:00


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