映画一点豪華主義
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普段は映画か海外ドラマしか取り上げない当ブログですが、今回は特例。アニメだって広義ではTVシリーズだもんね。 自分はアニメは劇場公開作品以外はあまり観ないし、観たとしても偏ったものばかりです。幼少時代から今までを軽く振り返っても、「ロボっ子ビートン」「タイムボカン(「ヤッターマン」は今でも大嫌い)」「元祖天才バカボン」「ガンバの大冒険」「ルパン三世」「OKAWARI-BOY スターザンS」「超攻速ガルビオン」「昭和アホ草紙あかぬけ一番!」「すごいよ!マサルさん」……同世代が面白いとハマっていた最大公約数的アニメは、「ルパン」以外はほとんど無視してきたカルト・ラインナップ。しかもバイオレンスかギャグ限定(自分の今の映画の嗜好とあまり変わらない)。 で、なんでいきなり「プリキュア」なのか。 娘の通う保育園でプリキュアが大ブームなんですよ……。保育園の先生も「プリキュア」の塗り絵なんか配ったりして、女児みんなプリキュア漬けです。せっかくここ一年間「ケロロ軍曹」でお茶を濁してきたのに、娘もいろいろ情報仕入れてるもんだから、ツ●ヤのプリキュアの棚の前で座り込み運動。とうとう、根負けして「Yes!プリキュア5」のDVDを借りるはめになりました。 まあ、DVD再生して娘一人をテレビの前に鎮座させて、自分は好きなことでもしようと目論んでおったのですが、敵の操る「コワイナー」とかいうクリーチャーが、大人からみても結構不気味で、娘は「来て~!」と絶叫し(怖いと言いながらも、観るのをやめようとはしない)、一緒に強制視聴させられるはめに…… 話は他愛ないですが、絵は綺麗だし、戦闘シーンも女児向けにしては頑張っているなあ、くらいに眺めつつ、今日の晩御飯は何かな~とか別のことばかり考えておりました。 その後はなしくずしで、近所の●タヤで「Yes!プリキュア5」をレンタルする(させられる)週末が続いたのですが、あるとき何を思ったか、娘が別のDVDを棚から持ってきました。それが「ふたりはプリキュア Splash☆Star」。 うわ、なんか赤紫と白の超ハデなコスチュームの二人がポーズ取ってるよ! 「Yes!プリキュア5」の前シリーズですが、これも強制視聴させられることに。あ~もうツラいなあ、お父さんは「ルパン対複製人間」とか「ワイルド7(94年のOVA版)」とかがいいんだよ~と心でグチりながらも第1話に突入。 フラッピとチョッピというミニ生物が二人の中学生の女の子をプリキュアに変身させる展開は、「Yes!…」で体験済みなので即理解。枯葉をデフォルメした敵キャラ登場。名前が「カレハーン」…? 茶噴いたで!! これギャグアニメですか? とは言いつつも観進めると、ミニ生物が主人公の盾になってボロボロになるところで涙腺緩んだし、その後の「男たちの挽歌」並みのド熱い展開に、思わず燃える自分が……いや、これってかなり面白いんじゃないの?(子供向けにしては) 「Yes!プリキュア5」の舞台はヨーロッパ風の町(設定は日本ですが)で、あまりリアリティが感じられなかったのですが、「ふたりはプリキュア Splash☆Star」(略して「S☆S」と言うらしい)の舞台は自然ゆたかな海沿いの町。背景の絵はハンパなく美しく、ジブリアニメのそれを超えてます。 前半は日常&青春パート、後半バトルというのが基本展開なわけですが、脚本をしっかり練っているのに感心。子供向けアニメにありがちな見え見えの展開や、製作者側だけが楽しんでいるようなイタい描写も無く、親子で一緒に楽しめる作品になっています。前半のドラマが深くてイイ話が多く、それらが丁寧に嫌味なく繰り広げられるんですよ。親としても、考えさせられるエピソードが結構あったりします。主人公二人も、まっすぐな性格で、しかもメンタリティは大人。とても好感が持てます。 「森羅万象に生命がやどる」「他者との絆」というテーマも奥が深く、最終回までブレることなく一貫しているのがすばらしい。「ハゲタカ」などの佐藤直紀によるBGMも聴き応えがあります。なんか心が洗われるなあ……といつの間にかハマってしまったオヤジがひとり(笑)。娘も「Yes!」より気に入ってしまい、一緒に2ヶ月で全49話完走(ツタ●に短期間で随分貢いじまった)。 なかでも、9話、22話、23話、35話、最終回は、大人も必見の感動エピソード。女児向けなので、バトルは原則ヌルいですが、22話、23話、31話、40話、43話あたりは結構頑張っています。特に、48話&続く最終回のバトル・アクションは、ブルース・リーに始まる<溜め>と<開放>というアクションの黄金率を完璧に理解・実践しているだけでなく、ここ十年のどんなアクション映画よりも凄かった! 最近のアクション映画は「ボーン」シリーズやジャッキー・チェンものも含めて、細かいカット割りとスピードこだわる結果、逆にメリハリが無くなっているものばかり。リー師父の教えをまっとうする「S☆S」の爪の垢でも、煎じて飲め! ともあれ、最近の映画に満足できなかったところ、いいものを観せてもらいました。「S☆S」最高!! きっかけをくれた保育園に感謝(配っていた塗り絵は「Yes!」のものでしたが(笑))。 そしてようやく標題について(以下思い切りネタバレ)。 宇宙そのものを破滅し「すべてを無に帰する」ことが、「S☆S」ラスボスの目的。このラスボスはビッグバン以前から存在し、最終回で地球をぶっ壊したりするとんでもない奴ですが(女児向けなのになんてスケールのでかい話だ)、最後にプリキュアに倒され、自らがビッグバンとなり地球となって再生します(したように見える)。そこで、これまでの展開を振り返ると、はたと気付いたことが……。 手下の幹部たちは、ちょっと本気になれば一撃で地上を砂漠化できる能力の持ち主なのに、変身した女子中学生二人にいつも倒されてしまう腑抜け&ギャグ担当。一方プリキュアは、闘いを重ねるたびにどんどん強くなる。ボス自らが命を与えた敵幹部の薫と満(この辺詳しく知りたい方はWikipediaへどうぞ)はプリキュア側に寝返り、それを知ったラスボスが一旦封印するも、生かしておいたのが仇に。薫・満はプリキュアによって復活を遂げ、最終回では自分たちもプリキュアに変身してラスボスに挑む……。 この展開、ラスボスが最終戦で自分を倒してもらうために、意図的にプリキュアを強く鍛えているようにしか見えないのです。つまり「ラスボス自身が綿密に計画した、遠大な自殺計画」。しかも、封印した時点で始末するべき薫・満を生かしておいて、プリキュア倍増化まで予定していたとは……なかなかの策士です。 さてここで真っ先に思い出したのが「未来惑星ザルドス」。不死が保証されるユートピア「ザルドス」に住む市民は、事故などで肉体が滅んでもすぐに再生。終わりのない永遠の日々を過ごすうちに、彼らは無意識にに死を願うようになっていた。市民の一人アーサー(声は穂積隆信)がある思惑から、外界の蛮人ゼッドを招き入れる。ゼッドがきっかけで「ザルドス」のバランスは崩れ、再生装置が破壊される。そこに、ゼッドを探しにきた蛮人仲間が乱入し、ザルドスの市民を皆殺し。今度こそ再生しないと知った市民たち(アーサー含む)は、喜びながら蛮人の凶弾に自らの体をさしだしてゆくのだった……。ハイ、お分かりですね。「S☆S」のラスボスはアーサー、ゼッドはプリキュアというわけです。いや~奥が深い(単なるこじつけとも言う)。 “一点豪華”ポイントは、47話での主人公・日向咲(キュアブライト)の言葉。大ボスのアクダイカーン(なんて名だ)が言い放つ言葉。「生きとし生けるものは必ず無に帰す。世界は必ず滅びるのだ。お前たち自身もな!」 それに対しキュアブライト。「確かにそうかもしれない。私のこの命も…どんな命も、いつか終わる日が来る。でもだからこそ、大切なんじゃない!」 ヒーロー(ヒロイン)は死なないという不文律に対し、主役ヒロインが「自分は死ぬ存在である」と言い切った! 万物が避けて通れない"死"を宣言させることで、このヒロインが現実世界に実際に存在し、これまでも生きてきて、そしてこれからも人生を歩んでいくんだろうな、と思えてきます。短いセリフですが、動く絵でしかないはずのキャラクターの「生」を、リアルに感じさせる抜群の効果をあげていました。「S☆S」というシリーズに、本当の意味で血の通った瞬間だったと思います。他にもグっとくるセリフ、魂をわしづかみにされる熱いセリフが「S☆S」には満載。ハリウッドの脚本家どもに、爪の…… 前シリーズの「ふたりはプリキュア」と後の「Yes!プリキュア5」が2年間放送されながら、「S☆S」は1年で打ち切り。低視聴率と玩具の売上減が原因だったそうですが、作品自体はとても完成度が高いと思います。ネット上でも「プリキュア」シリーズの異端児扱いされている不遇作みたいですが、「エクソシスト2」や「女王陛下の007」のように、後年評価が高まりカルト化するんじゃないでしょうか。「ふたりはプリキュア Splash☆Star」 8/8現在、ANIMAXにて放送中 東映動画BBプレミアムにて配信中 ※Yahoo!動画やShowTime内でも配信あり追記:11/9 このブログ記事を書いた後、「ふたりはプリキュア」「ふたりはプリキュアMH」も娘につきあって完走しました。 結論としては、「スプラッシュ・スター」が、このシリーズ中では一番面白く良く出来ていましたね。その次が「ふたりはプリキュア(無印)」、3位が「MH」。「MH」は2年続けてクオリティを維持することが、どんなに困難なことかを教えてくれました。 もちろん、先代あっての二代目なわけで、「S☆S」が傑作になったのは、無印・MHがあったからだと思いますが… 007シリーズにたとえると(なぜ007に例えるかと聞かれても困りますが)、無印=「死ぬのは奴らだ」(スタッフに迷いがある点が、無印と共通するものを感じます)MH=「ムーンレイカー」(大風呂敷広げたわりに、????多し)S☆S=「ユア・アイズ・オンリー」(地味だけどアクション・ストーリーともにレベル高し)といったかんじでしょうか。映画ファンの方にはなんとなくイメージしてもらえるかと。さて、現在鑑賞進行中の「5」「GoGo!」は…「カジノロワイヤル」。もちろん67年度版。まちがっても06年のほうではありません(笑)
2008/08/08
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