しあんくれーるの夜からわずか7年後にライブハウスのガードマンにどつかれて不幸な死を遂げることになるこの希有な才能は、Teen Town ではドリブルで敵のプレイヤのウラをかいてボールを運ぶサッカー選手のよう。ウラをかかれたほうはあっと声を上げるまもなく、人間がほんらい持ち合わせているはずのリズムに抱かれ、それを彼のものとも自分のものとも判然としないままにウラをかかれた喜びに身を浸す。そんな感想を持ったかどうだか、旅の恥かもしれないけれど、すばらしいよ、ジントニックはサイダーみたいだし。
Joe Zawinul:kb, Wayne Shorter:ts & ss, Jaco Pastorius:el-bそしてPeter Erskine:dr。たった四人なんだね。そのメンバーの誰もが`ふつうの弾き方’をしない、天才で奇人ばかりのユニット。それでもA Remark You Made では広い音楽的風景に、それぞれの音が息づいている。変態サックスとも揶揄されるショーターもここでは美しく朗々と、ノスタルジックに、やがて朝日の兆しに消えてゆく明けの明星のようにきらめくソロを聴かせる。電子楽器を変幻自在に操るザヴィヌル博士のピアノは3分8秒から、そしてショーターの牧歌をはさんで4分25秒あたりからドビュッシーが弾いているかのような色彩感が、ほかのメンバーの紡ぐ織物の上に輝く。ジャコはそこからエンディングへ至るまで、上行下行を繰り返す長いスラーにフレットレスベース独特の響きを湛え、深々とした二声のバッキングが静かに轟きながら暖かく音の風景の大地を形作る・・・